カリカリはお好きですか

 同じ環境で育っていても、弟と私では食べ物の好みが違って、たとえば、弟は柔らかく炊いたご飯やババロアなど水気の多いものが好きであるのに対し、私はといえば、かたいご飯にクッキーなど、乾いた食べ物が好きである(もっとも、甘いものに関して言えば、私はどちらでも食べるけれど)。これは、それぞれ母と父に似たためであって、唾液の分泌量に差があるのだと思うけれど、父と私が大好きなスコーンは、水分が足りなさ過ぎて、母と弟は飲み物と一緒でないととても食べることができない。
 そういった好みが、缶詰が好きな猫とドライフードが好きな猫というふうに、やっぱり猫にもあるのかしらと思う。
 実家の猫の中には、缶詰を混ぜないと決してドライフードを食べない猫もいるけれど、みゆちゃんは、おそらく乾いた食べ物の方が好きなのだと思う。以前はドライフードに缶詰を混ぜてあげていたのだけれど、そのうち缶詰を食べなくなって、今では主食はドライフードだけだ。(ちゃめもドライフードだけ食べている。やはり似たもの同士ゆえの犬猿の仲か。)
 この前もらったモンプチのウェットフードとドライフードの試供品も、ウェットフードのレトルトパックをものすごく幸せそうに食べていたと書いたけれど、確かに一回目は幸せそうだったのだが、二回目以降、お皿に入れてあげた分量全部を食べずに残すようになった。反対に、ドライフードは毎回残さず、最後のひとかけらまでとても美味しそうな音を立てて食べる。モンプチのドライフードが入っている机の引き出しを知っていて、そこを開けるとすぐにやって来る。みゆちゃんは、「これあげよう」という言葉をよく知っていて、そう言うと、「にゃ~」と甘えた声を出して、いつもの猫の冷静さはどこへやら、とてもあわてたように駆けて来るから、そういういじらしさがまたたまらなく可愛い。
 ドライフードが好きであるというのは、歯石の予防にもなるし、もしも病気になったときの療養食というのがたいていドライフードであるらしいから、大変結構なことである。

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 ドライフードのカリカリ音については、最近読んだ猫本の群ようこ著「おかめなふたり」の解説の冒頭で、幻冬舎の最高編集者石原正康氏が、「猫がドライフードを噛む音に、僕はいつもわくわくする。」と述べている。
 この「わくわくする」という言葉は、私がいつもカリカリ音を聞くときに感じる、楽しいような小気味よいような感じをとても的確に表していて、私は今までもやもやしていたカリカリ音に対する言いようのない思いが、すっきり解決するような感覚を覚えた。
石原氏は言う。「細かい歯が立てるあの音が僕は好きでたまらない。」私も、あの音が大好きだ。


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