夏の夜、考えるネコ

 この頃、みゆちゃんは、日が暮れてからの時間を庭で過ごすことが多い。町中であるから夜になってもあまり気温は下がらなくて、夕涼みが出来るほどではないのだが、庭へ出て、山茶花の木の下に寝そべっている。エアコンが嫌いなのかといえばそうでもないらしく、エアコンの効いた部屋で気持ちよさそうに眠っていることもある。
 庭に寝そべって、眠るわけでもなく、何をしているのか、頭をちゃんと上げて、何かを見て聞いている。
 そんなときのみゆちゃんの横顔は、まるで哲学とか数学みたいな難しいことを考えているかのように見えるけれど、実際は、地を這う虫の音や、草むらを飛ぶ虫の動き、近所の猫が塀の向こうを通る気配など、自分の住む世界のさまざまなことを感じ取っているのだろうと思う。
 窓をちょっと開けて、みゆちゃん、まだ中に入らないの、と聞くと、顔だけこっちに向けて「にゃー」とか「んー」とか鳴いて、ちっとも動かない。「まだ入らにゃい」ということである。
 熱心に考えごとをしているなあと思いきや、冷蔵庫から乾しカマの袋を取り出して、みゆちゃん、これあげようと誘うと、みゆちゃんはさっさと冥想を切り上げて、にゃーんと鳴きながら駆け戻ってくるから、猫らしい物思いで大変結構である。


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