あべちゃんの写楽生活

撮ることが楽しいのか、楽しいから撮るのか

行ってきましたパリ撮影旅行 6

2015年02月08日 01時15分40秒 | 写真

 

「おばあちゃんと、バトル・・・・の巻」

  

「ばん!どん!」

すごい音で目が覚めた。

見れば、おばちゃんが、朝食をテーブルに置いて、出て行くところだった。

どうも、ノックしたけど返事がないのでマスターキーで入って

きたようである。それにしても、乱暴だ。

疲れて熟睡して気がつかなかったのかもしれない。

さて、今日はどこにいくか。昨日はセーヌ川より南にいったので、

今日は北にいこう。

まずは、オペラ座にしよう。

  

ホテルを出てまずシャンゼリゼ通りを横切った。

シャンゼリゼ通りは商店街でも、歩行者天国でもない。

片側3車線のまっすぐの大通りである。車もビュンビュン通る。

凱旋門からコンコルド広場まで1キロくらいあるかもしれない。

それがうまくできてる。緩い坂になってるのだ。

コンコルド広場から凱旋門を見ると、すこし上がっているので、車

や歩行者で邪魔されずにきれいにまっすぐ見える。

  

シャンゼリゼ通りの横断歩道を渡っているとき、中央分離帯で凱旋門

をバックに記念撮影しているグループがいた。

まったく、西洋人はムチャをするというか、マナーをわきまえない連中だ。

  

通りを横切ってしばらく歩道を歩いていると、カフェが店の前にテーブル

と椅子をだしていた。よくある「映画の風景」って感じだ。

しかし「映画の風景」と一ヶ所だけ違っていた。

それは、だれもいないのに、すでにコップや皿が出ているのだ。

これだけ車や人が通るところで、すでに食器がセッティングされている。

お客さんが座ったら、このコップに注ぐのだろうか。

さすがにコップは伏せてあったが、日本人の感覚からすればどっちでもNGである。

  

初老の夫婦が私に話しかけてきた。

「キャン・ユー・スピーク・スパニッシュ?(スペイン語が話せるか?)」

フランス語も話せないのに、スペイン語はむりである。

私は「ノー」と答えた。

これは、聞くほうが悪いだろう、と思った。だれが見ても私は東洋人だ。

  

派手な装飾のでかい建物が見えてきた。

あれが、オペラ座だろう。でも意外と新しい建物らしい。築100年くらいか。

オペラ座に着いた。オペラ座はオペラのない日は一般公開してるらしい。

入場券を買った記憶がないので、たぶん無料だったはずだ。

  

中央階段を上って2階にあがった。

私のような庶民は普段はけっして登ることができない階段だ。

2階に上がると、ボックス席の扉が始めから開いている所がある。

たぶん、「そこだけ公開しています」というこのなのだろう。

何箇所かある入り口のひとつにはいった。

  

なかは赤い絨毯が敷いてあって、まさにセレブの社交場の世界だ。

私の他にフランス人と思われる親子連れがいた。

子供が「・・・・・・ジャポネ・・・・・・・?」と言っていた。

たぶん、「あの人、日本人?」とか聞いていたのだろう。

子供の興味は万国共通のようだ。

母親は小声で「そうよ、さあ行きましょ」のような素振りをした。

  

舞台ではセットの組み立てをしていた。

天井にはきれいな絵が書いてあった。パンフレットによるとシャガールの絵らしい。

ボックス席から出て、待合室、楽譜室などをみた。

「当時の楽譜がみれるのか」と期待したが、書庫に金網が貼ってあって

楽譜を取れなかった。

  

売店でお土産を買おうと思った。

いちおう、会社から休みをもらっているし、旅行届けを出しているので、

みんな知っている。

さて、何にするか。

実は、意外と海外のお土産はめんどくさいのだ。

日持ちしないのはもちろんだめだし、土がついている果物類もだめ。

ハワイにいってみんなチョコレートを買ってくるのは、安くて安心して持って

帰れるのは、チョコレートくらいしかないためだ。

  

お土産は缶入りの紅茶に決めた。

ちょっと割高だが、わずか10人分だし、入れ物が缶なのでつぶれないからだ。

売店のおばあさんに紅茶を指差し、「10」と指で示した。

  

おばあちゃんは早口のフランス語で、何か言ってる。

わからない。

また、何か言っている。

これも、わからない。これは、こまった。後ろに行列ができた。

フランスで英語が必須になったのは40年くらい前である。

それ以前に教育を受けた人は、ほとんどフランス語しか話せない。

  

困っていると、私のすぐ後ろに並んでいた、上品な英国婦人が話しかけてきた。

「セイム・クオリティ?」

紅茶の缶のある部分を指差していた。

その部分には「フレーバー・アップル(りんごの香り)」と書いてあった。

おばあちゃんは「同じフレーバーを10個ほしいのか?」と聞いてるようだ。

  

「何でもいい」

私は婦人に答えた。婦人はフランス語に翻訳してくれた。

おばあちゃんは私を手招きした。カウンターの中に入って来いというのだ。

私はおばあちゃんの脇で紅茶を10個えらんだ。

その間、おばあちゃんは他のお客さんの相手をしていた。

みんな、笑っていた。

でも、険悪な雰囲気になるよりはよっぽどいい。

  

私は紅茶でぱんぱんになった袋を持って、オペラ座を後にした。

重さのことは考えてなかった。

ちょっと、失敗したかも。

  

*2015年 追記

 パリには最近「新オペラ座」というものが完成して、現在2つのオペラ座があります。

 この話は新オペラ座のできる前の話です。

 タクシーに乗ったら「新」か「旧」かはっきり伝えないと、とんでもない方角へ

 連れて行かれますよ。