夏は人を狂わせる季節であり、深夜は人を狂わせる時間である。故に夏休み明けには学生カップルには子供が、目覚めたら素面では書けないラブレターが目の前に転がっているのが世の常だ。
幸い今は夏ではなく、彼女も居ない僕には子供は目の前に転がっていないが、深夜は毎日あるのだ。深夜は怖い。魔の時間だ。
幸い目の前に素面で書けないラブレターは無いが、髪が八割無い。深夜に髪を切ってしまった。それもセルフで。目にかかっていた前髪はどこかに消えた。うん、なんか渡部篤郎っぽいかな。そのように深夜は僕に思わせる。真に受けて切る。朝鏡の前に居るのは渡部篤郎ではなく、昭和の子供、良くて品川庄司の品川だ。もしくはリリーくん。いやそんないい物でもない。
深夜には何もしない方がいい。