猫とおせち

 年が明けて、元旦の朝となり、お雑煮を作っておせちを並べた。みなで食べ始めると、テーブルの上にやってきたみゆちゃんが、おせちを嗅ぎまわりだした。いつもはテーブルの上に乗っても、隅っこに置いてある新聞の上などに座って眠そうな顔をしているのだけれど、おせちには興味津々であるらしい。たしかに、おせちには棒だらとか祝い海老とか数の子とか、海の幸がたくさん入っている。なかでも、ごまめの魚らしいにおいがどうも気になるようである。人間用のおせちだから味が少し濃いだろうけれど、一匹くらいいいかと思ってあげてみたら、食べなかった。
 水の嫌いな猫がどうして海の幸が大好物なのか不思議に思っていたのだけれど、今の定説によると、日本では昔から魚介類が豊富に獲れるから、自然、猫に必要なタンパク源として、魚介類を好むようになったということらしい。したがって、魚が好きなのは日本猫だけで、たとえば欧米の猫なんかは、魚よりも肉がいいらしく、こちらでは定番のおさかな味のキャットフードも欧米では珍しくて、あちらの主流はチキン味とかビーフ味だということである。
 ごまめを食べなかったみゆちゃんには、かわりに大好きな猫用カニカマ(正確には乾しカマ)を、正月なのでいつもより多めにあげた。


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