代表の久田です。
被災地へのボランティアツアーを旅行業者以外の団体が実施することが旅行業法違反であるとして国土交通省の観光庁が法令遵守を求める通知を5月下旬に都道府県に出していたというニュースが11日から12日かけて報道されています
厳密に適応した場合、主には以下の2点で問題が発生します。まず、旅行会社に委託することで旅行会社への委託料(通常10%程度)が発生します。この委託料を参加費に上乗せせざるをえないことになります。また、旅行会社に対して参加費を納めることになるために、参加費納入の確認に迅速性を欠くことになります。愛知ボラセンの場合、1日に何度も銀行口座を確認して、参加費振込の有無を確認し、キャンセルの場合はキャンセル待ちの方への連絡などをしています。こうした迅速な対応ができるのかが不安になるということです。
愛知ボラセンへは5月下旬に当局からの指導がはいりました。その時点で各地の社会福祉協議会が主催する熊本ボランティアバスについて調べてみましたら、その中ではすべて旅行会社の委託になっていましたので、全国的にかなり強い指導が入っていることと推測していました。
一方、今年の1月に国土交通省中部運輸局からマイクロバスを使用して、ボランティアバスを運行することが、道路運送法違反であるという指導をいただきました。マイクロバスを使用したボランティアバス運行は、国土交通省のバス会社に対する規制緩和により、バス会社が増え、その結果安全性を軽視して格安にバスを運行する会社が生まれました。そこで、国土交通省は「適正」なバス価格にすることをバス会社に対して強く指導しました。その結果、12,000円で運行していた大型バスによるボランティアバスは50%程度値上げせざるをえないことになり、苦肉の策として、安全性を可能な限り追求してマイクロバスでの運行を実施してきました。国土交通省はこれも法律違反であると指導されました。
この2点を遵守する場合、災害ボランティアツアーは以下のように3つになると私は想定しています。
1)ボランティアバスツアーの減少(あるいは激減)
2)旅行会社が代理店となり、観光バスを使用した参加費の高額なボランティアバスツアー
3)友だち、知り合い同士による乗用車の相乗りボランティア。これは旅行業法にも道路運送法にも関係しませんので、問題にはなりません。参加費をかなりさげることができます。しかし、ドライバーさんもおそらくいっしょにボランティア活動をされますので、交通事故などの危険性はかなり高くなると考えられます。
国土交通省としては旅行業法や道路輸送法などの法令遵守をボランティア活動にも求められるのは当然のことかと思います。一方、災害ボランティア全般に関しては復興庁や総務省に管轄になろうかと思います。復興庁や総務省として、ボランティア団体が法令を遵守しつつ、ボランティア参加を促すような、参加者の負担を軽減を図る措置を講じられることを求めていきたいと考えています。
さて、愛知ボラセンの具体的な対応は以下の通りです。
愛知県観光振興課とも協議し、今後のボラバスツアーはこれまでバスの手配でお世話になっているアワジ観光サービス(有)さんの旅行企画として実施します。したがいまして、参加費はアワジ観光サービスさんのゆうちょ口座にお振り込みいただくことになります。なお、熊本地震被災地応援ボランティアバスの参加費はアワジ観光サービスさんと愛知ボラセンの協力で据え置きとさせていただきます。
ご参加される皆様には、振込先口座が愛知ボラセンからアワジ観光サービスさんに変わる以外に何の変更もありません。
なお、愛知ボラセンが旅行会社の資格をとるということも選択肢にはありますが、最低でも300万円の保証金が必要となりますので、現実的ではありません。
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