ボランタリー画廊   副題「げってん」・「ギャラリーNON] 

「げってん」はある画廊オーナとその画廊を往来した作家達のノンフィクション。「ギャラリーNON]は絵画を通して想いを発信。

ギャラリーNON(54) DON小品展(2)

2012年01月21日 | 随筆
 彦島港から日明港へ引き返し、その足で小倉の街を歩いた。よく来る街であるがゆっくり歩き回ることは少ない。古船場町のホテルから少し引っ込んだところの安い駐車場に車を置いてポツポツと歩く。
 京町を歩いていると、狭い道の向こうに異様なビルが見えた。

 リバーウォーク北九州、8年前に営業開始した複合商業ビルだ。すぐ近くに小倉城があり、遠目には、彩度と形態の際立つ五色のリバーウォークと、黒白の城と、それに四角い箱のような市庁舎の形態対比と色彩対比がどうも馴染めない。
 日本人は城を大切にするが、一体城とは何だろう。およそ750年前から小倉城(城の呼び名も変遷あり)という行政拠点は時代の移り変わりと共に荒らされたり、再建されたりで、もう城作りは止めようという発想は無かったように見える。日本人の象徴、それが城なのかもしれない。私は、ぎっしり詰まった商業ビルよりも、象徴的な天守閣よりも、城周辺のいわゆる無駄な空間である余白が好きだ。

 京町のその道を抜けると勝山橋交差点に出る。ちょっと都会風の風景を切り取ることが出来た。紫川に掛かる橋もいろいろで、関東大震災の復興にも発想されたような橋々が連なる。
 私が就職で北九州に来た1960年頃の紫川はおよそ川底の見えない汚れた川だった。橋の欄干から釣り糸を垂らしてサヨリを釣っていた。河口には臨海公園(遊技場)があった。洒落た喫茶店、贅沢感のある店も出始めた頃で、夜はキャバレーやクラブが全盛期を迎えようとしていた。この橋の近くの店でボラれた苦い経験もある。

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