アントンK「趣味の履歴簿」

趣味としている音楽・鉄道を中心に気ままに綴る独断と偏見のブログです。

インバル=都響の「1000人」

2014-03-09 20:00:00 | 音楽/芸術

都響の新マーラーチクルスもいよいよ終盤、最後の山場とも言える第8番を聴いてきた。

結論、とにかくあらゆる想像を遥かに超えた素晴らしい演奏だった。あまり実演のない楽曲だから、おそらくもう二度と生では鑑賞できないと思う。そのくらい素晴らしく物凄かった。この曲は、「千人」と言われるくらい、大仕掛けの大曲だから、今までも生演奏の機会は逃さず聴いてきたつもりだが、今までのどの演奏より、グレードが高い。格調が高いのだ。もちろん今日の指揮者インバルの指揮でも過去90年代に実演に触れている。また、その当時のCD録音である、フランクフルト放送響との演奏も愛聴盤として聴いてきた。しかし今日の内容は、いずれのものより、奥が深く全てに意味があった。ここで、個々に触れていると、切りがないくらい語りたいことが多いが、特に、数時間経った今でも思い出せば、鳥肌が立ちそうになるところは、、マリア崇拝の博士のテノール歌手のフレーズに続く4台のハープに乗せたアダージッシモの部分。こんなに優しく厳かなイメージをここで感じたことはなかった。最近自分に降りかかった全ての喜怒哀楽が浄化され、自ら天に昇って行くような錯覚を覚えた。辛く悲しい出来事が、今目の前で演奏されているマーラーによって慰められていることがわかった。何て暖かい意味のある音色なんだろうか。自然と夢中になっていることがわかったが、何といっても、その後のオルガンと合唱が静かに語る部分、いわゆる「神秘の合唱」といわれる箇所からのインバルの解釈は、圧倒的だった。テンポを極端に落とし、極端にピアニッシモを要求して、聴衆にもかなりの緊張をあおられるが、そこからのどこまでも続くクレッシェンドは、類を見ず、大きくためた後での、バンダからの(3階席から)金管楽器群は、神のお告げのように鳴り響き、指揮者インバルは、最後にこの曲のモチーフを2回バンダに向かって絶叫させたのである。

今回は、友人にお誘いを頂き聴くことができたわけで、アントンKにとっては、これを聴かなかったら、一生の汚点になった今考えている。まあここでいくら書きつくしても、伝えられないと思うが、自分が後で読み返して、この想いが甦るように記しておきたい。

エリアフ・インバル指揮 東京都交響楽団

ソプラノ1 澤畑 恵美

ソプラノ2 大隅 智佳子

ソプラノ3 森 麻季

メゾソプラノ1 竹本 節子

メゾソプラノ2 中島 郁子

テノール 福井 敬

バリトン 河野 克典

バス 久保 和範

晋友会合唱団

東京少年少女合唱隊

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マーラー 交響曲第8番 変ホ長調「千人の交響曲」  at   横浜みなとみらい大ホール