ハーフの恵方巻き

昨日は節分だった。
暦の上では、もう春だが、
天気図では、西高東低の冬型が、まだどっしりと居座っている。

93歳の父は、昨年と比べると食事の量が半分以下になった。
少し食べ過ぎると、胃が悪くなり体調を崩してしまう。

少食なので、出来るだけ栄養価の高いものを…。
消化の良いものを…。
切り方も、小さく食べやすい様に…。
量は少ないと言っても、あまり貧弱にならない様に…と、食事に随分と気を使う。

節分の行事として、一般的になった、巻き寿司の丸かじり。
少食だし、93歳では無理だと分かっていても、
行事の楽しさや食べる喜びは、味合わせてあげたいと、
朝早くに、スーパーに向かって自転車を走らせた。

1本丸かじりは、やはり無理だろう。
…かと言って、1本を切ると縁（円）を切ると言ってよく無いそうだ。

スーパーのお惣菜コーナーには、この時とばかり、色々な恵方巻きが並べられている。
便乗商品か？ロールケーキの恵方巻きまで有る
そんな中から、『ハーフ』として、最初から半分の長さの巻き寿司を見つけた。
最初から半分で売っているのだから、円を切ったことにならないだろう。

お昼は、買った恵方巻きと、お吸い物
ほうれん草の白和え
シシャモの甘露煮
大根のなますと大根葉の漬け物…
どれも1口づつ小皿に盛ってならべた。
父は、西南西に向かって、無言で、ハーフの恵方巻きにかじりついていた。
ずいぶん時間を掛けながら…
それでも、皿の中は完食‼︎

来年は、皿の数も量も、もっと少なくなるのだろうか？
そう先々を心配すると、寂しいが…
今日と変わらない、普段の日常が有ることを願っている。