今日は、朝から随分と春めいていて、空気も緩み心地よい日和だった。そんなこの季節らしい日の中、京都市交響楽団の東京公演を聴いてきた。最近、特に関西では実力を上げてきたと言われている京都市響は、アントンKにとっては初の実演奏になる。同じ関西でも大阪フィルは、30年以上の長きに渡り実演や、CDなどにも触れてきたが、その大フィルを、最近関西オケでは抜いたのではないか、などと言った記述を読んだものだから、今日の京都市響の存在は気になっていた訳である。
プログラムは、前半にラフマニノフのピアノ協奏曲第2番、そして、後半は、マーラーの交響曲第1番「巨人」といったもの。どちらも聴きごたえのある曲だから、大変楽しみにしていた。
今聴き終わってみて、まず言えることは、思いのほかオーケストラの能力は高いということだ。これだから、大フィル云々言われる訳だな、と理解できたのだが、今日の演奏を聴いただけでは、まだよくわからないパートがあったことも事実だ。特に、木管パートのFlやObについては、もっと雄弁であってほしい。今日の2曲では、なかなか聴こえてこなかった(席は、1階15列センター)。マーラーでは、時には官能的に演奏してほしい個所が多々存在するわけだが、やはりそういったところで、音色が届かないのは致命的である。その逆で、金管群は、音の鳴りも素晴らしく、特にHrは分厚く存在感があり、お気に入り。弦楽器群も積極的な演奏で、聴衆を楽しませていたように思う。
ただ個人的な見解になるが、指揮者の広上淳一氏の指揮振りに馴染めず、ちょっと辟易してしまうところがあった。もちろん音楽だけに集中していればいいのだが、あまりの大ぶりと、オーバーアクションに対して逆に冷めてしまう自分自身がいやになるほどだ。要は、指揮者の体温の上昇に周りがついていけないような雰囲気を感知してしまったということ。確かに、2曲とも独特な演奏解釈であり、特にマーラーについては、ユニークであり、熱演で好演奏だったことは認めよう。フィナーレのコーダでの圧倒的な音量と最後へ向かってのたたき込みはどうだ!今思っても熱く素晴らしいものだったが、この程度のものは、過去にも経験がある訳で、やはり指揮者の独自性がまだオケに浸透していないような違和感を覚えてしまった。広上氏も、このオケの常任指揮者としてはまだ日が浅いとのことなので、これから期待がさらにもてると言うことなのだろう。
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ラフマニノフ ピアノ協奏曲第2番 ハ短調 OP18
マーラー 交響曲第1番 二長調「巨人」
アンコール~R.シュトラウス
京都市交響楽団 東京公演 at サントリーホール
指揮者 広上淳一
ピアノ ニコライ・ルガンスキー