ハイテンション・ペンギン

 5、6羽ほどいるペンギンのうち、他のものはみんな水から上がって日向ぼっこをしているのに、一羽だけ、プールの中で泳いでいるのがいた。それも、少し変わった泳ぎ方をしている。おなかを下にして、頭を出して泳ぐ姿はよく見るけれど、そのペンギンは、身体をよじっておなかを上に出している。羽の下をくちばしでこすっていたから、どこかかゆいのだろうけれど、それで苛々しているのか、ただ掻いているというよりも、身体を右に左にせわしなくよじって、ハイテンポなシンクロの演技みたいである。すると突然、ペンギンは水の中にもぐると、恐ろしいほどの速さでプールをぐるぐると回り始めた。南極の海中をすごいスピードで泳ぐペンギンの映像が時々テレビで流れるけれど、まさにあんなふうな勢いで、ときどき息継ぎをするのか、まるでイルカみたいに水の上へ飛び出したかと思うと、また美しい流線型を保ったまま水に潜り込んで、あっというまに反対側に達している。ときどきどうやっているのかわからないほどすばやく方向転換をして、逆回りをする。見ている人は、みんな嘆息をもらしながら、目が離せないでいた。
 あとで、通りがかった飼育員の人にその様子を話して、そのペンギンの行動の意味についてたずねたら、自分はまだペンギンの担当になったことはないけれど、たぶんテンションが上がっていたのだろうということだった。
 まるで、猫がはしゃいで廊下をだーっと駆けていくようで、ペンギンというのは、その姿の通りやっぱり愉快な鳥だと思う。


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