復活蒸機のパイオニアとして今も君臨している山口線。あれからすでに40年の歳月が流れていることにまずは驚いてしまう。今を思えば、まだまだ鉄道撮影は駆け出しだったアントンKだが、やはり生きている蒸気機関車を間地かで見た時は、興奮して五感が震える想いがしたもの。諸先輩方の撮影に対するハマり振りにも納得したものだった。以後、各地でこんなにも多くの蒸機が復活を遂げ、我々を楽しませてくれているが、今年は少し雲行きが変わり、今後の動向を注視する案件も浮上しそうで目が離せないでいる。
国鉄末期の山口線C571の「国鉄記念」号。旧型客車を使い特別運転があった。日章旗が掲げられたため、迷わず正面狙いで篠目の直線へと攻め込む。ドラフト音が鳴り響き山にコダマしてから数分が過ぎるが、なかなか近づいてこない様子。しかし確実に歩を進めていることがわかる。目の前に爆音が迫っているが、まだ姿を現さず空が煙で薄暗くなって音だけが近づくが、釜がファインダーに飛び込んだ時、その煙の迫力に圧倒され身震いし、それでも必死になってシゴナナに立ち向かった遠い日。牛歩のような動きに完敗しそうになるが、この時初めて蒸機の魅力の底力を知ったように思う。何だかまた会いに行きたくなってきた・・・
1986-11-12 9522ㇾ C571 国鉄記念号 旧客4連 山口線:篠目-仁保