全国に普通客車列車が走っていた国鉄時代。祖父の家が大宮市にあったため、年に何度か顔を出すときに乗車した東北線が、たまたま客車列車だとちょっと得した気分になり、大宮までとはいえ旅気分を味わったものだ。まだ幼少の時期で、親に連れられて動いていたから時刻を列車に合わせていくことは出来なかったが、逆に偶然に機関車が見えて来て、滑るようにホームに止まる客車に乗り込む時のドキドキ感は、今でもハッキリと思い出せる。鉄道趣味が開眼したあと、残念ながら自動車移動が増えてしまったが、たとえ都内と大宮の短い間だけでも、未だに印象的シーンを思い出せる幸せは、これからも大事にしたいところだ。
高崎線を往く上野-高崎間を走っていた普通客車列車。高崎第二区のEF58が長い客車を牽く姿は、いつ眺めても懐かしく良いものだ。開けっ放しのドアのデッキにたたずみ、ジョイント音とともに流れゆく景色を見ながら過ごすひと時は、アントンKにとって大切な時間だったことを今さらながら気づかされている。
1976-03-28 2325ㇾ EF58 87 高崎線:大宮-宮原