シビックちゃん

 新しい車に買い換えることになって、納車が一週間ほど先に迫ってきた。今乗っている12年型のシビックとは、もうすぐお別れなのである。
 シビックには、3年と3ヶ月乗った。中古で買ってきたのである。愛嬌のある顔と、後部の美しい曲線が気に入っていた。
 物にたいする愛着が、強いほうだと思う。シビックと別れるのが悲しい。
 シビックに乗って、いろんなところへ行った。シビックのおかげで、日々の生活がとても便利であった。あんまりシビックとの日々を思い出そうとすると、センチメンタルな気持ちになってしまうから、なるべく考えないようにしている。
 京都の南のほうには、もぎ取りセンターというところがあって、センターの敷地内には廃車になった車が無造作に並べられ、積み上げられ、そこを訪れた人は、動かなくなった車から自分の必要な部品だけを取っていくのである。何度かその前を通ったことがあるけれど、いずれはシビックもこんなところへ送られてしまうのかと想像すると、いつも心苦しくなった。
 まだそこまでは行かなくても、次にシビックに乗る人はどんな人だろうとか、可愛がってくれるだろうかとか考えると、やはり切なくなってしまうので、何も考えないように、ただ納車の日を待っている。
コメント ( 8 ) | Trackback ( 0 )