ABE GUITARS

ギター・ウクレレ制作
フレット楽器全般 修理調整

温湿度考

2012年08月13日 | ギターの保管
現在、トップ再塗装の修理を抱えています。普段はそう高くない湿度が今日は結構高かったので、白濁を防ぐためにリターダー(乾燥を遅くする溶剤)を加えて塗装。質に変わりはありません。

ギターを作る、修理する、所持するにあたって、温湿度管理は重要なファクターです。それがあたかも金科玉条のように叫ばれることがあるようですが、私は割りと楽観論者で「厳密な管理」にこだわってはいません。結論は「極端な高温多湿・高温低湿・低温多湿・低温低湿を避け、必要に応じて室温調節・加湿・除湿する」、当たり前のことですが、それだけです。というか、個人レベルにおいては、それ以上はできないと思うのです。

たとえ厳重に管理できるシステムがあり、そこで制作・修理・保管し、理想の状態を保つことができるとしても、ギターをそこから出して温湿度管理されていない場所に移したとしたら、その環境に適応できず、かなりの狂い生じてしまうのではないでしょうか。木材で作られ且つ張力が生じている以上、狂いが生じるのは当たり前、不都合が生じたら修理調整する、というのがギターと付き合っていく上での大前提で、できるだけ狂いが生じないような努力は必要だとしても、それと同時に、ギターを道具としてアクティブに使うのであれば、恒常的に完璧な温湿度管理は絶対にありえない、と悟ることも必要だと思います。

普段から特別なことをしないというのが最善の策で「ギターを温室育ちにしてはいけない」というのが私の考えです。科学的な根拠は、ありません。

*過去にも同じような論考がありました→こちら

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ギターの保管に関して

2009年02月11日 | ギターの保管
ギターは作られてから時間が経つほど、ネックの反りや指板のゆがみ等が必ず生じてきます。構造上の避けられない問題でもあり、また、木材であることや個々人の管理状態も関わってくるので、事は単純ではありません。
ギターの保管に関しては、温度湿度管理ということがよく言われ、確かに大事なことなので極端な状態は避けるべきですが、個人レベルでの厳密な管理は無理でしょう。たとえ日常的に、完璧に温湿度がコントロールされた部屋で保管していたとしても、それ以外の場所、例えばライブ会場等で同じような状態を望むことは現実問題として不可能です。保管状態優先、温湿度コントロール優先であれば、極論すると「ギターを弾かないで永遠に保管する」のが一番いい。でも、それでは本末転倒です。
完璧な状態を未来永劫保つことは不可能であり、ギターを(いい状態で)弾き続けようとする以上は、必要に応じたメンテナンスとリペアを施すべきだと考えています。それが、今のところの結論です。
では、温度湿度は無視していいのか、というと、そういうことではなく、適度に注意する必要はあります。が、厳格には管理できないので、温湿度計である程度の値を把握し、適度に除湿機・加湿器を使いながらコントロールする、というのが、個人レベルでできる管理方法だと思います。とりあえずは極寒・極暑、極度な多湿・低湿を避けて、人が過ごす上で適度に心地よいところであれば、基本的に大丈夫だと考えています。
ケースに入れておくべきか否かも、よく言われることですが、それこそケースバイケースで(オヤジギャクではありません)、一律に「こうしなければならない」ということはありません。シンプルに「弾く時は出す、弾かない時はしまう」でよいのではないでしょうか。ケース自体が湿っていたら話は別ですが…。一番大事なのは「ギターを弾くこと」です。

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