NOTEBOOK

なにも ほしがならなぁい なにも きたいしなぁい

ブライズメイズ

2012-12-02 | 授業
安心のジャド・アパトー印かと思いきやあんまり評判が芳しくなかったけれど、観たら理由が分かった気がする。


リトルランボーズ


主人公のアニーは30代後半でケーキ屋の経営に失敗し、母親のコネで気の進まない仕事に就き、お金が無いから変なイギリス人兄妹とルームシェアをする冴えない生活。恋人はイケメンで金持ちだけれど、セックスが終わるととっとと帰れと促す最低男。そんな時に小学校からの親友が結婚することなり、親友であるリリアンが結婚することなり、親友のアニーが親友として花嫁のさまざまな世話をするブライズメイズ(花嫁付添い人)に成ることに。

ところが、アニーのほかに選ばれたブライズメイズの中の一人、へレンがリリアンのもう一人の親友として花嫁付添い人を仕切り始める。美人で、お金持ちで、センスの良が良く、しかも自分の知らないリリアンとのエピソードを嬉々として語るヘレンに対して、アニーは対抗心をみなぎらせ、結婚式の準備は徐々に混乱へと陥っていく。

何で評判が悪いのか。予告編でも散々取り上げられた序盤の食中毒のシーン。もう下ネタを越えた地獄絵図。これはもはやホラー映画。『スペル』のホラー描写が過激すぎてコメディーに転化してしまっていたのとは逆に、『ブライズメイズ』のお下劣描写は過剰すぎてホラー映画のゴア表現並みに観る人にとっては不快なものになりかねない表現になっているように感じる。もちろんぼくも不快。

でもこの映画の中で描かれているテーマはとっても魅力的。例えば主人公のアニーとヘレン。アニーのヘレンへの対抗意識は表面的には親友の自分以外の親友に対する嫉妬として描かれているけれど、そこに内在している問題として社会の成功への階段を登れなかった人と登れなかった人との間の関係性が描かれている。ブライズメイズの揃いの服を巡って、アニーは安い物をヘレンは高い物を、飛行機はエコノミーとビジネスを選ぶ。

アニーの30台女子の恋愛事情(イケメン金持ち自己中と優しく誠実な普通の男との間で揺れる)とかも面白い部分が結構ある。この映画で面白かったのはシリアスになる部分。アニー役を務めたクリステン・ウィグが共同脚本としてクレジットされているけど、この映画、コメディ映画にするよりももう少しドラマよりにした方が面白かったんじゃないだろうか。ドラマ部分が優れている、その点ではきちんとジャド・アパトー映画だったと思う。

ワンデイ

2012-12-02 | 授業
劇場公開時に観に行こうと思っていたら、いつの間にか終わってた。


リトルランボーズ


まごうことなきアン・ハサウェイ映画。大学時代に憧れていた男子、デクスターとセックスする機会を得るも、ちょっとした偶然でその機会を不意にしてしまったエマ。セックスしなかったことで二人の間に友情が芽生えていくという筋書き。親友と言いつつ、セックス以外はするという関係性が最近はやりの『ステイフレンズ』や『抱きたい関係』、それに同じアン・ハサウェイ主演の『ラブ&ドラッグ』といったセックスから純愛が始まる映画とは真逆でちょっと新鮮。

23年間の7月15日という1日のみを描くという構成も斬新。だから、例え二人の間の何か重大な出来事があったとしても、7月15日じゃなければ映画の中では直接には描かれない。その日の後にその大きな出来事について触れられる。23年の間の恋愛というか関係性を描くなら、23年間の間イベントごとに切り出していきそうなものの、それを1日だけに絞ったのは大正解。ばっさばっさと切り落としさっぱりとした印象に。あっけないとも言えるけど。もちろん原作小説があるので、元からなんだろうけれど。

というか、単純に甘酸っぱい関係性を描く『ラブ&ドラッグ』のような恋愛ドラマで、アン・ハサウェイが主演なんだと思っていたけど、観てみると違った。甘い関係性ばかりではなく、互いに必要としあう関係性で人間ドラマとして面白かった。イケメンでお坊ちゃまでテレビの司会者で女遊びばかりしている野郎だからまったく感情移入できなかったけど、エマが好きでもないのに付き合うイアンがまったく魅了的でなく描かれるので、どうしてもイケメン自己中野郎のデクスターに肩入れせざるを得ないように作られてるのがなんとも。彼の挫折から物語が単に恋愛だけではなくなってくる。

そして後半のある事件で、ぼくは思わず声を上げてしまった。この事件を後半に入れたことで単純な恋愛映画になることを拒否しているよう。ラストに時間軸を入れ替えたことで後味を損なわずに、恋愛からそれ以上の話に成れていたように思う。


それでも今作で注目すべきはやっぱりアン・ハサウェイの凄さ。大学時代の野暮ったい丸めがね姿に、メキシコ料理店での働いている姿、好きでもない男と成り行きで同棲しているころのさえない姿と自らの夢を叶えたときなどのエマの時々の姿がきちんとビジュアルで表現されているところ。野暮ったくてもアン・ハサウェイが可愛いという。またこの人は露出狂なんじゃないかと疑うほどにいい脱ぎっぷり。前述のセックスからの純愛モノの中でバストトップまでさらしているのは『ラブ&ドラッグ』のアン・ハサウェイのみ。あんなにあけすけで面白い『ステイフレンズ』のミラ・クニスもそこは守ってる。なんだかいつも脱いでる気がするアン・ハサウェイ。