あべちゃんの写楽生活

撮ることが楽しいのか、楽しいから撮るのか

行ってきましたパリ撮影旅行 12

2015年02月14日 03時10分59秒 | 写真

 

「のり?・・・・・・・・の巻」

  

モンマルトルは小高い丘だった。

パリ市内が一望できた。

パリは緯度が北海道よりたかく、午後の7時すぎても明るい。

「これは、いけるな。よかった」

私は、シャッターを切った。

そして、サクレクール寺院の中に入った。

中は普通だった。

専門家が見れば色々違うのだろうが、私は素人で、しかも曹洞宗だ、

わかるわけなかった。

  

モンマルトルの美術館は、もう閉館していた。

「まあ、でも来てよかったな」そう思って、ホテルに帰ることにした。

モンマルトルからホテルまではけっこうある。

私はタクシーに乗った。

タクシーの車内で考えた。

「どうしようかな・・・・いこうかな・・・」

実は2~3日前から、ある店に行きたいと思っていたのだ。

  

その店はホテルの、そしてなんと私の部屋の前にあった。

名前は「サントリー」。

そう、日本食の店だ。

到着した日から気づいていたが、「わざわざパリに来て、日本食は

ないだろ」と、思っていたのだ。

しかし数日前から、「チーズ、生クリームよりは味噌、醤油だべ、日本人は」

と思うようになっていたのだ。

  

タクシーを降りた私は、どうしてもがまんできなくなり、店に入ることにした。

店に入ると受付があった。

「なんだ?高級店か」

そう思ったが、財布が空になるほど、とられることはないだろう。

「日本語のできる人、いますか?」

私はたずねた。日本人のスタッフがやってきた。

  

「予約してないんですが、食べれますか?」、私は言った。

「カウンターでよろしければ、お席がございますが」、スタッフが答えた。

どうせ一人だ、カウンターでもどこでもいい、私は「OK」をだした。

カウンターに案内され、板前さん(日本人)の前に座った。

  

東洋人らしき女性がメニューを持って注文をとりにきた。

「いらっしゃいませ」の日本語がへただ。

たぶん中国か、韓国あたりの女性かもしれない。

メニューを見た。さすが日本食、メニューが日本語だ、よかった。

  

私は「てんぷら定食」を注文した。

てんぷらにご飯、味噌汁、漬物がついている、ごく一般的なやつだ。

値段は240フラン(4800円)

ここは「なんで、てんぷら定食が4800円やねん!」と、つっこむとこだが、

値段がいくらになるかドキドキしながら食べるより、値段のはっきり

してる「普段のよりは高級かもしれない」てんぷらを食べるほうがいいかも・・・・・・

それに話のネタになるかもしれないし。

なにより、払えることが確定している、ということが、ご飯をおいしくする。

  

女性の店員は「お飲み物は?」と、聞いた。

私は「酒は飲まないので、水でけっこうです」と、答えた。

「かしこまりました」と言って、さがっていった。

しばらくすると「てんぷら定食」がきた。

  

ごく一般的な「てんぷら定食」だ。

「てんぷらは・・・・海老・・・魚・・・かきあげ・・・・のり」か。

「のり?」

四角いのりが、そのまま衣につけられて揚がっていた。

「のりって、てんぷらにするの?」

てんぷらにするのかもしれないが、私は初体験だ。

のりは外国人にめずらしがられるので、ネタにいれたのかもしれない。

しかし、4800円払ってのりのてんぷらを食わされる、日本人の身にも

なってもらいたいものだ。

  

ご飯はすごく、おいしかった。

板前さんに、

「ヨーロッパでこんなにおいしいご飯がたべられるとは、思っていなかった」

と言ったら、板前さんは、

「それ、日本から輸入したコシヒカリです」

と答えた。

何だよ・・・・うまいわけだ。

あさりの味噌汁も、あさりがヨーロッパで捕れないため、似てる貝を使っているそうだ。

  

食事の合間に女性店員が、水をもってきた。

コップを私に渡して「どうぞ」と言った。

「えっ、お酌してくれるの?」

水をお酌してもらったのは、生まれてはじめての経験だ。

「ああ、どうも、どうも」

私は恐縮してしまった。ヨーロッパは、変な日本教育をしてるのかな・・・

  

食事が終わって、女性がレシートを持ってきた。

4800円より少し高くなるのは知っていた。サービス料などのためだ。

レシートをみて「?」と思った。

・・・オー・ミネラル(水)・・・・12フラン(240円)・・

「なんだよ、タダじゃないのかよ」

どうりで、お酌してくれるわけだ。

  

それでも、やっと日本の味に出会えて満足した。

さあ、ホテルに帰って帰国の準備だ。

  

ホテルに帰って荷造りをはじめた。たいした量では、なかった。

けっきょく、フランス料理のコースは食べられなかった。

でも、食べたいものを食べ、買いたい物を買っていたら、時間とお金が

いくらあっても足りない。

人生とは、そんなものだ、全てのことを満足させることは無理だ。

  

パリの最後の夜になって、少しは寂しくなったり、感傷的になったりする

かと思ったが、全然そうならなかった。

家に着くまで私は一人だ、これから何が起こるかわからない。

「観光バスの座席に座り、家につくまで寝ている」というわけにはいかない。

まだ、旅が終わったわけではないのだ。

  

こうして最後の夜は、終わった。

  

* 2015年 追記

  

   欧米では日本食は高級食扱いです。

   ヘルシー志向の高まりで人気があるそうです。

   でも、私はカリフォルニアロールなんかは・・・食べたくないですよ。

   やっぱ、ネギトロにワサビ醤油をぶっかけて、飯をガー!ですね。