2月29日

日々の思いつき及び読書の感想

読書 澤地久枝著 『道づれは好奇心』(講談社文庫)

2012-06-02 03:08:36 | 読書
本書は、澤地さんのエッセイ集となっていて、主に澤地さんか琉球大学で聴講していたり非常勤講師を半年されたりしていた沖縄での生活に関するものが多い。
澤地さんが現在の大学生が恥をかくのを避ける傾向にあることを心配して、「間違えても恥ではない。いま恥をかかなくていつ恥をかくのか。社会人になって年数をへてから、自分の意見をもっていないことに気づく惨めさは取り返しがつかない」という(40ページ)。これは、官僚的な行動傾向と同じではないか。間違えても、間違えを恥と思って認めないのは、原発事故の対応をみれば、すぐにわかる。
また、「ある仮説(こうであろう、こうに違いない)をたてて仕事をはじめても、それを否定する事柄に出あったとき、柔軟なものの見方をすること。はじめに結論ありで、それを強化するための調査ならしなくてもいい」とも澤地さんはいう(104ページ)。これも、原発の安全性を検討する政府は、まさに「はじめに結論あり」の、「それを強化するための調査」しかしていない。これでは、到底市民の安心感を作り出すことなど出来る訳がない。
本書は、澤地さんの入門書として、適している。
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