2月14日は発疹と共に去りぬ

 2月14日がバレンタインデーだということは、一週間前までは、確実に覚えていた。
 愛だとか義理だとか言いながら、ようは、お菓子メーカーのチョコレート商戦じゃない、などとへそを曲げてみたりもするけれど、まあそれで景気が上向けばよし、それになにより、バレンタインデーをきっかけに夫婦円満となるならば、それを利用するに越したことはないと考えて、チョコレートはたいして好きでない夫に、何か別のプレゼントでもしようと思っていた矢先、息子が突発性発疹に罹った。
 高い熱が出たりで、とてもプレゼントを買いに行くことはできないし、発疹が出てからは、すこぶる機嫌が悪く、ぐずりっぱなし。発病から一週間ほどたって、だいぶくたびれてきた頃、夫が職場の人にもらったチョコレートを持って帰宅して、ああ、そういえば、今日はバレンタインデーか、と気づいた。
 そのチョコレートがおいしくておいしくて、あげる側のはずの人間だけれど、疲れも忘れて、とても幸せな気分でいただいた。チョコレートが大好きなのである。
 その次の日に、ようやく発疹もひいて、息子はすっかり元気になり、夫には、一日遅れで、チョコ代わりの日本酒を贈った。
(トラックバック練習板:テーマ「2月14日をどう過ごしたか」)
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