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大学病院というと何となく、前記の諸条件をすべて満たしていると思いがちである。しかし、各条件をよく読んでいると、決してそうでもない。自分が希望する科に実力のある指導医が各分野に広く存在する点はいいが、果たして親切かどうか。大学では研修医の数が多過ぎる為、そこまで手が廻らないというのが実情であろう。又、各科相互の連絡が良好とはいえない場合が多い。研修医に対する外来、入院、手術といった患者の割合が極めて少ない。これは常勤医の数が多いので宿命的と言えよう。多額の給与はもちろん望むべくもない。
しからば大学病院以外の総合病院では、どうであろうか。ごく少数の病院を除けば、いろいろ不備な点が更に多くなっている。しかし、非常に割り切った私見をあえて述べさせてもらうならば、将来有能な第一線臨床医として立ちたい方には、総合病院で研修を受けられることを勧めたい。
ことに、いわゆるメッサ一ザイテというか、外科系の場合にその感が深い。大学病院では前述のように、手術の件数の割に医師数がむやみに多い為、僅かなケ一スのコ一ヒキ、糸結びをやる位で進歩がない。数年経つと、学会や文献のお陰で、「口は立つようになるが、腕はいっこうに立って来ない」であろう。
内科系においても、外科系ほどではないが、同様のことが言えるであろう。年間十例内外の入院患者を担当していても、臨床経験は必ずしも深くはならない。もちろん自分で受け持たなくても勉強は出来る。しかし、自分が担当し、その時に本を読んだことは、(医師になって年数が経っていない程)一生忘れない貴重な経験となるものである。
一律に総合病院といっても、かなりの程度の違いがある。即ち、前記の項目を出来るだけ多く満たしているような病院を選ぶべきである。出来れば、既に研修を受けられた先輩の方々に実情を聞いてみるのがいい。