15年間、この駅で降り、この駅から電車に乗っていた。
19年前の震災で、会社は倒壊し、勤めていた会社は無くなり、
この駅に降りる事も無くなった。
久しぶりに降りた、香枦園の駅舎は、新しく建て替えられ、
街並みも、昔とはすっかり様子が違っている。
それでも、この駅に降りると、19年前の昔を思い出し、
少々感傷的になってしまう。
通勤時には、春になると、ここから満開の桜が見られた。
香枦園駅は、夙川の川の上にあり、桜は川の両側から水面に覆い被さるように咲いた。
その桜が、秋になると、真っ赤に葉を染め、春とは違う景色を見せてくれる。
今日は、昔の同僚と待ち合わせ、久しぶりに夙川沿いの遊歩道を紅葉を見ながら歩いた。
2~3日前の寒さも和らぎ、平年並みの暖かさが戻り、
ぶらぶら歩くのには絶好の天気となった。
なんて運が良いのだろう!
それはお天気だけではなく、今が見頃の紅葉に会えた。
真っ赤な紅葉は、秋晴れの青い空に一層、鮮やかに燃え上がり、
川沿いの紅葉は、赤や黄色の葉を水面に落とし、
そこにも色鮮やかな絵を書いた。
久しぶりの気の置けない同僚との再会に、穏やかな日差しも有って、
私は、昔より饒舌になっていた。
あの頃のように若くは無い。
話題は、もっぱら健康の事と、孫の事。
香枦園から苦楽園まで歩いた。
まだ、口と同じくらい足も元気だった。