あべちゃんの写楽生活

撮ることが楽しいのか、楽しいから撮るのか

行ってきましたパリ撮影旅行 2

2015年02月04日 02時00分39秒 | 写真

 

「ミモノで鼻血ブー?・・の巻」

 

パスポートを受け取った私は階段を下りて出国審査にむかった。

そもそも自分でパスポートを持ってくれば、

空港の全館放送で呼び出されるということはなかった

のだが、ビザの申請を代行してもらっていたのだ。

  

ビザ(入国許可証)というのは、パスポートに印を押してサインして

あるだけなのだが、その国の大使(領事)館までいかなければならない。

会社を休んで、電車賃を使ってわざわざ東京まで行ってられない。

素人だから書き直し、再提出なんて言われたら、最悪だ。

だからみんな手数料を払って旅行代理店にたのむのだ。

手数料の額を考えると、けっこう「ぼったくり」である。

ちなみにパスポートは「渡航許可証」だ。

  

出国審査の部屋では、みんな何かカードに記入している。

とりあえずみんなと同じことをしよう。ここは日本だ、間違ったらだれか

おしえてくれるだろう。

記入したカードをパスポートにはさみ、審査官にだした。

審査官はパスポートの写真と私を交互にみて、パスポートにガチャンと

ハンコを押した。それで終わりだった。

ハンコには「出国 NARITA」と記入されていた。

もう、ここからは「外国」だ。

  

スポット(駐機場)へ向かった。

飛行機に乗るまでは何も買うな、と親父に言われていた。

以前、親父が香港へ旅行に行った際、免税価格にうれしくなった仲間が

がっつり買い込み、旅行の間中、持って歩くはめになった、とのことだ。

  

スポットに入る直前、手荷物はX線のコンベアへ、人は金属探知機の

ゲートをくぐっていた。

X線でフィルムが感光するのがいやだったので、客室乗務員にその旨連絡した。

客室乗務員はカメラのネジ止めしてある部分を入念に調べた。

そして「カメラ通ります」と言って、カメラを持ってゲートをくぐった。

なかなかするどい所を調べるじゃないか!変なことなんかしてないぞ。

  

スポットに着くと、ちょうどパリ発成田行きの便が到着していた。

手荷物をいっぱいかかえて、乗客が降りてきた。

時間から察すると、この便がいなくなってから、自分の乗る飛行機が

やってくる感じだ。

  

しかし、いっこうにいなくならない。停まったままだ。

まさか、これに乗るのか?

だったらスケールの大きいトンボ返りじゃないか。

間違いない、この飛行機に乗るんだ。関係者のみなさま、ほんとうに

ごくろうさまです。

  

「エールフランス○○便搭乗を開始いたします」

「エコノミークラスの方よりお手続き、お願いいたします」

とアナウンスがあった。

安い席は後ろだから早く乗れ、ということか。

はい、はい、わかりました。

私は係員にチケットを渡した。

係員は、よくわからない機械にぴこっと通し、私に返した。

動く通路を通って機内に入った。

スタッフが出迎えてくれていた。

  

私の席は三人掛けの真ん中だった。

左は普通のおじさんだったが、右は小学生くらいの子供だった。

「小学生の身分で海外旅行かよ、うらやましいな。」

そう思っていると、その子供のおばあさんらしき人が私に話しかけた。

「この子、今回が初めての海外旅行なんです。よろしくお願いします。」

「実は、私もなんです。」とは言えなかった。

さも当然のように「あっ、そうなんですか、わかりました。」と答えた。

  

期待していた「救命胴衣」の説明はビデオだったし、上昇しても見える

のは田んぼばかり、北極回りだから富士山も見れない。

これから12時間どうする?

  

それでも機体が安定し、シートベルトのランプが消えてからしばらくは、

あっちを見、こっちをいじりして暇をつぶせていた。

機内雑誌を見ていると、目の前に金髪の客室乗務員がいた。

エールフランスだから、フランス人なのであろう。

「・・・ミモノ?」と私に話しかけた。

「えっ、何?どうすればいいの?英語?フランス語?」

パニックになった。

かろうじて彼女の左手にコーヒーポットが見えた。

飲み物か?「オレンジ・ジュース」

あてずっぽうに言ってみた。紙コップに入ったジュースがきた。

彼女は言ったのは「へたな日本語」だった。

でもさすがエールフランス、紙コップの底が「四角」い。

  

食事は3食出たが、まったく憶えていない。

機内食なんて、そんなものだ。

ハワイやグアムくらいの時間なら、浮かれて機内食の写真を撮

ったりするのだろうが、12時間も乗っていなければならないと

思うと、そんな気もなくなる。

ましてや、これから本場のフランス料理をたべよう、というわけ

だからなおさらである。

  

いよいよやることがなくなった。北極の氷を見たってつまらない。

これは寝るしかない。

寝ては食事で起こされ、食べ終わったらまた寝る。

これの繰り返しだ。

いちおう、「寝る時間ですよ」というように、機内が暗くなるが

そんなものは関係ない。だってやることがないのだから。

  

何回目かに目が覚めた時、アナウンスがあった。

「ご搭乗機、まもなく着陸態勢に入ります・・・・」

外を見ると、見たこともない車が走っていた。

かなり高度も低い。

「やっと、着いたか!」

そう思ってから約30分後、車輪が滑走路につく衝撃がした。

「ヒャッホー!」

外国人の青年たちが両手をあげて、歓声をあげた。

「別に俺たち、危ない目には遭ってねーべよ?」

そう思った。

  

ドゴール空港に着いて、入国審査に向かっている時アナウンスがあった。

「フランス航空○○便・・・」

私は「フランスの空港で日本語のアナウンスかよ。」

と思った。

でも乗ってるのはほとんど日本人だから、いいのか。

なるほどね。

  

まもなく入国審査だ。

トラの巻「地球の歩き方」には、入国の目的、日数などを聞か

れる場合があると書いてある。

どうしょう、ちゃんと答えられるか。

このとき、私はある作戦を、思いついた。

それは「私も、団体客です」作戦だ。

成田からの便だ、当然日本人の団体客が大量にいる。

言わなければ、団体客か単独か、わからないだろう。

私はパックツアーの団体客の後ろについた。

入国審査官はチラッと私の顔を見て、ガチャンと印を押した。

やった、成功だ。

  

手荷物検査のおっさんが手招きしてる。

私はそこに近づいた。

すると、なにもせずに、私を通した。

さすが日本人の信頼度は、すごい。

  

まだ耳が「キーン」としている。

まだ、体が気圧の変化についてこれないのかな、

と、思った。

あれ?鼻水か?と思って指をつけると、赤い!鼻血だ!

やばい、「人混みの中の、血だらけの東洋人」はすごく、やばい!

「紙、紙、トイレ、トイレ」

私は、あわててトイレを探した。

  

トイレを見つけると、私は顔を上向きにして駆け込んだ。

「これが”のぼせ”ってやつか?」

食べてるか、寝てるかだったからな。

トータルで10時間くらいは寝ていたろう。

トイレに入った時には、すでに血は止まっていた。

トイレットペーパーを鼻につっこんで歩く、という最悪のパターン

だけは回避できた。

  


フランスにきて、最初にみた風景は「男子トイレ」だった。

もちろん、普通でしたよ。

  

さあ、気を取り直して、両替だ。

私はフランス銀行の窓口に向かった。

  

*2015年 追記

  日本の空港ではX線検査でカメラのフィルムが感光する、ということはありませんが、

  外国の一部の空港ではX線の照射量が多く、感光することがあったようです。

  特に高感度フィルムは要注意です。