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世界は日の出を待っている

2023-01-20 17:17:13 | 戦争
世界は日の出を待っている
“シーチン”修一 2.0

【雀庵の「大戦序章」127/通算559 2023/1/20/金】このところ忙しくてヒーヒーしている。「小人閑居して不善をなす」、不善かどうかはともかく早朝にカーテンを開けてから就寝まで、時間割でやるべきこと、やりたいことが決まっており、判を押したような暮しをしているから、イレギュラーな仕事が入ると一時的ながら困惑するのだ。加齢により臨機応変能力が劣化しているということでもある。

1/14は確定申告の書類作成、翌週16日は郵便局で簡易書留にしてその書類を税理士に送り、17日はオミクロンのワクチン注射、18日は古紙回収日、19日は運転免許証の更新で警察署へ。

免許証の更新手続きは先月12月の運転能力検査などに続いて2回目。手続きは画面を見ながらあれこれタッチする方式で、まったく慣れていない小生は困惑、係の人の手助けを受けながらどうにか終えたが、耳が遠いこともあってぐったりした。

「年をとると何をするのも億劫だ、目はかすむ、耳は遠くなる、“我”ばっかり強くなる」と晩年の国定忠治は嘆いたが、まったくその通りだ。

ワクチン注射の際は、書類を細字のマジックペンで書いたのだが、転写式で2枚目に印字できていなかったので医院スタッフから「書き直して」と言われ、「転写式だなんてどこにも書いていないじゃないか、コピー機ぐらいあるだろうからコピーしてくれ」と、些事なのに声を荒げてしまった。好々爺どころじゃない、ただの頑固ヂヂイ、クソヂヂイ・・・自己嫌悪になってしまった。古人曰く「永らえば恥多し」、まったく情けない。

長老とは「経験が豊かで知徳のすぐれた指導的な立場にある人」だという。哲人、識者でもある。現場の第一線を引いたからといっても「長老」として敬意を表されたり顧問のような「御意見番」になれる人はごく一部だろう。何よりも人格者、尊敬される人でなければならない。

しかし、残念ながら世界の情報が行き交う今の世の中でも、誰もが敬意を表するような長老、人格者はいない。そもそも国や民族、さらに個人によって価値観、嗜好が違うから「絶対善」がない。沼野充義氏/ロシア文学者の「プーチン、スターリンを支持するロシア国民 独裁者でなければ統治できない歴史的大国の構図」(週刊エコノミストOnline 2022/3/31)から。

<ロシアの非国営独立系会社がロシア人に対して「人類の歴史上で一番偉いと思う人は誰か」という世論調査をしている。直近の21年5月実施で、1位がスターリンの39%、2位レーニン30%、3位プーシキン23%、4位ピョートル大帝19%、5位プーチン15%だ。

欧米や日本では、一般的にスターリンはヒトラーと並ぶ20世紀最大の極悪非道な独裁者といったイメージで捉えられているが、現在のロシアでは捉え方が全く違っている。85~91年のペレストロイカ(改革)期にはスターリン批判が行われたが、批判の中心にいたのは知識人だけで、ロシア人大衆や愛国的な一般のロシア人には関係のないことだった。

実際、その後のロシア国内での世論調査の結果をみると、スターリンの権威は目覚ましい勢いで復活していることに驚かされる。彼らは、第二次世界大戦を連合国の勝利に導いたのはソ連であり、人類への大きな貢献だとして(ソ連、スターリンを)誇りに思っている>

ロシアなど独裁国家には報道の自由、言論・思想の自由、公正な選挙もないから、国民は本音を隠す、事大主義で強者に従う、というのが大昔からの処世術になっている。そうしなければ収容所、刑務所送り、死刑、暗殺という制裁が待っているのだ。そういう事情を知らないと「世論調査」に騙されたりする。日本学術会議や日本ペンクラブに所属する学者はその手の「利口バカ」や「バカ利口」が多いようだ。警戒すべし。

産経2023/1/19新華社=共同「習氏、コロナ対策強化指示 春節控え、視察も取りやめ」は不思議な記事だった。ゼロコロナに失敗した習近平は、それを糊塗するために責任を病院などに転化し始めたよう。

<中国の習近平国家主席は21日に始まる春節(旧正月)の大型連休を前に、新型コロナウイルス対策を万全にするよう各地の病院、鉄道駅、農村などにオンラインで指示した。帰省や旅行でさらなる感染拡大が懸念されており、習氏は春節前の恒例だった地方視察を取りやめた。

習氏は18日、北京の人民大会堂と各地をオンラインで結び感染対策の状況を聞き取った。黒竜江省の病院に対して「医薬品の備えを増やし、重症者の治療を確実にし、医療秩序を保つべきだ」と述べた。福建省の福祉施設には「高齢者の集団感染を防げ」と求めた。

四川省の農村幹部らに対しては「農村は医療体制が相対的に弱い」として、帰省者の増加を受けた対策強化を呼びかけた。交通の要衝である河南省鄭州の高速鉄道駅に対しても「乗客同士の感染を最大限抑えよ」と指示した>

政策が成功すれば「俺の手柄」、失敗すれば「現場の責任」・・・独裁者は厚顔無恥でないと務まらないのか。日本的な美学では「成功は皆が努力したから」「失敗は為政者たる私の責任」となる。日本に生まれて良かったなあ、同志諸君!

第一級の戦略家、E.ルトワックが産経2023/1/19「到来した『日米3.0』の時代」で、安倍氏が撒いた自助自立国防戦略のタネが開花してきたと日本を称賛し、イケイケドンドンと鼓舞している。彼は危機を煽り、日本の目覚めを促し、米国主軸の安保体制に日本など自由陣営が奮起することを期待しているのだが、「褒めてその気にさせる」話芸は超一流である。氏曰く――

<岸田文雄首相とバイデン米大統領による今月13日の首脳会談は日米関係が新たなフェーズ(段階)に入った事実を鮮明にした。

戦後の日米関係を各段階に分けるとすると、現在は第3段階にある。第1段階は、安倍晋三元首相が登場する前の時代だ。当時は、両国の国益にかかわる政策を米国が一方的に決めていた。米国が決定内容を日本に通知することもあったが、通知しないことも珍しくなかった。(以下は要旨)

日本は米国の要求に同意できる範囲で応じてきたが、日本が独自に日米絡みの政策を立案することはなく、その体制もなかった。軍事力増強の要求にも「政治家が防衛予算を制限している」などと逃げることも多かった。

安倍氏が首相になって日米関係は第2段階に移った。独自政策で防衛問題に真剣に向き合い、インドとの関係を強化し、日米豪印の連携に結実した。安倍氏の革命的成果だ。ロシアとの北方領土交渉では失敗したが、日本を対米追従から米国と並び立つ存在に引き上げた。

現在、日米関係は第3段階に入った。私はこれを「日米3.0」と呼ぶ。米国から言われてやるのではなく、日本の国益と日米安保に照らして政策決定を下すようになった。実際、台湾有事の際は関与していくと表明し、日本、日米同盟、台湾の安全に大きく貢献している。

米国バイデン政権は内憂外患で弱体化しており、敵対勢力に付け入る余地を与えているという意味で、日本の安全保障にも影響する。だが、幸いにも露中はそれぞれ問題を抱えている。

プーチン・ロシアはウクライナ侵略で手一杯で、国力も衰え、アジアと欧州における脅威の度合いは1945年以降で最低になっている。習近平・中国はコロナ対策が破綻、ハイテク企業締め付けの失敗で逆風に立たされている。外交でも以前のように欧州から秋波を送られることはなくなった。

岸田首相が今回、訪米前に欧州を歴訪したことは、日本が欧州における中国の対抗軸になり得ることを示した点で意義深い。中国接近が目立ったイタリアが日英と次期戦闘機を共同開発するのも歓迎すべきだ。(聞き手 黒瀬悦成)>

日本など自由陣営が踏ん張っているから露中の暴発抑制になっている、皆で頑張ろう、ということだ。米国民主党ベッタリだった黒瀬記者も日本に召喚されて少しづつ産経脳になってきたよう。結構なことだ。

米国GHQ製憲法廃棄、自主独立=日本奪還まで、まだまだ課題は山積しているが、基本的な方向性は随分固まってきたようだ。戦時国債(無利子、償還期限なし、要は募金)で国民から浄財を募れば100兆円くらいはすぐに集まる。軍事力の強化、国民皆兵、徴兵制、核兵器開発(またはレンタル)、核シェルターの準備も進めるべし。当面、日本など自由陣営はイスラエルやスイスのようなハリネズミ国家を目指しつつ、経済包囲網と軍拡競争で中露北の金庫を空っぽにすることだ。

先の大戦で地球から植民地主義を一掃した日本は、次の大戦では共産主義を一掃すべし。先人も喜んでくれるだろう。世界は日の出を待っている。
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露軍はプーチンを処刑すべし

2023-01-18 19:59:19 | 戦争
露軍はプーチンを処刑すべし
“シーチン”修一 2.0

【雀庵の「大戦序章」126/通算558 2023/1/18/水】正月の松飾などを燃やす行事「どんど焼き」。昔は我が街でも1/8あたりに神社境内で催していたが、今は神社のまわりにマンションなどが増えた上、飾り物にプラスチック製品が多くて燃やすと真っ黒い煙と悪臭がひどいのでイベントなし、ただの「ゴミ集積所」になってしまった。興覚めでがっかりだ。

1/15に東京側の多摩川土手をチャリ散歩していたら、「お焚き上げ/どんど焼き」イベントに出会った。「futakoloco/二子玉川まちメディア」2023/1/15「二子玉川緑地運動場で第34回鎌田南睦会『どんど焼き』サプライズゲストに駒澤大の駅伝監督」から。

<1月15日小正月の本日、多摩川河川敷・二子玉川緑地運動場で「第34回どんど焼き」が無事執り行われました。

新型コロナウイルス対策のため、ここ数年は一般の方の観覧を控えていただくように呼び掛け、以前行っていた甘酒や餅焼き用の竿などの配布はしていません。事前のお焚き上げ品のみの受け付けとしていましたが、地域の伝承行事として30回以上を数えるイベントであるため、今年も柵の外や土手などから見守る多くの人々の姿がありました。

脇会長は「今年こそコロナの退散を祈願しています」と話した後、10時30分ごろ櫓(やぐら)へ点火。火は数分で頂点へ立ち上り、頂点から吊り下げられたダルマが落下すると見学に来場した人々から歓声が上がりました>

櫓は高さ8mほどの山型、底辺は直径10mほどで柱は竹。和製のXマスツリーみたいだ。点火されると左巻きに白い煙がぐるぐる回りながら空に昇り、オレンジ色の火がメラメラと上昇していく。凄いパワーで、背中がザワザワ、ゾクゾクするほど。

お江戸の火事は鎮火が難しく、町火消は類焼を防ぐために火元に近い家屋をつぶすしかできなかったというのがよく分かった。火は10mほどまで上がって、櫓は徐々に崩れていった。

このハイライトは10分ほどだが、点火される1時間ほど前から土手で待っていたので、すっかり冷えてしまい、その夜は鼻水タラタラで薬を飲んだものの上手く眠れず、翌16日は大人しくしていた。加齢で柔になったら油断大敵、無理するとロクなことにならない。

そう言えば正月に来た息子は東京消防庁勤務で、一時期現場を離れて腐っていたが、今は現場に復帰し小隊長になったという。何やら元気を取り戻したようだ。一升瓶の火炎瓶を投げていた赤色極道の、その息子が火消しの消防隊員・・・奇妙な感じだ。小生の罪を息子が償っているのか? 許せ、大五郎、39歳・・・働き盛りだな。気を付けながら吶喊すべし! 

米国は何から何までスケールの大きな国で、犯罪でも異次元の凄まじさがある。米軍による都市部への焼夷弾による無差別絨毯爆撃、核兵器による無差別大量虐殺・・・米国は良きにつけ悪しきにつけパワフルな最先端を行く国だ。

小生は物欲があまりないから米国の都市部に関心はなく、広大な荒野、原野に大感動していたが、世界中から移民志願者が米国に押し寄せるのは「自由とチャンス」があるからだろう。運と努力次第でリッチになれる可能性はあるが、まあ、ほんの一握り。日系2世の老夫婦は貧しそうだった。まあ、良きにつけ悪しきにつけ米国は世界の先端を行く覇者だ。

歴史的には戦争は兵士と兵士の戦いだったが、第2次大戦からは兵士だろうが市民だろうが無差別の殺し合いが常態化してきた印象を受ける。米軍はノルマンディー上陸作戦では将兵の損耗を防ぐために上陸地を無差別絨毯爆撃し、無辜のフランス人住民が随分犠牲になったそうだ(ドゴールを始めフランス人は米国を蛮族と軽侮しているよう)。米軍はベトナム戦争ではジャングルをつぶすために枯葉剤をばら撒いた。米国式戦争作法は是非はともかく進取的(実験的)である。野性的? 少なくともスマートさはないな。

今はプーチン露助がウクライナで無差別攻撃をやっている。強引で、まるで蛮族そのもの。米国を真似して核兵器も使えば間違いなく歴史に名、汚名を残すが、プーチンはそこまでやるかどうか・・・ロイター2023/1/10「ウクライナ戦争、NATOとの戦い プーチン氏側近」から。

<プーチン大統領の最側近の1人であるパトルシェフ安全保障会議書記は10日、ウクライナ戦争について、ロシアを世界の政治地図から消そうとする北大西洋条約機構(NATO)との戦いとの認識を示した。

ロシア紙「論拠と事実」に「ウクライナで起きていることは露とウの衝突ではない。ロシアとNATO、特に米英との軍事的対立だ」と述べた。「西側諸国の計画はロシアをばらばらにし、最終的には世界の政治地図から消し去ることだ」と主張した>

プーチンの側近はすべてプーチンのクチパクである。諫言する者が誰もいない。諫言すれば左遷や追放されるのだからプーチン皇帝の暴走は続く。ロシアは「自滅」の道を歩んでいるが、その認識は薄いようだ。ウォールストリートジャーナル2023/1/17「揺らぐエネルギー大国ロシア、影響力に陰り 中国依存で『格下』に成り下がるとの懸念も」から。

<経済戦争でエネルギーを武器として使用するプーチン大統領の戦略がますます裏目に出ている。ロシア経済の屋台骨が脅かされており、地政学的な影響力にも陰りが出てきた。

ウクライナ侵攻が2年目に突入しつつある中、西側による経済制裁やロシア産化石燃料の価格下落、戦略的な判断ミスが、いずれもロシア石油・ガス業界に大きな打撃を与えている。いずれはエネルギー大国としてのロシアの地位が危ぶまれるとの指摘も出てきた。

ロシアは欧州への天然ガス供給を遮断することで、冬場に欧州市民を凍えさせ、対ウクライナ支援がしぼむことを狙っているとされる。ところが、欧州では暖冬となっているほか、他の生産者から潤沢な供給を確保しており、これまでロシアの狙い通りの展開にはなっていない。その結果、ガス価格はウクライナ侵攻前の水準に戻っている>

プーチンはスターリンに似ていると思っていたらNHKが2022/5/23に「スターリンとプーチン」を放送していた。能書きにはこうある。

<ソ連を超大国へ導いたスターリン、その崩壊を目の当たりにし、大国ロシアの復活を誓ったプーチン、発掘映像によって、ふたりの権力者の実像に迫る。
独裁によって2千万の命を奪ったスターリンンの狂気、最大の犠牲となったウクライナの人々の悲劇とは?
スターリンの死去の半年前に生まれたプーチン。スパイから大統領にまで押し上げたのは、国家崩壊の絶望の中で誓った大国ロシア復活への執念とKGB仕込みの権謀術数だった>

アカの巣窟のようだったNHKも過激な全共闘系団塊世代が退職したため多少はまともになったか? 小生はTVを見ないから「さて、どうしよう」とチェックしたら「リタイアライフのつぶやき」というブログが上記番組の内容を文字で紹介していた。要旨はこのようである(カッコ内はリタイアライフさん)。

<レーニン亡き後、ライバルのトロツキーを追放し殺害した共産党書記長・スターリン。彼は1928年第一次5か年計画で、経済の復活をはかろうとした。工業生産250%増、農業生産150%増という現実離れしたものであった。(毛沢東の大失敗政策「大躍進」を思いだした)。当時、資本主義は世界恐慌に襲われ、ソビエトの計画経済は「成功している」とプロパガンダされた。

ウクライナはソビエトの衛星国家に組み込まれ、肥沃な大地での集団農業生産で知られている。1931年、ウクライナは天候不順による凶作、飢饉に見舞われる。これに対しスターリンは、飢饉を「でっち上げ」として無視した。ウクライナでは300万人が命を落とした。

1934年1月、第17回共産党大会で300人がスターリンに反対票を投じた。無記名であり、誰かわからないが、投票した半数を処刑・粛清したのだ。粛清の嵐は、軍人だけでなく一般人まで及んだ。加害者にならなければ被害者になってしまう。ソ連全土で何と2000万人が処刑された。

世界最大の国土、200を超える民族、数十の宗教・・・これを束ねるのは「恐怖による支配」だった。“人民の敵”を根絶するための割当命令書があり、隣人、兄弟を密告しあうというシステムであった。

1941年6月、ヒトラーが独ソ不可侵条約を破り侵攻してきた。ウクライナでは、ナチスをスターリン圧政からの解放者と見て、それが全土にひろがった。ソ連の戦争のやり方は、特別阻止部隊がいて後方から前線を監視し、逃げる前線兵士を射殺するというものであった。

レニングラードでは、ナチスによる兵糧攻めで100万人以上が餓死した。1943年、ソ連軍がウクライナを“解放”したが、ナチス協力者は処刑された。
1945年6月、2700万人の犠牲者を出しソ連は戦勝国となった。1953年3月、スターリン死去。

1952年2月、プーチンはレニングラードで生まれる。彼の人生を変えたのは一本の映画「スパイ・ゾルゲ 真珠湾前夜」(1961年製作)だった。これを見てプーチンはスパイになろうとした。

内容は「ゾルゲはロシアのスパイだが、日本でドイツの特派員になり日本人の信頼を得て、独ソ開戦や、日本の対ソ攻撃がないこと等の情報をモスクワに流し、ロシアに貢献する」話。

プーチンは1980年代、KGB(スパイ)養成所に入る。プーチンはスパイとして東ドイツに送り込まれ、そこでベルリンの壁崩壊に遭遇する(1989年11月)。

1991年12月、ソビエト連邦消滅。資本主義、市場経済の導入である。パニックになり、国営企業は二束三文で売却され、オリガルヒという新興財閥を生んだ。

1991年、プーチンは、レニングラード市長選挙に出馬した母校の恩師に誘われ右腕になり、1年で副首相になり政治の世界へのめり込む。1996年、当時の大統領エリツィンのマネーロンダリング疑惑を、検事総長のスキャンダルで救出する。エリツィンに貸しを作り首相の座を手に入れるが、人気はいまいちであった。

モスクワでアパート無差別爆破テロ事件がおき、300人が死亡する。プーチンは、ロシアから独立を図るチェチェン人の犯行と断定し、チェチェンを爆撃した。プーチンはマスコミに顔を出し、強い指導者をアピールし、人気は急上昇した。

しかし、イギリスに亡命している元FSB諜報員が告白する。(KGBがソ連崩壊で解散となったが、主に防諜と犯罪捜査を担当する部門がFSBに引き継がれた)。FSBは、ロシアをチェチェンとの戦争に駆り立て、プーチンを大統領にするよう画策したのだ。プーチンはそれを「西側の謀略」として否定したが、後に元諜報員はイギリスで毒殺された。

欧米の指導者たちも民主主義と資本主義を掲げるプーチンを歓迎した。彼は新興財閥オリガルヒに対しても厳しい態度で臨み、逆らうオリガルヒは国営化した。

プーチンにとってNATOの拡大は不満であった。2007年ミュンヘン安全保障会議で「アメリカ一極集中は受入難く、1000年の歴史を持つロシアは独自の外交をする」としてアメリカとの対抗姿勢を明確にした。

そして、それまでプーチンが触れていなかったスターリンを褒め讃えるようになった。2022年2月にはウクライナに侵攻した。スターリン以来の悪夢がウクライナを襲っている。プーチンは「今世紀を照らす輝かしい勝利を成し遂げる」と演説した。

番組の最後は2011年、亡命先のアメリカで亡くなったスターリンの娘スヴェトラーナの話で終わる。スヴェトラーナは「幾百万もの非業の死を遂げた犠牲者、かれらの屍を踏み台にして、悪の手段で善を打ち負かそうとした者たちは、一対何を手にしたのだろう」と問いかける。

スターリンの行った粛清(2000万人死亡)、ウクライナ飢饉(300万人死亡)、第二次世界大戦(2700万人死亡)という犠牲を出しているスターリンを褒めたたえるプーチン。プーチンにとっては、スターリンに比べると今のウクライナの犠牲は物の数に入らないのかもしれない・・・>(以上)

ソ連の裏面史・・・有史以来を自由民主人権法治を体験したことのないロシア人は、まず以上のような史実を知らないだろう。そもそも言論・報道の自由がない。ロシア人は太古からの過酷な経験から「食」がそこそこ得られるのなら権力・政権に従うというのがDNAのようだ。福田恵介「東洋経済」解説部コラムニストの「ロシア国民はプーチン大統領をどう見るのか 強権振るうも国民からの支持は高い」2022/12/21から。

<ウクライナ侵攻で西側諸国を敵に回したプーチン大統領。西側メディアでは悪の権化のように報じられるが、ロシア国民からは高い支持を得る。ロシアの独立系調査機関・レバダセンターが2022年11月末に行った世論調査によれば、プーチン氏の政治活動について「評価する」との回答が79%、「評価しない」は18%だった。

レバダセンターは、ロシアでは珍しい独立系機関で、2022年3月にはプーチン政権から世論調査を禁止されている。そこでの調査でも、プーチン氏が高い支持を得ている結果が出ている>

ロシアでは世論調査でも「不支持」と回答すれば制裁を受ける可能性=危険性があるのだろう、「多くの国民が率直な回答を避けてきた側面もうかがえる」と、あの毎日新聞2023/1/14も報じている。CNN2023/1/17によると、プーチンの“影の軍隊”と言われる「ワグネル」の元指揮官までがプーチンによる暗殺を恐れて逃げ出したという。以下抜粋すると――

<【ロシア民間軍事会社の元指揮官、ノルウェーに入国 亡命を希望】ロシアの民間軍事会社「ワグネル」の元指揮官、アンドレイ・メドベージェフ氏が北極圏の国境を越えてノルウェーに入り、亡命を希望している。ノルウェー警察やロシア人活動家が明らかにした。

メドベージェフ氏は国外への亡命希望者を支援するロシア人活動家とのインタビューで、ワグネルとの契約更新を断った後に生命の危険を感じたと語った。メドベージェフ氏は、ワグネルの離反者とされカメラの前でハンマーで殺されたエルゲニー・ヌジン氏と同じ方法で(公開)処刑されると危惧している。「我々は大砲の餌食のように戦いに投げ込まれた」とも語った。

ノルウェー警察の安全保障部門の広報担当者は16日、メドベージェフ氏がノルウェーに入国し亡命を希望していることを確認した。メドベージェフ氏によると、同氏はロシアの町ニケルに近い国境からノルウェーに入った。フィンマルク県警察は同氏の氏名は明かさずに、13日午前1時58分に国境のノルウェー側にあるパスビクで男性1人を拘束したと発表した。

メドベージェフ氏は国境を越えて最初に見つけた家に近づいた。「そこまでたどりつけたのは奇跡だった」とも語った。メドベージェフ氏はこれまで2度フィンランドに入国しようとしたが失敗した。

メドベージェフ氏は昨年7月6日にワグネルと契約して分隊の指揮官に任命されたと明かし、「(傭兵として)囚人が到着し始めたとき、ワグネル内の状況が本当に変わった。ワグネルは我々を人間のように扱うのをやめた」と主張。囚人らは「戦闘の拒否や裏切りを理由に射殺された」と語った>

プーチン・ロシア皇帝・・・「殿ご乱心」の様相どころか異次元の狂気、凄まじさだ。切羽詰まると核兵器攻撃もしかねない。ロシア軍にはプーチンを処刑する勇気を持った将軍はいないのか。そうしなければ早晩処刑されるだけである。
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岸田政権の君子豹変は本物か

2023-01-16 09:59:17 | 戦争
岸田政権の君子豹変は本物か
“シーチン”修一 2.0

【雀庵の「大戦序章」125/通算557 2023/1/16/月】1/13の夜、寝入り際に「うっ、確定申告の時期だ!」と突然電波が走り、ガバッと起きてメモに記した。脳みそが劣化しているからメモにしないとすぐに忘れてしまうのだ。それにしてもこの電波は再発狂の予兆か? 調べたら、

<睡眠時は本来、筋肉は緩んだ状態になります。しかし覚醒状態から睡眠状態への移行時に、その切り替えが一時的に不安定になり、ウトウトと半分眠っているような状態になります。そのときに脳幹網様体から筋肉を緊張させるための信号が手足の筋肉に送られることから手足の筋肉が動き、ビクッとなるのです>(中村真樹・睡眠ストレスクリニック院長)

なーんだ、ノープロブレム、今冬も生き永らえそうだ。で、1/14の午前中は散歩に出掛けず、1984年の起業以来、40年近く世話になっている税理士事務所宛に必要な資料を揃えた。税務署と税理士は同志みたいなものだから確定申告は税理士に任せた方がいいと小生は思っているが、要は小生は銭勘定の才、能力がないのである。

商学部に入学しながら初めの一歩の簿記の授業で大ショックを受け、「俺は銭勘定には興味がない、才能がない!」と思い知った。当時の学部長は森ビル創業者で、日本経済新聞の影響だろう、氏に憧れていた小生は「ミクロはどうでもいい、ざっくりマクロ経済を学びたいんだ」と思っていたのかも知れない。1968年頃の話だ。

当時は1960年以降の高度成長真っ盛りだった。1964年頃父が「どんどん買って、どんどん捨てる時代なんだと・・・」と、ちょっと寂しそうに言っていたのを思い出す。そりゃあそうだ、庶民は大昔から衣食住に苦労し、質素倹約を良しとしてきたのだから、まさに驚天動地の日本版“経済文化大革命”の始まりだったのだ。

この革命以前はゴミが出ない暮らしだった。何から何までリサイクルで使った。浴衣が経年劣化するとオムツにし、それが劣化すると雑巾にし、雑巾がボロボロになるとかまどの火付けにした。多くの家では庭に穴を掘ってゴミ捨て場にしていたが、割れた茶碗とか死んだネズミ、魚や豚の骨などの残飯、油取りで使った古新聞などしか捨てるものがないから、半年や1年に1回、穴を掘れば十分だった。

「♪くずいーおはらい」と屑屋さんが主に鉄屑や銅線を回収しに来てくれ、しかもお金を払ってくれたものだ。奥さん連中は着物を大事にし、それは母から娘へと受け継がれていった。料理を作ると隣の奥さんに「里芋煮たのよ、どうぞめしあがれ」と持って行ったり。「向こう三軒、両隣」、6家族ほどが共同体のような暮しだった。本家と分家、兄弟姉妹など親戚の紐帯も強かった。困った時には助け合ったのだ。

日経新聞を筆頭にマスコミは経済文化大革命を煽りに煽ったのだろう、国民は「買っては捨て、捨てては買う」物欲病になり、キャッシュを得るために女は外で仕事をするようになっていった。それにより産業界は低賃金労働者を得られ、同時に消費者を得られるから、専業主婦のパタパタママがどんどん減って、保育所はどんどん増えていった。

金銭欲、物欲に駆られ、やがて行き過ぎた個人主義が蔓延し、1985年あたりから結婚しない、結婚しても子供をもうけない、せいぜい2人で十分、父母の家を相続しない、老親の面倒も見ない、近所付き合いはうざったい、老いたら国に頼る、福祉に頼る、政治家は人気を得るためにバラマキ福祉・・・文革進んで「質実剛健の国」から「軽佻浮薄な国」へと劣化するばかりだ。

今や子連れ散歩でも親はスマホを見て子供を見ない、感動を共有しない、会話もない。若者は職を得ても仕事帰りの先輩、上司との交流もない。出社しない自宅作業の人も増えている。個人主義が急速に蔓延し、人間同士の結束が薄れ、愛社精神、愛国精神は風前の灯火だ。所帯を持ったところで窮屈、面倒だから恋もしない、結婚もしない、結局、少子高齢化で国力は衰え、このままでは大和民族の日本は消えてしまいかねない・・・

まあ、こういうのを「老いの繰り言」というのだろう。しかし、危機の時代になると日本人の勇武のDNAが目を覚まし、戦士の血が騒ぐだろうと小生は思っている。以下はしばしばマスコミで紹介されているが、「社会実情データ図録」から採録すると――

<世界数十カ国の大学・研究機関の研究グループが参加し、共通の調査票で各国国民の意識を調べ相互に比較する「世界価値観調査」。

「もし戦争が起こったら国のために戦うか」という問に対する各国の回答結果では、「はい」(戦う)の比率が日本は13.2%と、世界79カ国中、最低である。「いいえ」(戦わない)の比率は48.6%と6位である。

「いいえ」(戦わない)が「はい」(戦う)を10%ポイント以上上回っているのは、値の大きい順に日本、スペイン、マカオ、スロバキア、アンドラ、リトアニアの6か国である。第2次世界大戦の敗戦国側か、戦争との関係で複雑な経緯を抱えているという共通点をもつ。

日本の場合、敗戦国という事情に加えて、日本国憲法が他国の憲法にない戦争放棄条項を有しており、憲法に対する遵法精神の上からは、この問は答えにくい内容をもっているといえる。日本は「はい」(戦う)が一番少ないだけでなく、「わからない」が38.1%と世界で最も大きい値を示していることからもそれがうかがわれよう。

第2次世界大戦の敗戦国、及び戦争放棄条項をもつ憲法を有する国ということから、こうした回答結果となっているのであって、日本の若者が軟弱になっているからといった素朴な見方はあてはまらないことが国際比較から分かる、云々>

第2次大戦の際、ロシア寄りの(共産主義者?)FDRルーズベルトは欧州の対独戦争に介入したいが、米国世論は忌避していた。そこで日本を挑発し、真珠湾を攻撃させることで米国世論を一気に参戦に導くことに成功した。

「世論」というのはマスコミ次第で大きく変わるし、逆もまた真なりで、マスコミの「社論」なども世論次第で大きく変わる。日本でも1933年8月、信濃毎日新聞は社説「関東防空大演習を嗤ふ」で「敵に空爆されたら負ける、空爆されないようにせよ」と正論を書くと、在郷軍人による不買運動が起こり、それに恐れをなして信濃毎日は主筆の桐生悠々をクビにしたものだ。

庶民も学者も主義や思想を変えることは珍しくない。小生は1971年には過激派だったが、徐々に学んで2003年あたりにはそこそこの右巻になった。アカの完全除染にナント30年以上もかかってしまったのだ。

一方で姑息な人は流行次第ですぐに転向する。志垣民郎著/岸俊光編「内閣調査室秘録 戦後思想を動かした男」 (文春新書)によると――

<戦前は「軍国主義」を讃美するような言説を展開していたのと同じ人が、戦後は「民主主義」だとか「平和」だとか、歯の浮いたような論陣を張っていた。その一例が清水幾太郎氏である。彼は戦時中、読売新聞の論説委員を務め、戦後は上智大学、東北大学などの講師をした後、二十世紀研究所を設立し、所長として活躍。平和運動や文化人の会などの中心をなしていた。

彼は戦時中は戦争賛美であった。「戦争は社会を審(つまびら)くものであると言えないであろうか。戦争は社会の優れた特質を明らかにすると同時に、弱い部分を明示するのである。戦争はしばしば基礎的社会の改新を実現することがある」(1939/昭和14年)
「大東亜戦争という名称の底に潜む雄大な意図と構想とは、生活感の是正を可能にするであろうし、またこれを前提としてこの大規模な戦争の遂行も可能になるのであろう」(1942/昭和17年)

このように言っていた彼は、戦後は平和論者になった。平和問題談話会主宰、平和教育委員会委員、雑誌「平和」編集評議員などなど、戦争反対を唱えている。雑誌「世界」では社会党左派の応援を行ったり、共産・労農党との統一戦線が必要であると言ったりしている(1952/昭和27年)。

清水氏はその後「再回天」し反共主義者になったが、オポチュニストであることに変わりはない>

オポチュニスト・・・日和見主義、御都合主義、事大主義、風見鶏、八方美人、茶坊主、太鼓持ち。時代の空気、潮流に合わせてカメレオンのように色を変える人・・・世間では「いい加減な奴」とバカにされることが多いだろうが、政治家は選挙で勝たなければならないから「時代の波に乗る」「君子豹変、過ちては改むるに憚(はばか)ることなかれ」とか言って居直る人が多そうだ。

ここまで書いたら岸田総理とその子分、特に林芳正外相を思い出した。共に軟派の宏池会所属で、林外相の根っこ、DNAは熱烈な中共応援団である。今、岸田政権は低迷する政権支持率を高めたいから「時代の波に乗る」「君子豹変」を演じているだけかも知れない。

識者は「岸田氏は発する言葉数は多いが、真の意図がよく見えてこないと私は注文をつけてきた。しかし今、氏の意図は明確な形で示され、私は感銘を受けている。安全保障に関する戦略3文書に関して岸田首相を評価したい」(櫻井よしこ氏)などとヨイショすることで「反中露北への厳しい対応を続けよ」と尻を叩いているよう。岸田・宏池会人脈は上記の清水幾太郎のように根っからの軽佻浮薄なオポチュニストが多いのかもしれない。

戦前・戦中、近衛文麿宰相はソ連の赤色スパイに騙され続け亡国を引き寄せてしまった。戦後リベラルは基本的にアカやピンクで中露北との親和性が強く、岸田政権は今は米国の圧力を受けて、表向きは反・中露北を演じている可能性はある。良識ある人々、言論人、政治家はしっかりと政権をウォッチし続けて欲しい、と血の気は多いが良識の怪しい小生は思うのである。
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岸田総理は大化けするか

2023-01-14 08:45:38 | 戦争
岸田総理は大化けするか
“シーチン”修一 2.0

【雀庵の「大戦序章」124/通算556 2023/1/14/土】哲学者になりたい、無理ならせめてアジテーターになりたい、と思っているのだが、とにかく勉強しないと誰も耳を傾けてくれないので、日々、読書と思考に追われている。ま、趣味、オタクのようなもので、「へー、そういうことか」と発見があるから結構楽しい。

志垣民郎著/岸俊光編「内閣調査室秘録 戦後思想を動かした男」 (文春新書)。最近読んだ本では一番刺激的だった。内閣調査室(内調)は戦後日本のインテリジェンス(諜報機関)の代表格で、基本的に「反共愛国・親米」である。新書版だが343ページもあり、それでも活字を小さくしてぎゅう詰めにしたという。普通の文字にしたら500ページを超すだろう。視力が弱ってきた小生にはしんどかったが、どうにか読破した。人間、根性だぁ! 同書の宣伝文句にはこうある。

<内閣調査室は本当に謀略機関だったのか……謎のヴェールを剥がす第一級の歴史史料! 松本清張は、昭和36年に「文藝春秋」に連載した『深層海流』で、「内調の役目がその辺を逸脱して謀略性を帯びていたとなれば、見逃すわけにはいかない」と書いた。あれから60年たっても、内調については関連する公文書も公開されなければ、組織の正史も作られておらず、依然としてその実態は謎のままだ。

本書は、昭和27年に吉田茂首相が、旧内務官僚の村井順に命じて内閣調査室が発足したときの、4人のメンバーの1人、志垣民郎氏の手記である。手記のポイントは、内調は日本を親米反共国家にするための謀略機関だったのか、という問いに明解に答えているところにある。

志垣氏の主な仕事とは、優秀な学者・研究者に委託費を渡して、レポートを書かせ、それを政策に反映させることだった。これは、結果的に彼らを現実主義者にし、空想的な左翼陣営に行くのを食い止めた。そして本書には、接触した学者・研究者全員の名前と渡した委託費、研究させた内容、さらには会合を開いた日時、場所、食べたもの、会合の後に出かけたバーやクラブの名前……すべてが明記されている。まさに驚きの手記だ。

100人を超えるリストの面々は豪華の一言に尽きる。時代を牽引した学者はすべて志垣氏の手の内にあった。とくに重要なのが藤原弘達。「時事放談」で知られる政治学者は、東大法学部で丸山真男ゼミに所属した俊才であった。「彼が左翼に行ったら、厄介なことになる」。そこで志垣氏は、彼を保守陣営に引っ張り込むために、あらゆる手立てを尽くす。戦後思想史を塗り替える爆弾的史料である>

著者の志垣民郎氏は我が父と同世代の1922(大正11)年、東京生まれ。旧制東京高等学校、東京帝国大学法学部卒。1943年の学徒出陣に召集され、中国戦線に従軍。復員後、文部省などを経て、日本が“独立”した1952年から内閣総理大臣官房調査室、略して「内調」勤務。第5部、第3部、第1部主幹を歴任。1978年に退官後は、社団法人国民出版協会会長などを務めた。

編集にあたった岸俊光氏は小生より10歳若い1961年、愛媛県生まれ。全国紙記者(毎日新聞)。学芸部の論壇記者や論説委員を務める。NPO法人インテリジェンス研究所特別研究員。日本の非核政策研究により早稲田大学で博士号(学術)を取得。

アマゾンのレビューでは日之本太郎氏がこう評価している。
<国家のために蔭で働いた一人の戦中派の人生録です。内調の秘録というよりは、志垣民郎という人物の人生録として興味深いものがあります。志垣氏は東京帝大生でしたが、戦時中に学徒出陣をして生き残り、戦後の内閣調査室の発足時メンバーとなります。内調では主に知識人や学者担当となり、マトモな知識人や学者の意見を求めて政府の施策に役立てると共に、優秀な知識人や学者の間に現実主義的な立場が広まるように努力します。

現在の日本人には想像もつかないと思いますが、戦後暫くの間は、日本の知識人や学者の世界では共産主義シンパか極端な左翼が圧倒的多数を占めていた時代です。そのような時代に、日本の発展を願って、名声を求めず蔭で働いた1人の人物の記録です、云々>

編者の岸俊光氏によると内調は米国を主とする連合国占領下の1952/昭和27年4月、内閣総理大臣官房調査室として新設された、首相直属の情報機関である。

露中北の共産主義国が朝鮮戦争(1950~1953年)を起こしてトルーマン米大統領やマッカーサー司令官が右往左往していた時期だ。明治以来、永らく露中と戦ってきた日本の危機意識を米国は初めて理解したに違いない。

初期の内調についての実情は明らかにされていない。関連する公文書はほとんど公開されておらず、組織の正史も作られていないからだ。多分、米国としては日本の協力がなければ露中北を封じ込めないから軍隊(警察予備隊、後の自衛隊)やインテリジェンスとして諜報機関を復活させたりしたのだろう。

同書によると吉田茂首相が1952年、村井順・国家地方警察本部警備課長に命じて内調を創設した際、配下の4人の中に志垣民郎氏がいた。間もなく内調は以下の6部制になった。☆一部:治安・労働・経済、☆国際一部:中国・東南アジア、☆国際二部:ソ連・欧州・CIA、☆三部:弘報関係、☆四部:資料、☆五部:学者、☆六部:審議員会議。

岸俊光氏によると「志垣氏の手元には膨大な日記が残されている。志垣氏曰く『世の中では内調を面白可笑しく取り上げて揶揄する傾向がある。しかし、創設以来のメンバーは自分であるから、世間の皆に事実を正確に知って欲しい』と」。

志垣氏退官翌年の1979年、東京新聞(中日新聞の東京版)の大槻立一記者が「ミスターXの退場」と題してこう書いている。

<「もうこの辺でいいだろう。私の使命も終わったようだ」――こう静かに呟きながら一人の政府高官が退官していった。「X」としておこう。高官と言っても行政の表舞台には出ず、戦後一貫して公安、警備関係、それも国民意識の分析を専門の仕事として歴代保守内閣を裏側から支えてきた人だ。

T大法学部在学中に学徒出陣、中国大陸を転戦し敗戦、復員後A省入り。戦中多くの学友、戦友を失い、戦後は多くの友人が革命または革新への道を選んだ。だがXは体制側の、それも公安の道へ進んだ。

Xの心理状態は屈折したが、「戦前、戦中のドイツ、日本などのファシズムと同様、マルクス・レーニン主義という単一イデオロギーで支配される国に日本がなった場合、若者が再び銃を担がされる危険性が多いのではないか」と考え、自分の役職を納得した。当時の国際共産主義脅威論を自分なりに解釈したのだ。

昭和27年の皇居前・血のメーデー事件、35年の安保闘争、とXの仕事は急激に増え、「体制の危機をモロに肌で感じた」そうだ。

「だがもう安心できる。一人当たりの国民所得が約100万円になり、分配も上手くいっているのか、自分が中流の生活をしていると思っている国民が90%もいる。これが成熟した社会というのかな。家族で外食もでき、好きな本も読め、戦争もない。案外、私が学徒出陣のとき夢見た社会なのかもしれない」

「今の若者をシラケ世代なんて批判するのはかわいそうだ。若者は反逆すると言っても、今は命をかけても倒そうという体制がないんだもの。公安調査庁や警察庁は予算目当てにいろいろ言うが、怖いのはテロだけだ」、云々>

因みに1979年に所帯を持ったばかりの小生は自宅では東京新聞を読んでいたが、名物コラムの「千夜一夜」が社内のアカに追放されてから左傾化が露骨になったので読売新聞に変えたものだ(ここ20年は産経)。朝毎東(中)などアカに乗っ取られたような新聞は近年、退潮著しいようだ。

志垣氏の記録と言うか日記、論稿は微に入り細を穿つが、当日のあれこれを翌日に記録したようである。小5の頃から日記の習慣を身につけいたそうで、記憶力も超人的で、小生は「戦前リベラル=愛国者」のレベルの高さにビックリした。基本的に内調の職員のほとんどは反共だったようで、共産主義幻想の「戦後リベラル=反日のアカ」とは全く人種が違うよう。

1950年7月からGHQの指示によるレッドパージ(アカ狩り)が始まったが、「ただ一つ、大学だけがレッドパージ不成功に終わった。教職員のパージに反対する学生たちが試験ボイコット、デモ、警官隊との衝突まで引き起こし、文部省が大学教員のパージを断念」(「写真で読む昭和史 占領下の日本」)したからだ。この痛恨のミスがなければアカの巣窟、日本学術会議や日弁連という反日勢力は消えていたろうにと悔やまれる。教科書検定を見ると文部省にも今なおアカがはびこっていそうだ。

第2次安倍内閣が発足した2012年12月26日から2017年1月27日までの4年余の間に、新聞に掲載された首相の日々の動向を集計したところ、2011年から内調トップの北村滋氏は首相との面会数が659回で最も多かったという(出典は日経2017/1/29)。岸俊光氏は「この頻度の高さは安倍首相が内調のインテリジェンスを重視していることを物語る」と評している。

岸田総理はこのところゴロツキ暴力団・露中北への警戒心を強めているが、安倍氏に倣って内調の報告に耳を傾けるようになったのかもしれない。君子豹変、歴史に名を刻む名宰相を目指すべし。
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ドローンが招く?お手軽戦争

2023-01-12 12:04:11 | 戦争
ドローンが招く?お手軽戦争
“シーチン”修一 2.0

【雀庵の「大戦序章」123/通算555 2023/1/11/水】ママチャリの後輪を新品にしてからチャリ散歩は随分ラクチンになって、今朝は2時間も楽しめた。しかし調子に乗って遠くへ行き過ぎて帰路はハーハー、ヒーヒー、行き倒れになるんじゃないかと不安になってしまった。100年後には100歳翁でも元気が良く、「昔からのものは脳ミソだけで、それ以外は全部人造だよ、まったくすごい世の中になったもんだ、ハッハッハ!」なんていう時代になったりして・・・恐ろしいことだ。

“オソロシア”プーチン・ロシアのウクライナ侵略で、戦争の主役は兵士からドローンになってきた印象を受ける。上を向いて歩こう? 2023/1/10の佐藤仁氏の論稿「ウクライナ軍のドローンを迎撃しようとするロシア兵にドローンから爆弾投下 命中せずに兵士は逃走」から。

<2022年2月にロシア軍がウクライナに侵攻。ロシア軍によるウクライナへの攻撃やウクライナ軍によるロシア軍侵攻阻止のために、攻撃用の軍事ドローンが多く活用されている。また民生用ドローンも監視・偵察のために両軍によって多く使用されている。

ウクライナ紛争ではドローンによる上空からの攻撃をウクライナ軍、ロシア軍ともに頻繁に行っている。ウ軍は小型の民生品ドローンやウ軍が開発した攻撃ドローン「R18」などから爆弾を投下して地上のロ軍の戦車などを攻撃、破壊している。

ドローンが上空を飛んでいたらバリバリと大きな音がするので、迎撃システムがあれば機能を停止させたり、撃墜することもできる。上空のドローンを迎撃するのは、電波を妨害(ジャミング)してドローンの機能を停止させるソフトキル(soft kill)と、対空機関砲のように上空のドローンを爆破するハードキル(hard kill)がある。

そんななか、地上のロシア兵が上空のウ軍のドローンを迎撃しようとしていた動画が公開されていた。ドローンの多くは迎撃されたり機能停止させられてしまうのだが、上空のドローンは破壊されることも機能停止されることもなく、ドローンから爆弾を投下されてロシア兵が慌てて逃げていた。

ドローンから投下された爆弾はロシア兵には命中しないで、近くに落下して爆発。ロシア兵は走って茂みに伏せて一命はとりとめたが足を引きずって逃走していった。

ウ軍のドローンは一発の爆弾しか投下していなかった。おそらく1機につき1~2発しか爆弾を搭載していない小型民生品ドローンだろう。搭載できる爆弾や手榴弾の量には限りがあるが、上空から投下するので兵士に命中したら殺傷力はある>(以上)

兵士の人的損耗を少なくするために、戦争はやがては無人のロボット兵器同士の戦いや無差別ミサイル攻撃、サイバー戦、宇宙戦が主流となるのかも知れない。しかし、人的損耗が少ないと開戦に対するブレーキが弱くなり、このままでは遠慮や躊躇もなく戦争を始める国が増えて行くのではないか。トウ小平のベトナム侵攻(中越戦争)のように「生意気だから懲らしめてやる」といったご都合主義やお手軽気分で開戦するようにならないか。

そう、21世紀のハイテク・ドローン戦争は「戦争は最終手段だからまずは外交で問題解決を図ろう」という抑止マインドを劣化させかねないということ。まさに「プーチン流侵略」、非常に危険だ。

「奪い、殺し、焼き尽くす」三光作戦は支那の伝統的戦法だが、時代錯誤のプーチン流侵略とそっくり。まるで紀元前の蛮族。ハイテク・ドローン戦争では兵士の損耗が少ないから「お手軽開戦」が増えかねず、熱戦に至る危険性は高い。この手の輩に対するには、「侵略は国際社会の制裁を受けるから割に合わない」と思い知らせることだ。経済制裁は元より、我々自由陣営は抑止力を強靭にするため戦力と団結を一段と強化しなければならない。敗戦はこりごり、二度と御免だ。
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