画家の描く京都の美

 21日に終わってしまったが、京都文化博物館で「絵画でめぐる 京都 美の探訪」という展覧会が催されていた。
 さまざまな画家が描いた京都の絵を集めたもので、知っている風景が、画家の目を通せばこんな風に描かれるのかとか、あの町並みが昭和のはじめ頃はどんなだったとか、今も変わらない自然の風景など、興味深いものだった。
 たとえば、嵐山といえばもうすっかり観光地になってしまった観があって、そこに情緒とか趣を見出すことは難しいと思っていたのだけれど、林潤一の描く「渡月橋」は、青い色調の画面に静かな山が横たわり、桂川に渡月橋が凛と架かっていて、やはり嵐山は歴史的な名所として古くから愛されてきた情緒をその本質に持っているのだろうということを、画家の目を通して再発見したような気になった。
 ほとんどの絵画が、現実以上に京都の美しさを感じさせるものであった中で、洋画家麻田浩の「北山杉」は、父で日本画家の麻田辨自が描く幻想的な「雲母坂」(きららざか、比叡山山頂へ至る古道)とは対照的に、一種異様な感じがした
 麻田浩は退廃的な絵を描く人で、彼の「北山杉」も例外ではなく、まるで廃墟のような末期的な暗い画面に一本の杉が立っていた。麻田浩の絵は嫌いではないが、展覧会の全体の雰囲気とは相容れないような感じがした。それだけに印象的で、記憶に残った。


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