ABE GUITARS

ギター・ウクレレ制作
フレット楽器全般 修理調整

#021 塗装完了→乾燥へ

2014年12月26日 | 制作過程
塗装完了しました。サイドの塗布回数が若干多かったため、トップ・バックとも少しミストがかかっていて、ツヤが出ていない感じになっています。


#800のペーパーを当てて乾燥へ。


リベッキーはこのペーパーがけを“break through”と呼んでいました。塗膜の上面を削って空気との接触面を増やし、乾燥しやすくするため、と理解していますが、するとしないとではどの程度差があるかを実験したことはありません、悪しからず。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

trial and error + trials and tribulations

2014年12月21日 | ご挨拶
諸事全般、何事にも試行錯誤はつきもので、ギター製作も修理も、その連続で成り立っているわけですが、わけても塗装の工程はその塊と言ってもいいほどです。何度もやっているはずなのに、今回もそれを改めて感じます。

基本はいたって簡単、木地調整→目止め→ウッドシーラー→サンディングシーラー→クリア(トップコート)、これだけなのですが、単純にはいきません。以前、端材でいろいろテスト塗装をした時にも書いたのですが、考え得るバリエーションを全て試すことは不可能です。いや、それ以前に「全て」のバリエーションを考えることそのものが、どだい無理なのかもしれません。

例えば塗布の回数。よく「何回くらい塗るんですか?」と訊かれ、私も、ある程度決まった回数があるものと思っていましたし、トム・リベッキーにも、同じ質問をしました。ある程度の目安を言ってはくれましたが、回答の核心は「十分な塗膜ができるまで」でした。最初は「え~、そんなんじゃわからないよ」と、不親切とも思える答えに不満でしたが、経験を重ねると「単純に回数だけでは片づけられない事が多い」とわかり、不親切どころか、いかに適切な表現であるのかを実感します。

その「片づけられない事」の一つは、塗料原液とシンナーとの混合比、そしてそこから派生する粘度の問題です。私は基本的に5:5で混合していますが、3:7、4:6、6:4、7:3等もあり得ます。同じ塗膜の厚みを出すためには、粘度の高い混合液であれば回数は少なくて済みますが、粘度が低ければ回数を多くしないと厚みは出ません。回数を減らそうとして粘度の高い濃い混合液を吹き付けようとすれば、心地よく飛散しなかったりスプレーガンが詰まりやすくなったりします。かといって薄い混合液ではシャビシャビになって液垂れが生じかねません(*1)。

混合比を一定に保ったとしても、温度・湿度によっても粘度は変化しますし、材料による塗料ののり方の違い、目止めの状態による違い、或は「どんなペーパーを、どの時点で、どの番手で、どの程度挟むのか」によって変化する塗膜の削れ具合等々、変数があまりにも多いため、塗布の回数のみならず、塗装のあらゆる工程を一律に標準化することはできないのです(*2)。なので自ずと、基本の工程に則りながらも、常に試行錯誤の連続になってしまうのです。

タイトルの trials and tribulation というのは、trial and error を改めて辞書で確認した時に見つけた表現で、tribulationとは「深刻な問題」という意味です(全然知らなかった)。載っていた例文 After many trials and tribulations we reached our destination.(多くの試みと困難の後、ようやく目的地にたどり着いた)は、まさに塗装の工程を表現するために用意されていたような、的を射た表現だと感じ、タイトルに成句を拝借しました。

(*1)吹き付けに関しては「スプレーガンの選択と取扱いの技術」という別次元の要素が加わり、話が煩雑になるため、稿を改めたいと思います。
(*2)標準化を目指してはいますが、現時点ではできていない、ということです。

お問い合わせ ABE GUITARS
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

Quique Sinesi plays Half & Half

2014年12月17日 | プロギタリスト ABE GUITARを弾く
去る11月29日、岩川光 & Quique Sinesi ライブがありました。

yama-bra会長からライブ後の打ち上げに誘われ、さらに「ギターも持ってきて」と言われたのですが、毎度のことですが在庫がなく、Half&Halfのオーナーに貸し出しをお願いしたところ快諾していただいたので、持っていきました。

宴の後にちょろっと弾いてもらおうか、くらいの気持ちでしたが、丸々一曲演奏してくれて、もちろん生音なので、コンサートのextenshionというか、extra trackというか、そんな感じに。オープンチューニングの曲だったので、製作した本人も聞いたことのない「鳴り」を聞くことができました(もちろん「楽曲」を聞いているわけですが「音色」にフォーカスして聞いてしまうのは職業病です)。



率直に「どう?」と尋ねると“beautiful, beautiful...”と何度か繰り返されて、それ以上に突っ込んだ感想は聞けず…。質問の仕方が悪かったのか、英語力がなかったのか、それ以上に形容しようがなかったのか、あるいは酔いが回っていたのか…いずれにしても、beautifulという評価は私にとっては最大級の賛辞なので、そう言ってもらえて嬉しく思いましたし、喜んで弾いてもらえたのは確かなようです(で、あってほしい)。

材料の事などを説明しているの図↓


こういう機会を逃さないためにも、在庫は常に持っておくべき、と反省。良きカンフル剤となりました(でも、すぐにはできません)。

*写真はyama-bra提供です。ありがとうございました。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

#021 塗装中

2014年12月10日 | 制作過程
塗装を進めております。全面ラッカー塗装、ネックを除き、ツヤ出しです。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

#021 ペーパーがけ+目止め→塗装開始

2014年12月02日 | 制作過程
全体にペーパーを当てて


指板のマスキングをし


目止めをして


塗装に入ります


これで一山越えました。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする