夏原 想の少数異見 ーすべてを疑えー

混迷する世界で「真実はこの一点にあるとまでは断定できないが、おぼろげながらこの辺にありそうだ」を自分自身の言葉で追求する

フジテレビ会見 商業メディアは、利益優先の資本の論理で動く

2025-01-28 13:57:10 | 社会


 中居正広のセックススキャンダルは、中居自身の問題から、むしろテレビ局の責任追及のへと発展し、フジテレビは1度目の会見を「失敗し」、10時間以上費やされた2度目の会見を余儀なくされた。
 この会見の翌日、テレビ朝日の放送で弁護士の亀井正貴は、「(フジテレビに)コンプライアンス体制も、(雁首を並べた)フジテレビ役員もコンプライアンスの知見も意思もないことが明らかになった」と明確に指摘したが、まさに人権を重視するコンプライアンスよりも、会社利益が優先する体質と役員たちの無能ぶりを世界にさらしたのである。

 会見冒頭から、41年もフジテレビの君臨する取締相談役の日枝久が欠席していることが問題視された。副会長の遠藤龍之介は、日枝に「ただやはり影響力があることは間違いない」と言ったが、「怖くて誰も(意見が)言えない」(朝日新聞1.27)事実上トップの日枝がいないのは、なぜか、と問われたのである。
 法的には、ただの「相談役」に過ぎない人物を恐れるのは、一種の権威主義的支配力を日枝が持ち続けていることの表れだが、実際、多くの日本の会社では、事実上の支配権を維持するために、「相談役」という肩書で役員に残るという手法が使われる。フジテレビでも、その手法が使われたということである。そこには、会社の内部は、法も民主主義も人権も建前に過ぎない治外法権の世界がある。
 そこにあるのは、会社利益がすべてに優先するという論理である。フジテレビは1982年以降年間視聴率3冠を獲得し、営業収入を大きく伸ばしたが、その最大の功労者は日枝なのである。その日枝に取り入って、今の座を得た役員たちが「「怖くて(意見が)言えない」のは、その「威光」に逆らえないからである。
 
 フジテレビは、檀上の役員たちが中居のスキャンダルを認識した後も、中居の出演する番組を放送し続けた。そのことを上記の亀井正貴は「視聴率を優先したと思われる」と言ったが、中居の出演させることで視聴率を稼ぐことが、会社利益に結びつくからである。

 そもそもフジテレビが、2度の会見に追い込まれたのも、1度目の「失敗した」会見後、スポンサー企業が続々とCM差し替えを要望したからである。スポンサー企業が新年度4月以降、スポンサーを降りたら、会社利益は激減する。そのことから、フジテレビは慌てて対策を講じ、第三者委員会の調査と「オープンな」会見を実施することを決めたのである。スポンサー企業の動きがなかったら、このような対策はしなかっただろう。決して、今までのコンプライアンス違反を反省したから、このような対策を講じたわけではないのである。

 フジサンケイグループは、産経新聞で分かるとおり、その論調は、右派であり、自民党に近い。それも、政権党に近い方が会社利益に貢献すると考えているのかもしれない。しかし、もともと商業メディアであれ、何であれ、会社組織は、利益優先の資本の論理で動くのである。今回のフジテレビの騒動は、そのことを如実に明らかにしたのである。


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