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『ロングショット 僕と彼女のありえない恋』を観た

2020-01-04 | 備忘録
『ロングショット 僕と彼女のありえない恋』(公式)
joker


『ロングショット 僕と彼女のありえない恋』を観た。

監督は『50/50 フィフティフィフティ』のジョナサン・レヴィン。脚本・原案でクレジットされているのが『The Interview』のダン・スターリング。もう1人脚本としてクレジットされているのが、『ペンタゴンペーパーズ 最高機密文書』のリズ・ハンナ。かなり難産だったようで、ダン・スターリングが手がけた初稿はオバマ政権を想定してかかれており、セス・ローゲンが関わったのが8年前、セス・ローゲンがシャーリーズ・セロンに参加を乞うたのが5年前。そこから脚本を練りつつ、今回のバージョンになったとのこと。

オバマ政権を経た結果、本作の大統領は大統領時代にテレビドラマに出演し、その反響に味をしめて1期限りで大統領を止め、テレビドラマ俳優を目指すと言うトンでも設定。そして現実のトランプ大統領同様、ツイッターで過激な発言を厭わない人物として描かれる。そして、その大統領を支援するメディア王、ウェンブリーが登場する。もちろんニューズ・コーポレーションを率いるルパード・マードック。馬鹿でろくでなしの大統領とそれを支えるセクハラ、強権メディア王はまんま現実の反映だ。こんな大統領やメディア王が跋扈する世界では『デーヴ』など夢のまた夢。

そんな大統領に仕えるのが国務長官、シャーロット・フィールド。なかなかお目にかかれないシャーリーズ・セロン。ただ、嫌だ味を爆発させるシーンはジェイソン・ライトマン監督の『ヤング≒アダルト』のメイビスを彷彿とさせられる。そんなシャーロットと恋に落ちるフレッドはいつものセス・ローゲン。ただ、いつもと違って骨太のジャーナリスト=自分を曲げられない人というのが物語上非常に機能していたように思う。

中身はドラッグ、オナニー、顔射、スパンキング、首絞めセックスなどなどド下ネタオンパレードなのに、PG12指定。そしてこんな内容なのに、PC的に一切の隙の無い2020年のコメディー映画になっている。逆『プリティウーマン』という評も納得だけれども、それ以上にヒロインもヒーローも人間臭く、現代的な問題に悩み躓く。

個人的には設定としての大きさに比して、制作費の問題なのか描写がこじんまりしている点や上記のアップデートされた表現以外では凡百のロマコメと変わらないのでは?と思ったりもした。また、大まかな話の筋以外に細々としたネタが散りばめられているが、特に音楽ネタなどはかなりハイコンテクストなので、ネタが配されているのが分かるけれど、内容が分からないと置いてかれてしまう感覚に襲われる。半端に映画的な知識がある自分は、音楽的知識が足りずもどかしかった。

人を選ぶけれど、嵌る人にはとことん嵌るロマコメだと思う。もう一度行けたらいいなぁ。


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