
同じ過ちって感じで、マスコミが報道している。大学病院なら、どうにかなったはずって感じで、マスコミが報道されいる。
しかし、見方を変えると、深夜に手術をしている奈良県立医大の産婦人科、本当にご苦労様。それに、10カ所の病院が深夜でも受け入れが出来ない程、頑張っていること、それに対してもご苦労様と言いたい。多くの産婦人科医が、人知れず頑張っているのに、その頑張りに対しての賞賛はなく、何かあった時に叱責が多いだけって風潮になっている。
大学の産婦人科の医師がどんなに限界で働いているのか知っているだけに、マスコミの非難を疑問に思う。その時1つベッド空いていていたのにとか言ってマスコミが騒いでいるが、そんな問題ではない。奈良県では、1人の医師が年間160件もの分娩を扱っているのだ。そして、恐らく、救急車が連絡をその時にとったどの産婦人科でも、それなりに限界に近い感じで働いていると思う(働かされていると言った方が適切なのかも知れない)。その過酷な条件で、医師側が訴訟を県を相手に現に起こしているのだ。
私の姪が(次兄の娘)が、関東の病院の産婦人科で産婦人科医として働いているが、話を聞いてみると、想像以上忙しそうで、皆、若い産婦人科医が疲れ切っていると言う。買い物をする暇が充分に取れないとのこと。次兄がその娘に会いに言って、私に電話が掛かってきた。「小児科と産婦人科、忙しくて大変やなあ。給料はいいみたいやが・・・」と(日本の場合、その多くは、忙しいからと言って、その科だけその分給料が上がる訳でもないのだが)。実の親でも、自分の娘がどんなに忙しく働いていたのか、数カ年間も知らなかったのだ。ましてや、一般の人が、産婦人科の本当の忙しさを知るすべもないはずだ。
今回、分別ある年齢なのにかかりつけ医がなく、深夜の3時頃に買い物をしているのも何か腑に落ちない(夜遅くまで仕事をされているのだろうか?)。流産歴がある。週数にしても、いろんな報道がされている。父親である男性の悲しい顔が全く出てこない。何か、不自然さを感じる。
マスコミの一方的な報道、一般の人の医療に対する認識、今の不徹底な周産期医療の実態に対しての行政の認識、それらが待ったなしで早急に変化せざるを得ない時期に既に来ている。
以下は、8月29日の毎日新聞の内容
奈良の搬送中流産:「同じ過ち、なぜ」 大淀の教訓生きず「医療機関充実していれば」
深刻な産科医不足が、またも悲劇を生んだ。大阪府高槻市で29日、妊娠中の女性(36)を搬送していた救急車が交通事故に巻き込まれ、その後、女性の流産が確認された。女性は、奈良県橿原市内で買い物中に下腹部の痛みを訴え、9カ所の医療機関に受け入れを断られた末、約1時間半後に受け入れに応じた高槻市内の病院に向かう途中。救急車に乗ってから約2時間20分後の事故だった。同県では昨年8月に19病院から受け入れを断られた妊婦が死亡し、周産期医療の救急体制の不備が問題になったばかり。その遺族は「なぜ同じことが繰り返されるのか」と、唇をかみしめた。
女性が「下腹部が痛い」と訴えたのは、橿原市内の自宅近くの24時間営業スーパーで買い物をしていた29日午前2時44分ごろ。一緒にいた同居の男性が119番通報した。9カ所の医療機関に延べ11回、「手術中」「処置中」と断られ、ようやく同4時19分に高槻市内の病院が受け入れに応じた。救急車が同市内で事故に巻き込まれたのは、同5時9分ごろだった。
代わりの救急車は現場で約30分間、足止め状態に。「胎児が、女性の体外に出ており、処置などに手間取った」という。胎児は20週目くらいだった。橿原消防署の西谷重信・予防課長は「女性には不幸なことだった。医療機関が充実してさえいれば、こんなことにはならなかった」と話した。
同県大淀町立大淀病院では昨年8月、分娩(ぶんべん)中に意識不明となった高崎実香さん(当時32歳)が、19病院に転送を断られた末、約60キロ離れた搬送先の国立循環器病センター(大阪府吹田市)で約1週間後に死亡した。高崎さんの義父憲治さん(53)はこの日、「悲しく、悔しい。家族として同じことを繰り返さないよう訴えてきたのに、何も変わっていない。関係者は責任を持って、もっと真剣に考えてほしい」と訴えた。
救急搬送が必要な妊婦を県外病院に転送する比率が04年に4割近くに達していた同県。大阪府でも、「産婦人科診療相互援助システム」加盟病院への搬送件数は、96年の963件から、05年には1779件と2倍近くに増加している。両府県など2府7県は、府県境を越えて円滑な緊急搬送を実現するため「近畿ブロック周産期医療広域連携検討会」を今年3月に設置。来年度からの運用を目指しているところだった。
1次救急どう対応--大阪府の産科救急ネットワークの中核を担う府立母子保健総合医療センターの末原則幸・副院長兼産科部長の話・・・府内の「産婦人科診療相互援助システム」(OGCS)は、かかりつけの病院など地域の出産施設から搬送を受ける2次救急のネットワークの中にある。今回のように、救急隊が現場から妊婦を搬送する1次救急は、枠組みに入っていない。今後、1次救急にOGCSとして、どう対応するか検討する必要がある。