内田康夫財団事務局(著) 光文社文庫
浮かない顔の雅人の様子が気になり吉田須美子が訊ねると、賞をとったクラスメイトの俳句が、盗作かもしれないと言う。件の句を聞いた浅見光彦の「松尾芭蕉だっけ?」という言葉をたよりに図書館に調べに行くと、ページを折られた痕跡のある芭蕉の本が―!(「雅な悩みごと」)浅見家の面々がちょっと困った時に頼りになる須美ちゃん。みんなの笑顔を取り戻します!(内容説明より)
ご存じ、浅見家のお手伝い、須美ちゃんが身の回りのちょっとした謎を解き明かすご近所ミステリー第二弾!・・・らしいのですが、浅見光彦シリーズはTVドラマしか見た事がなく、本は初めてです 歴代光彦役では中村俊介さんが印象に残っているかな
榎本さんも光彦役をしていて、後には兄の浅見陽一郎役でもお馴染みになりました。光彦は総じて甘いマスクの育ちの良いお坊ちゃんでおっとりした印象ですね。
光彦自身は旅先で事件に遭遇する率が高いですが、お手伝いさんの須美ちゃんは浅見家から徒歩圏の商店街がせいぜいということで、本作では浅見家の人たちにまつわる4つの事件、といっても些細な疑問や悩みの解決のまさに「お手伝い」のための謎解きです。なので殺人などの物騒な事件も起こらず、安心して読み進めることができるし、解決後は穏やかで優しい気持ちになりました。 須美ちゃんが買い物の際に組み立てる「今夜のメニュー」も家庭的で美味しそうで真似したくなります。
第一話 雅な悩み事 中学生の浅見雅人のクラスメイトの俳句盗作問題を解決
第二話 智は愛されし 高校生の浅見智美宛てのラブレターに隠された真実を紐解く
第三話 和を繋ぐもの 若奥様の浅見和子のコートに入れられた古い写真の謎を解く
第四話 雪に希いしは 大奥様の浅見雪江が見かけた少女たちの悲し気な理由を探る
北区・西ヶ原にある浅見家の近所には西ヶ原商店街・染井銀座商店街・霜降銀座商店街がありますが、実際その商店街を歩いたこともあるし、北トピアや滝野川警察署、王子神社や飛鳥山公園に音無親水公園などなど、頭の中で思い浮かべることのできる土地勘のある場所が沢山登場するのも親しみが湧きました。
何話かにまたがって登場する売れない画家とその娘のエピソードは謎解きとは関係無いのですが、人の見た目と中身は違うということをさりげなく教えているようでもあります。
それにしても浅見家の人たちは人間出来過ぎているような
シリーズは未読なので、浅見家の三女の死の真相を謎解く「後鳥羽伝説殺人事件」なども読んでみたくなりました。須美ちゃんの第一弾もね