杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

ワールド・トレード・センター

2006年10月12日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)
2006年10月7日公開  アメリカ 129分

9.11同時多発テロの標的となったワールド・トレード・センターを舞台に、大惨事から奇跡的に生還した男の姿を描く実話を基にした感動ドラマ。

オリバー・ストーン監督というので、何か構えてみなければならないのかという不安もあったが、予告編で人間ドラマだということ、及び、監督自身がイデオロギーを前面に出した作品ではないことを語っていたので、とにかく観てみようと

舞台は救助作業をしようとして倒壊したビルの地下に閉じ込められ、身動きの取れなくなった港湾警察のマクローリン(ニコラス・ケイジ)とヒメノ(マイケル・ペーニャ)の会話と彼らの家族の様子が中心で、ごくプライベートではあるが、感動的なドラマに仕上がっている。

たしかに政治的にどうだとか、大局的な要素は出て来ず、一警察官とその家族の想いを丁寧に描いているので、先日公開された「ユナイテッド93」よりはずっとドラマとして感情移入しやすい。実話であること、二人は救出され、存命であることを知っている分、安心してスクリーンを見つめていられたということもある。

自分的な泣き所は、彼らの会話や救出の様子ではなくて、その家族、妻や息子の想いが描かれる場面だ。日々の生活に流され、互いへの感情表現も希薄になっていたマクローリン夫妻が、改めて相手への想いの強さに気付いたり、気丈なヒメノの妻の健気な姿に涙が溢れてくる。

少々違和感があったのは、時間が経って意識が朦朧としてきた時にヒメノやマクローリンが見る夢。神が現れるというのは無宗教な身にはどうしても抵抗が・・彼らを発見する海兵隊員?の神に啓示を受けたような設定も同様。まさに事実は小説より・・なのだろうか

倒壊現場での塵・埃・瓦礫にまみれての殆ど顔だけの演技は両俳優にとっても過酷なものだったろうことは想像に難くない。観ているだけでも口の中がジャリジャリしてくるし目が痒くなりそう。冒頭のニコラスが颯爽とした容姿だったのが対照的。

マクローリンの妻ドナ(マリア・ベロ)、ヒメノの妻アリソン(マギー・ギレンホール)はじめ、彼らの子供達も美男美女揃い。こういう作品で美醜がどうのというのは不謹慎かもだが、平均以上を揃えたのか、実際に合わせたのか

事が起こった時、助けになるのは人の善意と生きようとする意志の力、自分を支えてくれる人たちへの愛と信頼なのだと、伝えているように受け止めた。

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