TANEの独り言

日々の生活の中でのつぶやきだから聞き流してネ

憧れの地に向けて その3

2020-06-21 12:33:00 | 山行
翌朝は予想通りの快晴です。

朝食を摂り、朝一番のバスに乗り登山口を目指します。(Facebookのご夫婦を見かけたのはこの時です。不思議な感覚を覚えながら「貴重な情報をありがとうございました」と心の中で…  )

バスの終点から10分ほどのところに、以前、友人から聞いていたキャンプ場があり、朝の7:30には到着したのです。

ここをベース基地に、空荷でいくつかのピークを目指すことができます。

また、ここから3時間ほぼ平坦な道を歩くと次のベース基地があり、さらに3時間登山道を登ると山登りをする人達の"憧れの地”ともいえるキャンプサイトがあります。

所要時間を考えるとその"憧れの地”へもたどり着くことができそうです。
「どこに初日のテントを張るか… 」
私は少しだけ考えましたが、足はすでに先を目指して歩み出していました。

20kgのザックも苦にならず、ほぼ1時間おきに建つ山小屋で小休止しながら、次のベース基地に着いたのは10:00前、ここが登山届を出せる最後の小屋です。

私は自分に問いかけます。
「3時間も歩けば"憧れの地”  あと3時間登山道を登ることができるか」

今の自分のコンディションとこれまで行ってきたトレーニング、これから先の天候、コース状況、明日以降の行程等々、総合的に考えて出した答えは…
「大丈夫、行ける」でした。

私はここの山小屋で登山届を出し "憧れの地” に向けて歩き出しました。


山道は次第に急になり、20kgのザックが肩に喰い込んできます。

今まで、1時間おきにとっていた休憩が30分おきになり、15分おきと短くなり、とうとう5分歩いては立ち止まるまでに疲れてきたのです。

そんな時、大型のザックを背負った私と同年輩の登山者が歪んだ笑顔でチョコンとお辞儀をして追い越していかれました。
その方は山道に入ってから互いに抜きつ抜かれつ登ってきた人で、大きな青いザックに見覚えがありました。

同年輩の登山者の、疲れで歪んだ笑顔の無言のお辞儀は、"お疲れ様、あと少しですよ。お互い頑張りましょう“ と励ましの声を掛けられたようでした。

それから先の山道はその方と共に登っているように私には感じられました。

雲が低く降り、冷たい風が吹きはじめるた午後2時頃、やっと"憧れの地”にたどり着きました。

先に到着し長椅子に腰掛けていたあの青い大きなザックの方は、登ってきた私の姿を見つけるとニッコリ微笑まれたのでした。