急行型電車が消えてから久しく時間が経ってしまった。JRでは、急行という種別そのものが過去のもののように扱われ、当然ながら急行型の車両など必要なしとばかり淘汰されてしまった。
アントンKは、華やかな特急型車両も好きだったが、今回話題にする急行型車両も大好きな車輛たちだった。165系電車が最も好きだったが、それは、一番親しみがあった形式ということに置き変えられる。若い頃は遠征するにも、特急は贅沢な乗り物として考え、いつも乗る列車は急行列車だった。周遊券が使用できたということも大きいが、気軽に乗車して目的地を目指すことが多かった。特に「佐渡」「よねやま」「アルプス」「まつしま」「ばんだい」などは、撮影目的で遠征の際お世話になった列車達。銀箱に三脚を持ってボックスシートに潜り込み、ワクワクして目的地を目指した遠い日は、一番の宝物となってしまった。
掲載写真は、165系が東海道線をいく雄姿。東海道線の急行といえば、何といってもアントンKには、153系だが、JR化を待つことなく消滅してしまい、後継の165系に引き継がれることになる。当時は、気候の良い平坦な路線を行く165系は何とも物足りなく思えたが、今こうして再確認すると、やはり湘南色をまとった165系は東海道でも様になっていると感じてしまう。かつては「山東海」と呼ばれ、パワーに物を言わせて、勾配区間を果敢に進んだ165系だが、それも昔話となってしまった。今の若者曰く、「かぼちゃ電車」と呼ぶのはは勘弁してほしいが、このオレンジとグリーンの湘南色は、スカ色と並んで日本の国土にマッチし、最も国鉄らしい重厚なカラーだと思っている。
富士の麓を下る165系。出来ることならもう一度見てみたい。
1987-02-28 323M Tc165 東海道本線:三島-函南