第2回「日本の心・さいき」
「日本の心・さいき」の会の会長 田原 正英
皆さん、こんにちは、韓国語では、ヨロブン・アンニョンハシムニカ、中国語では、タ-チア・ニ-メン・ハオ、インドネシア語では、スラマ・シアン・サゥダラ・サゥダラ(他の言い方もあります)と言います。
今回、この様に、盛大に開催出来ましたこと、感謝・感激です。多くの人の支援の賜です。佐伯在住のインドネシアの方々、大分大学、別府大学、日本文理大学、日本文理大学附属高校、韓国留学生・学生会長の鄭恩叔(ジョン・ウンスク)さん、大分韓国教育院長の孫在奉(ソン・チェボン)先生、佐藤佑一市長、市議会議員田中利明氏、市役所の方々(特に、国際交流課)、茶道裏千家鎌田宗百教授、鎌田社中の方々、国際書芸展副会長・東九美術書道会長の三田井筑翠先生、和太鼓の赤松裕文氏・広瀬文久氏、若鮎子ども太鼓の子ども達、佐脇計志先生、佐脇武先生、池田有三先生、島田喜和子先生、南海病院で金曜日に練習されている太極拳の方々、その他、多くの賛同者の協力の賜の結果です。ありがとうございました。
150人程の外国の人が、一斉にこの佐伯に集まって頂いたこと、夢の様です。この会場では、日本人の数と外国人の数、差がありません。見方を変えると、ここにいる人、皆、お互いに、外国人、国際人となります。
インドネシアでは、イスラム教徒の人が、全体の9割近くもいます。湾岸戦争でのイラクの行動で、イスラム教と言った場合、日本では、変なイメ-ジが、マスコミにより、植え付けられて来ている感じがしています。イスラム教徒の多いインドネシア、政局の安定していないインドネシア、恐らく、多くの日本人は、今も、誤ったイメ-ジを(私がかってそうだった様に)持っているのではないかと思います。しかし、実際に、インドネシアの人に接して下さい。インドネシアに付いてもっと詳しく調べてみて下さい。世界の中で、5~6人に1人が信じているイスラム教に付いてもっともっと勉強してみて下さい。そこには、今までと違った、全く別の世界を発見するに違いありません。インドネシアの人だけでなく、韓国の人、中国(中華人民共和国)の人、台湾(中華民国)の人、香港の人、ミャンマ-の人、ブラジルの人、直に接してみて下さい。
如何に我々が誤解していたかが、よく理解出来るはずです。
平成9年12月13日(日)に、城南公民館で、佐伯市に在住している20人のインドネシアの方々と、国際交流をしました。お粗末な第1回の「日本の心・さいき」でしたが、インドネシアの人にとても喜ばれ、又、それを機会に、インドネシアの人と頻回に接する様になりました。そして、気が付きました。今まで、如何にインドネシアの人に対して過った考え方を持っていたかを。与えるはずが、逆に、私自身が多くのことを彼等から学ばせて頂きました。
日本では、同和問題が、今も教育委員会などで大きく取り上げられています。しかし、それ以外に、差別の問題は山積しています。国際交流の言葉が、昨今頻回に耳にしますが、まずは、身近にいる人から、身近な国から始めるべきではないでしょうか。現在、インドネシアの人が、佐伯周辺に50名前後も在住しています。
今も、韓国は近くにあって遠い国です。しかし、いつまでもこの状態でいい訳がありません。私自身、韓国語の学習の過程で、韓国の先生方に接して参りました。ある韓国の留学生の方が次の様に言われました、「大分に来ている韓国の人、皆、同じ間違いに気が付いている。日本を誤解していた」と。
多くの日本人が、行政やマスコミにより、韓国やロシアやインドネシアやアフリカに対して、変なイメ-ジを植え付けらています。例えば、アフリカと言えば、貧困のイメ-ジで考えがちです。もちろん、そんな国も現存しますが、そんな国ばかりではありません。モロッコに1年間住んでいた私の同級生が言いました、「モロッコ、もちろん、言葉は、アラビア語かフランス語で、食事とか違うけど、佐伯とそんなに違わないよ」と。ガ-ナに1年間住んでいた私の英会話の先生が言いました、「ガ-ナの大学に行ってたんだけど、ストレスもなくてとってもにいい所だった」と。
アメリカの大学に留学している身内の者が言っています、「アメリカはどんな国と言う質問が一番困る。だって、国が広くていろんな人がいて、言える訳がない」と。イタリアに行くと、それぞれの地域でそれなりの個性があって、その違いの大きさに驚かされるとのことです。
全国の知事の中で、最も人気があると言われている平松守彦氏は、「20世紀は、経済の時代だった。21世紀は、文化の時代になる」と言われます。明治維新以後、モノとカネがあれば、立身出世をすれば、人間は幸せになれると信じていました。富国強兵を推し進めれば、日本が豊かになれると思っていました。終身雇用、年功序列的な考え方で来ました。しかし、今の時代、それで乗り切れないことに、多くの人が、気が付き始めています。
21世紀は、「心の時代」になると思います。そうならなければ、地球の生き物全部が滅んでしまいます。相手を核で攻撃すれば、いつかは、その後遺症で自分も滅んでしまいます。それは、誰の目にも明らかです。他人との競争からは、真の思いやりの精神は生まれません。共生の時代になるべきです。人と人との間だけでなく、人間は自然とも上手に調和を保って生きるべきです。ヒトも自然の一部であるし、又、宇宙空間の一部なのです。
ライオンなどの肉食動物は、目の前に獲物がいても、お腹がすいていなければ襲いません。日本の様に、人口密度が高く天然資源が少ないのに、飽食傾向にあって、大気汚染の進んでいる国では、世界に先立って、モノやカネに対して、不必要最大限を求めることを止めて、必要最小限で満足するべきではないでしょうか。
故・相田みつをさんは、「奪い合えば足りぬ、分け合えば余る」と言います。
21世紀を素晴らしい時代にする為のキ-ワ-ドは何かと問われれば、私は、即座に、「子ども」「自然」「国際交流(外国語)」「日本文化」「インタ-ネット」の5つ、と言います。
子どもは未来です。好奇心に溢れています。意欲があります。瞳が大きい為に、目が輝いて見えます。大人顔負けの夢があります。先天的に、国際交流外交官的存在です。頭が柔軟です。しかし、そんな子ども達も、恐ろしいことに、子どもを取り巻く環境でどうにでも変化します。
佐伯から出ない人には、佐伯の良さは、よく理解出来ません。佐伯から出て、やっと、佐伯の良さに気が付きます(私がそうでした)。日本の良さは、外国に行って、よく理解出来ます。外国に行けない人は、外国の人と接することで、少なからず理解出来ます。地球の良さは、宇宙に出て、よく理解出来ます。現に、月に行った宇宙飛行士の多くは、宗教家になっています。そこに神を見たと言う人もいます。宇宙船ミ-ルで9日間過ごした秋山豊寛氏は、「俺が生まれた星というのは、こんなきれいな星だったのか。地球に戻ったら、俺は地球を修復しよう、少なくとも、地球を傷つけないことについて真剣に考えてみるべきだ」と言って、現在、農業を営んでいます。
幸い、佐伯は、多くの人の憧れの土地になっています。外国の人に尋ねてみて下さい。恵まれた自然と共にある佐伯です。国道10号線は、市内の中心からそれ、佐伯市のシンボルの「城山」が、どかっと、中心に位置しています。その城山では、朝、鹿を見ることが出来ます。夜は、ムササビを見ることが出来ます。国の天然記念物に指定されているオオサンショウウオを見ることも出来ます。九州で2番目にきれいな河川と言われている「番匠川」が、肥沃なデルタ地帯を形成して、新鮮な野菜が栽培され、シラウオやアユも捕れます。佐伯湾周辺の「海岸線」は、きれいで、日豊海岸国定公園でもあります。海流の関係で、魚は特別においしく、県外からも、それを求めて来る程です。活断層もなく、台風の被害も少なく、造船業が盛んな所です。水不足もありません。冬は暖かくて、雪が積もることはなく、夏は涼しくて、四季を通じて、非常にしのぎやすい地域になっています。それに、佐伯の人は、溶け込んでしまうと、情が実に深いのです。
今の日本では、いいことは、強調されなくて、悪いことがクロ-ズアップされています。例えば、日本の乳児死亡率、世界一がずっと続いています。しかも、昨年度は、大分県は、全国一、いい県でした。佐伯の救急医療は、ピカ一で、10万人足らずの佐伯周辺の人口で、これほどに救急医療が発達している所、全国的に実に珍しいことなのです(佐伯の人は、永いこと、慣れてしまっていて、さほど、この救急医療の有り難さを感じなくなってしまっています?)。不登校の数も、大分県は、全国的には、極めて少ない県の一つになっています。
「子ども太鼓」に関しては、佐伯には、4チ-ムもあって、5月17日の佐伯でのサッカ-の試合前に、30名近くもの佐伯の子ども達が、一緒になって、立派に和太鼓演奏をしています。子ども達のお茶の取り組みも盛んです。春祭りには、ますらお(男)茶会、国際茶会(インドネシアの人がお点前をし、佐伯の人が、頂きました)に、「子ども茶会」(学校茶道を数に入れると、回数は、既に、10回を越えています)が、汲心亭で行なわれました。
佐藤佑一市長は、そんな今の佐伯を、「海洋都市であり、文化都市でもある佐伯」と、言われています。
そんな素晴らしい佐伯を、多くの人に、再認識して頂きたいと思います。佐伯には、世界に誇れるものが、しっかりあります。佐伯には、子どもから大人まで、いい日本の文化が育っています。日本の文化には、人として生きる「道」が内蔵されています。
大分県のコアラの活動は、かなり前から、注目されていました。しかし、コアラだけではありません。佐伯にも、ミ-ルを始め、パソコン通信が盛んになりつつあります。インタ-ネットでのホ-ム・ペ-ジを利用すれば、多額のお金を掛けなくて、世界に発信することが出来ます。
話は、長くなりますが、ここで、日本と言う国、日本人の考え方、生き方に付いて、考えてみたいと思います(私の偏見も、多分にありますが・・・)。
地球上での日本の地理的位置は、北半球でも、南半球でも、その同じ緯度では、その多くは、砂漠になっています。日本が砂漠になっていないのは、高くそびえるヒマラヤ山脈の存在の為で、インド洋からの湿った大気の流れが、このヒマラヤ山脈にぶつかり、それが偏西風に乗って、島国の日本に湿度や雨をもたらしているからです(アメリカには、梅雨は、ありません)。
日本の特徴は、細長い島国であることです。島国は、イギリスと似ていますが、イギリスには、暑い夏がありません(冷房装置がありません)。しかも、イギリスと違って、日本の場合、外国からの攻撃を、さほど深刻考えなくて、歴史が進んでいます(今も、そんな所がありますが)。しかし、日本人の多くは、昔から、島と言う意識を、強く意識して来ています(今も、日本には、島国根性と言う言い方がよく使われています)。