ABE GUITARS

ギター・ウクレレ制作
フレット楽器全般 修理調整

再び木材の呼称について、というよりも英語の話ですが

2009年01月25日 | 材料の呼称
昨日アーチトップの材料を紹介した際に、「フレイム“ド”・ビッグリーフメイプル」と表記しました。通常は「フレイム・メイプル」と表記されることが多く、それで意味は通じるわけですが、何故敢えて「フレイムド」と表記するのか?
それは「杢の表現は統一すべき」と考えるからです。フレイム(flame)は名詞なので、名詞を修飾する時は“flamed”と語尾を変化させて形容詞形にしなければなりません。他の杢のほとんどは、形容詞形で表記されています。例えば「キルト(quilt)」は常に「キルテッド(quilted)」と形容詞形で表記されており「キルト・○○○」という表記は目にしたことがありません。ならば「フレイム」も「フレイムド」と表記されて然るべきなのではないでしょうか。
細かいことにこだわりすぎかもしれませんが「正確にできるものは、できうる限り正確に」表現したいと思っているのです。

*「バーズアイ」に関しては、英語でも“bird's-eyed”ではなく“bird's-eye”で、おそらく-(ハイフン)が入ることで、形容詞形になるのではないかと思います。

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木材の呼称について(続き)

2009年01月08日 | 材料の呼称
木材の呼称を複雑にしている要因の一つに「杢」の存在があります。杢というのは、木材表面に現れる模様のことですが、この美しさが商品価値を高めるので、杢の名前を強調した呼び方になるのでしょう。ところが、そのために肝心の「どの種なのか」がわからない場合も多々あります。例えば「バーズアイメイプル」や「キルテッドメイプル」。「バーズアイ」「キルテッド」というのはあくまでも杢の名前で種の名前ではないので、それだけでは、どのメイプルなのかは特定できません。

ちなみに、ギターの材料として使われているメイプルには一般的なものとして4種類ほどあります。学名/一般名で記すと
Acer sacchrum/ハードメイプル(ロックメイプル、ハードロックメイプル)
Acer macrophyllum/ビッグリーフメイプル
Acer sacchrrinum/ソフトメイプル
Acer pseudoplatanus/ヨーロピアンメイプル

バーズアイは一般的にはハードメイプル、キルテッドはビッグリーフメイプルに現れるようですが、他のメイプルにも当然現れてもいいはずで、そうなると区別するために「バーズアイ・ソフトメイプル」「バーズアイ・ビッグリーフメイプル」とか「キルテッド・ソフトメイプル」「キルテッド・ハードメイプル」などと呼ばれるものがあるはずですが、今まで聞いたことがありません。特定の杢は特定の種にしか現れないのでしょうか?だから「バーズアイメイプル」は暗黙の了解でハードメイプルであることが省かれているのでしょうか?その辺は正直なところ、わかりません。勉強不足ですので、もしわかる方がいらっしゃったら、是非ご教示をお願いします。

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木材の呼称について

2009年01月07日 | 材料の呼称
パーフェローは別名「サントスローズウッド」「ボリビアンローズウッド」などと呼ばれることもある、と昨日ご紹介しました。しかし、実は全くローズウッドではないのです。
木材の流通過程において、木目が似ているため違う木材でも同じ名前で呼ばれたり、或いは目的等によって様々な呼称が生まれるようですが、当然混乱も生じるので、種類を正確に特定するためには、ラテン語の学名を使う必要があります。最初に属名、次に種名という二名法で特定します。
例えばインディアンローズウッドの学名は Dalbergia latiforia、「Dalbergia属のlatifolia種」ということです。一般的に「ハカランダ」と呼ばれるブラジリアンローズウッドはDalbergia nigra、ココボロは Dalbergia resta、「ニューハカランダ」と呼ばれるマダガスカルローズウッドは Dalbergia baronii、アフリカンブラックウッドは、ブラックウッドと呼ばれながらも、Dalbergia melanoxylonなので、ローズウッドの仲間であることに間違いはありません。
(余談ですが、「ニューハカランダ」という名前を最初に聞いた時は「最近伐採されたハカランダ」と誤解してしまいました。この名前を詳細に読み解くと「ハカランダ(Dalbergia nigra)ではないけれども、似ているので、これを新しく、ハカランダと呼ぼう」ということで「ニュー」なのではないか、と私は考えています。)

話は長くなっていますが、ではパーフェローはというと、学名は Machaerium spp.(*)で、これまで上げた木材の属とは全く違うことがわかります。ということは、Dalbergia属がローズウッドと呼ばれるのであれば、パーフェローはDalbergiaではないので、ローズウッドと呼ぶべきではないのです。属が違えば、性質も当然違います。「サントスローズウッド」などと呼ぶと、いかにもローズウッド(Dalbergia)に近い材料だと誤解されかねません。混乱を避けるためにも、やはりパーフェローと呼ばれるべきでしょう。

尚、それぞれの木材の呼称に関しては各種異論があり、また、分類学的な属と種の話やラテン語に関しては専門家ではありませんので、もし間違いがあればご指摘願います。

(*)spp.というのは、属まではわかるが、どのような種かまでは特定はできていない、ということだと思われます。当然Machaerium ○○○○というのは存在するはずですが、具体的な名前のパーフェローを、今のところ私は知りません。知っている方は是非教えて下さい。

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