本書は、シリーズ日本近現代史の第8冊目で、1950年代半ばから1980年代後半のバブル経済期までが範囲。
1960年代に工業化が進む一方、農業が衰退していく過程が改めてわかった。そして、農業が衰退していることがわかっているのに、有効な手立てをしなかった政治があったことも。そのような政治家を選んでいた有権者にも問題があるのだが。結局、目先の公共事業というお金のなる木に目がくらみ、現在のような食料自給率が40%を割る事態を自ら招き寄せた。
著者が近代経済史の専門家であるため、経済以外の面を『朝日年鑑』ばかりに依存している傾向があるのは残念である。