俺はワルポンだっ!

ちょいワルおやじを卒業したワルポンの斜め下から見た現代社会

『カニ大好き!』

2008-11-15 20:26:08 | Weblog
晩秋はカニの季節でもあります。

生まれ育った家の前に、川幅が一間(いっけん)ばかりの小川が流れておりました。
そこより上流に民家の無い本川から分水した用水路だったので、川の水はきれいに透き通っていて、正に清流そのものでした。

うちの前の両岸は、ほぼ鉛直に石垣が積まれていて、空積みでしたから石垣には沢山の空隙があって、川底の穴はカニや魚の恰好の隠れ家になっていたのです。

「カニは甲羅に似せて穴を掘る」という諺がありますけれど、土手になっていればカニも魚も自分の穴を掘ってひそんでいるのでしょうが、石垣なので穴を掘るわけにはいきません。カニは多分、しょうが無いので甲羅に合わせてまちまちの大きさの穴を選んで棲んでいたのだと思います。

土手に掘った川底の横穴を「ごろ」と呼んでいましたが、悪がきどもは手を突っ込んでは魚やカニを捕まえていました。
ところが石垣の穴は大きさが限られているため手が入りませんから、カニに逃げ込まれたらお手上げです。

☆       ☆       ☆       ☆

落ち葉が散り始める頃、細竹で編んだカニ笯(かにど)を作ります。

カニ笯とはカニを捕まえるための漁具で、径が40cm・長さ1m位の円筒形の筒状の竹かごで、入り口には入った獲物が戻れないように返しを付け、筒の尻は縄で縛ってすぼめ、カニを取り出す時に縄をほどいて逆さに振って取り出します。

この時期、カニは産卵のため夜中に川を下る習性があるので、カニ笯を上流へ向けて川底に一晩つけて置きます。
川幅いっぱいに、竹で編んだ「すのこ」を張ってカニ笯の入り口にカニを誘導するのです。
雨の日の翌朝などには沢山のカニが入っています。

☆       ☆       ☆       ☆

ワルポンが4歳の時、赤痢に罹って、やせ細って生死の境をさまよったのであります。
戦後間もない食糧難の時代、医薬品も満足にありません。
赤痢は法定伝染病で、罹ると強制的に隔離され、当時は十中八九死んでしまう時代でした。

「赤痢は下痢を止めることが先決、食べ物を与えないこと」と言うのが、病院の先生の指示だったそうです。
痩せ細る一方のワルポンを見て、おやじは「栄養を摂らなければ死んでしまう」と、先生の指示に反して内緒で、川ガニを沢山獲っては毎日食べさせてくれたそうです。

「腹減った~、カニ食べたい~!」と泣き叫んで、「何も食べさすな、という先生の手前、本当に弱ったよ」、「お前は川ガニのおかげで、命拾いしたのだよ」と、生前のおふくろによく聞かされました。
ほの暗い病室の壁の桟の上に、ほぐしたカニの身が入っている弁当箱が置いてある光景が、今でも薄っすらと記憶の底に残っています。

カニの名は、「モクズガニ」という川ガニです。

爾来、ワルポンにとって命の恩人であるカニのことは寝ても覚めても、いつも頭から離れません、好きで好きで大好きで堪りません・・・

ワルポンの大好物!と、なってしまったのです。
(ちょっと思考回路が違うかな?・・・)

☆       ☆       ☆       ☆

千葉・地元産の丸ガニはリーズナブルですが、形が小さいのであまり食べた気がしません。
ワタリガニは中国産が多くて手が出せません。
ズワイガニ、毛ガニは高くて手が出ません。

時々、スーパーで安いカニを見つけては買っているのですが、当たりハズレが激しくて、なかなか美味しいカニに出会えません。


先日、880円、北海道産・生のワタリガニを近くの大手スーパーで見つけたのです。
安い! すぐさま買いました。

・・・ところが、甲羅の中は、ほとんど空っぽ、胴と足の身は全部で刺身の醤油皿一杯程度・・・

スーパーの鮮魚売り場にクレームの電話を入れました。マネージャーなる人が電話口へ。
(ワイフは何を言うかと心配顔でしたが、この頃、いちゃもんをつけるのも老化して、優しいものです)
結果、いい物が入ったら、連絡をしてくれるとのこと。

・・・三日ほどして、電話がありました!
「富山産の近海もの、水槽の中で元気いっぱいに泳いでいますので是非!」とのこと。

一パイ1680円也!メス。
キヨブタで、久々に見栄を張って二はい買い求めました。

ほぐした身は、弁当箱いっぱいありました。

カニ大好き!
ワイフも大好き! 


いえ、ワイフもカニが大好きです。