シェルバン共和国国防軍が派遣した工作員の襲撃から1夜が経った。
第3軌道艦隊は損害を受けつつも12機撃墜する戦果をあげるも、結局は工作艦の逃亡を許した。
惑星ピースミリオン各地を襲撃したようであり、強襲により工業地帯が大破.宇宙港施設もかなりの被害を受けた。
新統合軍は他の惑星から応援部隊を派遣し抜けた穴を埋める事になった。
だが、惑星ピースミリオンの舞台は今だに混乱が続いていた。
戦闘ではかなりの死傷者を出しており、各地の基地では亡くなった兵士達の葬儀が営まれていたと言う。
ライト「ホズミ、安らかに眠れ。」
ライトは死んだホズミが眠っている墓を訪れ、杯の酒を投げてホズミの冥福を祈る。
ホズミもライトにとって大事な部下の一人であるためだ。
後ろには穏やかな表情の朝灯が見守っていた。
儀式が終わるとライトは朝灯に微笑むと朝灯は同じように微笑み返す。
ケビン「すっかり関係が良くなったな。」
険悪な関係であった二人の関係はここまで温かくなった。
ケビンも思わず二人の仲に入れない程に。
なぜここまで穏やかな関係になった。
その理由は時系列は少し遡った所にある。
【惑星ピースミリオン 襲撃当日】
シェルバン共和国の工作部隊の襲撃のあった当日。
ライト「朝灯の病状はどうなんですか?」
「まだ意識を回復していません、今は本官としてはなんとも・・・」
ライトは医療テントを訪れていた。
クリフから朝灯の見舞いでもして来いと言われているので公式である。
面会謝絶ではないらしくライトは朝灯の病室に入る事ができた。
吉野朝灯「・・・・・・・・・」
ライト「吉野・・・・」
朝灯は意識が戻らず眠ったままである。
餓死しないように点滴で栄養を取っている生活を送っている。
ライト「軍医殿、最低どのくらい・・・・・・・・・」
「今日入れないで3日程経てば起きると思いますが・・・・・・・・・あまり期待しないように。」
ライト「期待しないようにって・・・・・・・・」
「言った通りです。では次の患者がいるのでここで失礼します。」
ライト「おい待て!!」
軍医が告げた朝灯の目覚め。
だが同時に告げられる期待しないようにと言う不吉な言葉。
ライトはこの時以来から不安に包まれた。
【翌日】
ケビン「ライト、今回死んだ仲間を偲んで飲まないか?」
ライト「飲みに?いやいいよ・・・・・行くところがあるから・・・・」
ケビン「行くところって・・・・・・・」
ライトは翌日から朝灯の看病するため医療テントを訪れる。
当然の話ではあるが・・・・・・ただ座って看病しているわけではない。
「患者の数が多くて人手が足りないわね。」
「あの時の戦闘で多くの衛生兵が命を落としたからね、朝灯も怪我しなければ・・・・」
ガタン
ライト「あの・・・・・・・・包帯を巻くのを手伝います。」
「あ.ありがとうございます。」
看病する傍ら、衛生兵達の手伝いをするようになった。
流石に手術は医療免許がない関係で出来なかったが。
衛生兵達は人手が少なかった事もありライトの手伝いには感謝した。
ライト「・・・・・・・」
朝灯の顔を見るが、目覚める気配すらがない。
このままでは期限の3日を過ぎてしまう。
その後は、ライトが朝灯の寝るベットを背にして寝ないで医療テントを警備するように椅子に座る。
手には拳銃を備えていた・・・・・
【2日目】
「インメルマン中尉、インメルマン中尉起きてください風邪をひきますよ。」
ライト「いけねぇ寝てしまった。」
ライトは衛生兵に起こされてしまう。
椅子にがくんと寝てしたのと毛布をくるんでないため、衛生兵は風邪を引いたんじゃないかと心配してライトを起こしたのだ。
「いい加減、自室に帰ったらどうですか?」
ライト「いやここで寝るわけにはいかないんでな。」
「まったく、もし次同じようにしたら自室へ強制的に戻しますからね。」
ライト「はいはい分かりました。」
ライトは衛生兵に厳重注意された後、いつものように朝灯の看護を始める。
ライト「今日も目覚めないか・・・・・・・・・・・・」
朝灯が負傷してから2日目、今だに目覚めない。
翌日以降過ぎれば、朝灯は植物人間になってしまい事実上死ぬ事になる。
だが一パイロットであるライトにはどうしようもする事が出来ない・・・・・
どうしようか悩んだが、反ってストレスがたまるのみ・・・・・・
ケビン「相変わらずいるんだな、いい加減仕事に戻らないのか?」
ライト「戻る気はない・・・・・・」
ケビン「お前終始いるなんてやっぱり変わりもんだよ、最後までいるなんて俺にはそんな根性はねぇや。まるで勤勉な性格の日系人のようだよ、じゃあな。」
ライト「・・・・・・・」
ケビンはライトにそう言うと朝灯の医療テントのカーテンの向こう側へ出て行ってしまう。
ライトはあんまり携帯食以外の食事を取らずに朝灯の看病をする。
体温計などは女性の衛生兵がやり、ライトは足の怪我の包帯を取り替えるのをやる。
その後は昨日と同じくライトが朝灯の寝るベットを背にして寝ないで医療テントを警備するように椅子に座る。
やはり手には拳銃を備えていた・・・・・
パサ
「・・・・・・・・・・・・・・・ば・・・・・・・・・・・か・・・・・」
【3日目】
ライト「とうとう、最後の日が来てしまったか・・・・・・」
とうとう、朝灯の命を保証できる期間最終日の3日目になった。
今でも朝灯は目覚める気配すら見せない。
今日過ぎてしまえば朝灯の死亡が確定してしまう。
ライトはいつものように衛生兵の手伝いをしながら朝灯の様子を見る。
ライト「うん?」
ライトは朝灯の病室の隣にあるライフジャケットのポケットの中に入っているある物に気がつく。
それは二人の姉と父.吉野大樹.母.ラウラそして朝灯で撮った写真であった。
朝灯は家族思いであり、いつか危険な目に遭うのを回避すべくお守り代わりに写真を自分のライフジャケットのポケットに入れていたのである。
ライト「・・・・・・・・姉妹と母親全員似たような顔だな。」
朝灯の母はあの伝説のエースパイロット.ミリア・ファリーナ・ジーナスと同じラプラミズ艦隊に所属していたメルトランである。
遺伝子的にも影響して姉妹双子のような顔つきになっていると言う。
ケビン「ライト、またここにいたのか?」
ライト「ケビンか?」
ケビン「おっ写真だな、本当に家族一同そっくりな事だ。」
ケビンが朝灯の写真をひょいと見る。
ライトは返せと言うがケビンに言って返してもらう。
するとケビンが突然、ある事を言い出した。
ケビン「吉野って実は最近.お前の事気になっていたらしいぜ。」
ライト「えっ!?ケビンそれって・・・・・・」
ケビン「あぁ・・・・・・お前のことを無意識に好きになっていたんだよ。」
突然ケビンから語られた朝灯のライトに対する秘密の感情。
ライトは思わず息を飲んだ。
なぜケビンが知っているのかケビンは次のように話した。
___________________________________________
【襲撃される3日前】
それは朝灯と同僚の衛生兵ミエ・ハリアードの会話に朝灯のライトに対する秘密の感情を暴露したあの日。
ミエ「朝灯、ライト・インメルマンは本当はどう思っているの?」
衛生兵ミエ・ハリアード
吉野朝灯「馬鹿な奴よ嫌いな奴よ、デリカシーがないと言うか・・・・・・」
この時の会話はいつものような会話であった。
ケビンは同じカフェで普通に読書していた。
狙って盗み聞きしているわけではない、朝灯たちが自然にケビンの近くに座っただけである。
このミエもケビンの話を聞いてライトと朝灯を仲好くさせようとしている一人であったが。
後ろ姿のケビンには気づいていない。
朝灯はそんな事情も知らないで話を進める。
吉野朝灯「でもさ・・・・・・あいつだけは完全に嫌いになれないんだよね。」
ミエ「あいつってライト・インメルマン?」
吉野朝灯「うん。」
ケビンは突然の言葉にコーヒーを喉を詰まらせた。
何か凄い事を言いそうな予感がした、ケビンは振り向かずに新聞を読んでいるふりをする。
朝灯が一体何を言い出すのか、ケビンは気になってしょうがなかった。
吉野朝灯「あいつの父親、カール・インメルマンらしいのよ。」
ミエ「カール・インメルマン?確か早期警戒機のパイロットに変換した幻のエースでマックス・インメルマンの親戚の?」
吉野朝灯「うん、インメルマン姓だからもしかしてってね。父さんや母さんとARMD-213に勤務していたから知っているのよ、父さんと母さんの話じゃ息子がいたらしいのよ。」
ミエ「それがライト・インメルマンと?」
吉野朝灯「そうなのよ、でもね。父さんと母さんはカール・インメルマン少佐に息子の名前を聞いてないのよ。」
ミエ「へぇ~それでなんでカール・インメルマンの話が出てくるの?」
吉野朝灯「実は初恋の相手なのよ。」
ミエ「は・・・・・初恋のあ.相手~」
それは襲撃当日ライトと朝灯の会話に出てきた朝灯がライトの父、カール・インメルマンが初恋の相手と言う事であった。
突然の話にケビンはコーヒーを喉に詰まらせ、同僚のミエは食べていたパンを更に落とす。
二人を横目に朝灯の顔は若干赤くなってしまう。
ミエ「まさか、朝灯.ライトがカール・インメルマンの息子だから、気になっているわけ?男嫌いなのに?」
吉野朝灯「実はそうなのよ、最初に会った時.いきなり所属部隊を乱す屑野郎と思って軽蔑してみたけど・・・・・・母に見せて貰った写真のカール・インメルマンの面影がって・・・・・・だんだん同じ基地で勤務しているうちにライト・インメルマンに対する気持ちが不思議な気持ちになって・・・・・・」
ミエ「へぇ・・・・・・・・」
朝灯の顔は更に赤くなってしまう。
そんな朝灯はついにとんでもない事を言いだしてしまう。
吉野朝灯「実は、ライトの事が気になって気になってしょうがないのよ。でもいきなり険悪モードに入ってしまい、素直に気になっていますとか言えなくて。カール・インメルマンの息子かもしれないと言う感じとは違う感じで・・・・・・・・」
朝灯は今までライトの事を気になっていた。
だが初対面でいつもの男嫌いの癖が出てしまいライトに素直に気になっていましたと言えなくなってしまい。
いつか仲直りしようと考えるがいつもの調子から中々上手く抜け出せないでしまった。
吉野朝灯「あたしどうしよう・・・・・・・」
男勝りの朝灯はこの時ばかりは狼ではなく犬のように大人しくなってしまう。
朝灯は内心は臆病者である。
勢いでやってしまう事があり、戻ろうしても戻れない程に。
だから友人であるミエに正直告白したのである。
本来は朝灯の心と言う名の固い殻の中に潜んでいる物を吐きだすように。
ミエ「でどうするの?朝灯?」
吉野朝灯「・・・・・分からない・・・・・・・・私は男勝りで男嫌いの仮面を被った臆病者だからどうすればいいのか分からない・・・・・」
朝灯はふさぎ込んでしまう。
その後、終始無言になってしまいサンドイッチを摘まんだ後勤務先に戻ってしった。
ケビンは話の最中、バレないかどうか話を聞いていたが朝灯の意外な一面を知りライトに伝えるチャンスと捉える。
___________________________________________
ライト「朝灯が俺の事を・・・・・・・・」
ケビン「あぁあいつは内心、臆病者で素直に慣れずにいたそうだよ。」
ライトはケビンから語られた事を聞いて朝灯を見る。
朝灯はこのまま自分自身に対する正直な気持ちを伝え切らずに死んでしまうのか・・・
そうとなれば朝灯は悔いを残してヴァルハラの元へ旅立ってしまう。
ケビン「どうするんだライト?このまま吉野は死ぬかもしれないんだぞ、気持ちを伝えるのは今だと思うが・・・・・・・・」
ライト「だが思いを伝わらないが・・・・・・・・」
ケビン「馬鹿野郎、伝わんなくても正直に言えばいい。俺らの隊長だろ、死んだホズミもそう言うはずだぜ。」
あの勝ち気な表情で時折見せる笑顔が眩しい朝灯が死んでしまうのか?
だったら肉体と魂があるうちに聞こえていなかろうが・・・・・・・気持ちを伝えねば・・・・・・・
ライト「朝灯・・・・・・・・聞こえていないだろうが、俺もお前の事が好きだ。お前が死ぬならば、俺が死んだ後来世で再び・・・・・・・そうならないためにも、どうか目覚めてくれ朝灯・・・・・・・」
ライトは医療テントのベットで眠る朝灯を抱きつく。
下手したら永遠に目覚めぬまま死んでいくかもしれない朝灯。
ライトが明かした正直であった。
朝灯のほっぺにはライトの涙が落ちていた。
カシャ
ロバート「やはりここにいたのか、ライト・インメルマン。」
ライト「お前はロバート・キノ・・・・・・」
ロバート「たくお前はまんまも騙されているな・・・・」
ライト「へっ!?」
突然医療テントのカーテンを開いて現れたロバート・キノの言葉にしらけるライトとケビン。
騙されている?それは一体どう言う・・・・・・・
ロバート「いや全体だ、朝灯はもう目覚めているんだよ。なぁ起きろや。」
ライト「目覚めているだ・・・・・・・・」
バコッ
ライト「ガッ・・・・・・・・・」
ライトの顎にアッパーが決まる。
それを打ち込んだのは朝灯である。
ケビン「お前、生きていたのか・・・・・・・・・・・」
バコッ
近づいてきたケビンにも拳の攻撃が腹に決まる。
ケビンは物凄く痛そうに腹を抑える。
吉野朝灯「あたしは生きているよ、この馬鹿共!!」
朝灯は体をL字のように曲げ置きだす。
アッパーが決まり顎を抱えていたライトは朝灯が起き出した事に驚きと歓喜の気持ちが一斉に出た。
だが・・・・・・・・・・
ライト「朝灯・・・・・もしかして今の事は・・・・・・・」
吉野朝灯「勿論聞かせてもらいました、まったく・・・・くだらない事を・・・・・」
ライト「ぬぅ・・・・・・」
ライトが言った正直はすべて朝灯に聞かれていた。
その事実を知ったライトは物凄く恥ずかしくなった。
もしかしたら、嫌われるんじゃないかと・・・・・・・・・・
ライト「それよりいつから目覚めて?」
吉野朝灯「昨日よ、あんたがあたしを看病してくれているのは知っているわ。」
ライト「知って・・・・・・」
朝灯はライトが看病している事を知っていた。
ずっと寝ないで背を向け朝灯を守るように看病していた事を・・・・・・・・
でライトは驚くが・・・・・・少しだけ気になる事がある。
ライト「でなんでこいつが知っているの?」
ロバートだ、なぜ朝灯が気絶しているふりをしているのか不思議でしょうがなかった。
だがその疑問は直ぐに解決する。
ロバート「俺はお前より吉野との勤務は長いんだ、こいつの丈夫さからだとこの程度の怪我如きで死ぬわけない。一向に目覚めないのは気絶ふりだろうと思ったのさ。」
ロバートはライトやケビンより朝灯と勤務している歴が長い。
怪我した時、いつも朝灯のお世話になっている事がある。
以前、朝灯はバイク事故を起こして基地内の病室に入院した事があった。
最初は気絶していたが、ある晩ロバートが基地内の自動販売機でドリンクを買いに行っている時気絶していた朝灯が大量のお菓子の袋を持って病室に向かっていたのを目撃した。
既にロバートは朝灯の気絶のふり癖は見抜いていた。
ライト「朝灯、お前騙していたのか?」
吉野朝灯「おいこら、あたしの胸倉掴むな・・・・セクハラ。それに一応怪我人なんだぞ。」
ライト「おわっと。」
ライトは思わず朝灯の胸倉を掴んでしまい、朝灯に睨まれる。
あっと思ったライトは朝灯の胸倉から手を離す。
吉野朝灯「でも今回の胸倉を掴んだ事を許してあげる、胸には触んなかったらしいし。」
朝灯はライトが自分の胸倉つかんだ事に対して異例にライトを許した。
いつもならばライトをボコボコに殴りつけるパターンであるのだが。
ライトはいつもは殴ってくるのかと思って構えたが、構え損であった。
ライト「ケビン・・・・」
ケビン「なんだ?」
ライト「俺の3日間の役目は終わった、仕事場に戻るよ。」
ライトは3日間の役目を終えSVF-678の任務に復帰するとケビンに伝える。
朝灯が目覚めた事によりようやく一番の不安と言う名の荷物を降ろす事ができる。
これでクリフ隊長の命令を軽く受け流しながらの勤務が出来る。
当分は地球人とゼントラーディ人のハーフである朝灯の驚異的な回復力があるから当分は、失った3日分の仕事をしよう。
ライトは仕事気分全開にしてそう思った。
吉野朝灯「ライト・・・・・」
後ろから朝灯がライトに向けて名前を呼びながら、ライトの軍服の右袖を掴む。
何かと振り向いたライトだが・・・・・・・・
ガツッ!!!!!!
ライト「なっ・・・・・・・・・」
朝灯がライトを引き寄せてその右腕に抱きついた。
当然の出来ごとにライトは顔が赤くなってしまう。
吉野朝灯「今回はありがとう.ライト・インメルマン。」
朝灯はライトに向けて感謝の言葉を述べた。
まるで別人のようになったかのような美しい青髪のショートカットの少女になっていた。
いつもの勝ち気な男嫌いの・・・・・・・・
ライト「馬鹿女じゃない・・・・・・・・・・」
ドスッ
吉野朝灯「いいムードを余計なひと言で壊すな馬鹿・インメルマン!!」
と思ったが・・・・・・・直ぐに戻った。
この件以降二人で共にいる時間が増え関係は良くなったが・・・・・・・
グギャァァァァァ←ライトの悲鳴
当分は朝灯の男嫌い癖の残り香が残り、この調子が続く事になった。
その間、ライトは朝灯に半殺しになる事になる。
だが時代はこの性格が反対でなんかいい関係になった二人をよそに、とんでもない方向へ動き出そうとしていた。
【第2次シェルバン戦争への道】
第3軌道艦隊は損害を受けつつも12機撃墜する戦果をあげるも、結局は工作艦の逃亡を許した。
惑星ピースミリオン各地を襲撃したようであり、強襲により工業地帯が大破.宇宙港施設もかなりの被害を受けた。
新統合軍は他の惑星から応援部隊を派遣し抜けた穴を埋める事になった。
だが、惑星ピースミリオンの舞台は今だに混乱が続いていた。
戦闘ではかなりの死傷者を出しており、各地の基地では亡くなった兵士達の葬儀が営まれていたと言う。
ライト「ホズミ、安らかに眠れ。」
ライトは死んだホズミが眠っている墓を訪れ、杯の酒を投げてホズミの冥福を祈る。
ホズミもライトにとって大事な部下の一人であるためだ。
後ろには穏やかな表情の朝灯が見守っていた。
儀式が終わるとライトは朝灯に微笑むと朝灯は同じように微笑み返す。
ケビン「すっかり関係が良くなったな。」
険悪な関係であった二人の関係はここまで温かくなった。
ケビンも思わず二人の仲に入れない程に。
なぜここまで穏やかな関係になった。
その理由は時系列は少し遡った所にある。
【惑星ピースミリオン 襲撃当日】
シェルバン共和国の工作部隊の襲撃のあった当日。
ライト「朝灯の病状はどうなんですか?」
「まだ意識を回復していません、今は本官としてはなんとも・・・」
ライトは医療テントを訪れていた。
クリフから朝灯の見舞いでもして来いと言われているので公式である。
面会謝絶ではないらしくライトは朝灯の病室に入る事ができた。
吉野朝灯「・・・・・・・・・」
ライト「吉野・・・・」
朝灯は意識が戻らず眠ったままである。
餓死しないように点滴で栄養を取っている生活を送っている。
ライト「軍医殿、最低どのくらい・・・・・・・・・」
「今日入れないで3日程経てば起きると思いますが・・・・・・・・・あまり期待しないように。」
ライト「期待しないようにって・・・・・・・・」
「言った通りです。では次の患者がいるのでここで失礼します。」
ライト「おい待て!!」
軍医が告げた朝灯の目覚め。
だが同時に告げられる期待しないようにと言う不吉な言葉。
ライトはこの時以来から不安に包まれた。
【翌日】
ケビン「ライト、今回死んだ仲間を偲んで飲まないか?」
ライト「飲みに?いやいいよ・・・・・行くところがあるから・・・・」
ケビン「行くところって・・・・・・・」
ライトは翌日から朝灯の看病するため医療テントを訪れる。
当然の話ではあるが・・・・・・ただ座って看病しているわけではない。
「患者の数が多くて人手が足りないわね。」
「あの時の戦闘で多くの衛生兵が命を落としたからね、朝灯も怪我しなければ・・・・」
ガタン
ライト「あの・・・・・・・・包帯を巻くのを手伝います。」
「あ.ありがとうございます。」
看病する傍ら、衛生兵達の手伝いをするようになった。
流石に手術は医療免許がない関係で出来なかったが。
衛生兵達は人手が少なかった事もありライトの手伝いには感謝した。
ライト「・・・・・・・」
朝灯の顔を見るが、目覚める気配すらがない。
このままでは期限の3日を過ぎてしまう。
その後は、ライトが朝灯の寝るベットを背にして寝ないで医療テントを警備するように椅子に座る。
手には拳銃を備えていた・・・・・
【2日目】
「インメルマン中尉、インメルマン中尉起きてください風邪をひきますよ。」
ライト「いけねぇ寝てしまった。」
ライトは衛生兵に起こされてしまう。
椅子にがくんと寝てしたのと毛布をくるんでないため、衛生兵は風邪を引いたんじゃないかと心配してライトを起こしたのだ。
「いい加減、自室に帰ったらどうですか?」
ライト「いやここで寝るわけにはいかないんでな。」
「まったく、もし次同じようにしたら自室へ強制的に戻しますからね。」
ライト「はいはい分かりました。」
ライトは衛生兵に厳重注意された後、いつものように朝灯の看護を始める。
ライト「今日も目覚めないか・・・・・・・・・・・・」
朝灯が負傷してから2日目、今だに目覚めない。
翌日以降過ぎれば、朝灯は植物人間になってしまい事実上死ぬ事になる。
だが一パイロットであるライトにはどうしようもする事が出来ない・・・・・
どうしようか悩んだが、反ってストレスがたまるのみ・・・・・・
ケビン「相変わらずいるんだな、いい加減仕事に戻らないのか?」
ライト「戻る気はない・・・・・・」
ケビン「お前終始いるなんてやっぱり変わりもんだよ、最後までいるなんて俺にはそんな根性はねぇや。まるで勤勉な性格の日系人のようだよ、じゃあな。」
ライト「・・・・・・・」
ケビンはライトにそう言うと朝灯の医療テントのカーテンの向こう側へ出て行ってしまう。
ライトはあんまり携帯食以外の食事を取らずに朝灯の看病をする。
体温計などは女性の衛生兵がやり、ライトは足の怪我の包帯を取り替えるのをやる。
その後は昨日と同じくライトが朝灯の寝るベットを背にして寝ないで医療テントを警備するように椅子に座る。
やはり手には拳銃を備えていた・・・・・
パサ
「・・・・・・・・・・・・・・・ば・・・・・・・・・・・か・・・・・」
【3日目】
ライト「とうとう、最後の日が来てしまったか・・・・・・」
とうとう、朝灯の命を保証できる期間最終日の3日目になった。
今でも朝灯は目覚める気配すら見せない。
今日過ぎてしまえば朝灯の死亡が確定してしまう。
ライトはいつものように衛生兵の手伝いをしながら朝灯の様子を見る。
ライト「うん?」
ライトは朝灯の病室の隣にあるライフジャケットのポケットの中に入っているある物に気がつく。
それは二人の姉と父.吉野大樹.母.ラウラそして朝灯で撮った写真であった。
朝灯は家族思いであり、いつか危険な目に遭うのを回避すべくお守り代わりに写真を自分のライフジャケットのポケットに入れていたのである。
ライト「・・・・・・・・姉妹と母親全員似たような顔だな。」
朝灯の母はあの伝説のエースパイロット.ミリア・ファリーナ・ジーナスと同じラプラミズ艦隊に所属していたメルトランである。
遺伝子的にも影響して姉妹双子のような顔つきになっていると言う。
ケビン「ライト、またここにいたのか?」
ライト「ケビンか?」
ケビン「おっ写真だな、本当に家族一同そっくりな事だ。」
ケビンが朝灯の写真をひょいと見る。
ライトは返せと言うがケビンに言って返してもらう。
するとケビンが突然、ある事を言い出した。
ケビン「吉野って実は最近.お前の事気になっていたらしいぜ。」
ライト「えっ!?ケビンそれって・・・・・・」
ケビン「あぁ・・・・・・お前のことを無意識に好きになっていたんだよ。」
突然ケビンから語られた朝灯のライトに対する秘密の感情。
ライトは思わず息を飲んだ。
なぜケビンが知っているのかケビンは次のように話した。
___________________________________________
【襲撃される3日前】
それは朝灯と同僚の衛生兵ミエ・ハリアードの会話に朝灯のライトに対する秘密の感情を暴露したあの日。
ミエ「朝灯、ライト・インメルマンは本当はどう思っているの?」
衛生兵ミエ・ハリアード
吉野朝灯「馬鹿な奴よ嫌いな奴よ、デリカシーがないと言うか・・・・・・」
この時の会話はいつものような会話であった。
ケビンは同じカフェで普通に読書していた。
狙って盗み聞きしているわけではない、朝灯たちが自然にケビンの近くに座っただけである。
このミエもケビンの話を聞いてライトと朝灯を仲好くさせようとしている一人であったが。
後ろ姿のケビンには気づいていない。
朝灯はそんな事情も知らないで話を進める。
吉野朝灯「でもさ・・・・・・あいつだけは完全に嫌いになれないんだよね。」
ミエ「あいつってライト・インメルマン?」
吉野朝灯「うん。」
ケビンは突然の言葉にコーヒーを喉を詰まらせた。
何か凄い事を言いそうな予感がした、ケビンは振り向かずに新聞を読んでいるふりをする。
朝灯が一体何を言い出すのか、ケビンは気になってしょうがなかった。
吉野朝灯「あいつの父親、カール・インメルマンらしいのよ。」
ミエ「カール・インメルマン?確か早期警戒機のパイロットに変換した幻のエースでマックス・インメルマンの親戚の?」
吉野朝灯「うん、インメルマン姓だからもしかしてってね。父さんや母さんとARMD-213に勤務していたから知っているのよ、父さんと母さんの話じゃ息子がいたらしいのよ。」
ミエ「それがライト・インメルマンと?」
吉野朝灯「そうなのよ、でもね。父さんと母さんはカール・インメルマン少佐に息子の名前を聞いてないのよ。」
ミエ「へぇ~それでなんでカール・インメルマンの話が出てくるの?」
吉野朝灯「実は初恋の相手なのよ。」
ミエ「は・・・・・初恋のあ.相手~」
それは襲撃当日ライトと朝灯の会話に出てきた朝灯がライトの父、カール・インメルマンが初恋の相手と言う事であった。
突然の話にケビンはコーヒーを喉に詰まらせ、同僚のミエは食べていたパンを更に落とす。
二人を横目に朝灯の顔は若干赤くなってしまう。
ミエ「まさか、朝灯.ライトがカール・インメルマンの息子だから、気になっているわけ?男嫌いなのに?」
吉野朝灯「実はそうなのよ、最初に会った時.いきなり所属部隊を乱す屑野郎と思って軽蔑してみたけど・・・・・・母に見せて貰った写真のカール・インメルマンの面影がって・・・・・・だんだん同じ基地で勤務しているうちにライト・インメルマンに対する気持ちが不思議な気持ちになって・・・・・・」
ミエ「へぇ・・・・・・・・」
朝灯の顔は更に赤くなってしまう。
そんな朝灯はついにとんでもない事を言いだしてしまう。
吉野朝灯「実は、ライトの事が気になって気になってしょうがないのよ。でもいきなり険悪モードに入ってしまい、素直に気になっていますとか言えなくて。カール・インメルマンの息子かもしれないと言う感じとは違う感じで・・・・・・・・」
朝灯は今までライトの事を気になっていた。
だが初対面でいつもの男嫌いの癖が出てしまいライトに素直に気になっていましたと言えなくなってしまい。
いつか仲直りしようと考えるがいつもの調子から中々上手く抜け出せないでしまった。
吉野朝灯「あたしどうしよう・・・・・・・」
男勝りの朝灯はこの時ばかりは狼ではなく犬のように大人しくなってしまう。
朝灯は内心は臆病者である。
勢いでやってしまう事があり、戻ろうしても戻れない程に。
だから友人であるミエに正直告白したのである。
本来は朝灯の心と言う名の固い殻の中に潜んでいる物を吐きだすように。
ミエ「でどうするの?朝灯?」
吉野朝灯「・・・・・分からない・・・・・・・・私は男勝りで男嫌いの仮面を被った臆病者だからどうすればいいのか分からない・・・・・」
朝灯はふさぎ込んでしまう。
その後、終始無言になってしまいサンドイッチを摘まんだ後勤務先に戻ってしった。
ケビンは話の最中、バレないかどうか話を聞いていたが朝灯の意外な一面を知りライトに伝えるチャンスと捉える。
___________________________________________
ライト「朝灯が俺の事を・・・・・・・・」
ケビン「あぁあいつは内心、臆病者で素直に慣れずにいたそうだよ。」
ライトはケビンから語られた事を聞いて朝灯を見る。
朝灯はこのまま自分自身に対する正直な気持ちを伝え切らずに死んでしまうのか・・・
そうとなれば朝灯は悔いを残してヴァルハラの元へ旅立ってしまう。
ケビン「どうするんだライト?このまま吉野は死ぬかもしれないんだぞ、気持ちを伝えるのは今だと思うが・・・・・・・・」
ライト「だが思いを伝わらないが・・・・・・・・」
ケビン「馬鹿野郎、伝わんなくても正直に言えばいい。俺らの隊長だろ、死んだホズミもそう言うはずだぜ。」
あの勝ち気な表情で時折見せる笑顔が眩しい朝灯が死んでしまうのか?
だったら肉体と魂があるうちに聞こえていなかろうが・・・・・・・気持ちを伝えねば・・・・・・・
ライト「朝灯・・・・・・・・聞こえていないだろうが、俺もお前の事が好きだ。お前が死ぬならば、俺が死んだ後来世で再び・・・・・・・そうならないためにも、どうか目覚めてくれ朝灯・・・・・・・」
ライトは医療テントのベットで眠る朝灯を抱きつく。
下手したら永遠に目覚めぬまま死んでいくかもしれない朝灯。
ライトが明かした正直であった。
朝灯のほっぺにはライトの涙が落ちていた。
カシャ
ロバート「やはりここにいたのか、ライト・インメルマン。」
ライト「お前はロバート・キノ・・・・・・」
ロバート「たくお前はまんまも騙されているな・・・・」
ライト「へっ!?」
突然医療テントのカーテンを開いて現れたロバート・キノの言葉にしらけるライトとケビン。
騙されている?それは一体どう言う・・・・・・・
ロバート「いや全体だ、朝灯はもう目覚めているんだよ。なぁ起きろや。」
ライト「目覚めているだ・・・・・・・・」
バコッ
ライト「ガッ・・・・・・・・・」
ライトの顎にアッパーが決まる。
それを打ち込んだのは朝灯である。
ケビン「お前、生きていたのか・・・・・・・・・・・」
バコッ
近づいてきたケビンにも拳の攻撃が腹に決まる。
ケビンは物凄く痛そうに腹を抑える。
吉野朝灯「あたしは生きているよ、この馬鹿共!!」
朝灯は体をL字のように曲げ置きだす。
アッパーが決まり顎を抱えていたライトは朝灯が起き出した事に驚きと歓喜の気持ちが一斉に出た。
だが・・・・・・・・・・
ライト「朝灯・・・・・もしかして今の事は・・・・・・・」
吉野朝灯「勿論聞かせてもらいました、まったく・・・・くだらない事を・・・・・」
ライト「ぬぅ・・・・・・」
ライトが言った正直はすべて朝灯に聞かれていた。
その事実を知ったライトは物凄く恥ずかしくなった。
もしかしたら、嫌われるんじゃないかと・・・・・・・・・・
ライト「それよりいつから目覚めて?」
吉野朝灯「昨日よ、あんたがあたしを看病してくれているのは知っているわ。」
ライト「知って・・・・・・」
朝灯はライトが看病している事を知っていた。
ずっと寝ないで背を向け朝灯を守るように看病していた事を・・・・・・・・
でライトは驚くが・・・・・・少しだけ気になる事がある。
ライト「でなんでこいつが知っているの?」
ロバートだ、なぜ朝灯が気絶しているふりをしているのか不思議でしょうがなかった。
だがその疑問は直ぐに解決する。
ロバート「俺はお前より吉野との勤務は長いんだ、こいつの丈夫さからだとこの程度の怪我如きで死ぬわけない。一向に目覚めないのは気絶ふりだろうと思ったのさ。」
ロバートはライトやケビンより朝灯と勤務している歴が長い。
怪我した時、いつも朝灯のお世話になっている事がある。
以前、朝灯はバイク事故を起こして基地内の病室に入院した事があった。
最初は気絶していたが、ある晩ロバートが基地内の自動販売機でドリンクを買いに行っている時気絶していた朝灯が大量のお菓子の袋を持って病室に向かっていたのを目撃した。
既にロバートは朝灯の気絶のふり癖は見抜いていた。
ライト「朝灯、お前騙していたのか?」
吉野朝灯「おいこら、あたしの胸倉掴むな・・・・セクハラ。それに一応怪我人なんだぞ。」
ライト「おわっと。」
ライトは思わず朝灯の胸倉を掴んでしまい、朝灯に睨まれる。
あっと思ったライトは朝灯の胸倉から手を離す。
吉野朝灯「でも今回の胸倉を掴んだ事を許してあげる、胸には触んなかったらしいし。」
朝灯はライトが自分の胸倉つかんだ事に対して異例にライトを許した。
いつもならばライトをボコボコに殴りつけるパターンであるのだが。
ライトはいつもは殴ってくるのかと思って構えたが、構え損であった。
ライト「ケビン・・・・」
ケビン「なんだ?」
ライト「俺の3日間の役目は終わった、仕事場に戻るよ。」
ライトは3日間の役目を終えSVF-678の任務に復帰するとケビンに伝える。
朝灯が目覚めた事によりようやく一番の不安と言う名の荷物を降ろす事ができる。
これでクリフ隊長の命令を軽く受け流しながらの勤務が出来る。
当分は地球人とゼントラーディ人のハーフである朝灯の驚異的な回復力があるから当分は、失った3日分の仕事をしよう。
ライトは仕事気分全開にしてそう思った。
吉野朝灯「ライト・・・・・」
後ろから朝灯がライトに向けて名前を呼びながら、ライトの軍服の右袖を掴む。
何かと振り向いたライトだが・・・・・・・・
ガツッ!!!!!!
ライト「なっ・・・・・・・・・」
朝灯がライトを引き寄せてその右腕に抱きついた。
当然の出来ごとにライトは顔が赤くなってしまう。
吉野朝灯「今回はありがとう.ライト・インメルマン。」
朝灯はライトに向けて感謝の言葉を述べた。
まるで別人のようになったかのような美しい青髪のショートカットの少女になっていた。
いつもの勝ち気な男嫌いの・・・・・・・・
ライト「馬鹿女じゃない・・・・・・・・・・」
ドスッ
吉野朝灯「いいムードを余計なひと言で壊すな馬鹿・インメルマン!!」
と思ったが・・・・・・・直ぐに戻った。
この件以降二人で共にいる時間が増え関係は良くなったが・・・・・・・
グギャァァァァァ←ライトの悲鳴
当分は朝灯の男嫌い癖の残り香が残り、この調子が続く事になった。
その間、ライトは朝灯に半殺しになる事になる。
だが時代はこの性格が反対でなんかいい関係になった二人をよそに、とんでもない方向へ動き出そうとしていた。
【第2次シェルバン戦争への道】