杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

Mr.ノーバディ

2022年09月21日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2021年6月11日公開 アメリカ 92分 PG12
郊外にある自宅と職場の金型工場を路線バスで往復するだけの単調な毎日を送っているハッチ(ボブ・オデンカーク)は、地味な見た目で目立った特徴もなく、仕事は過小評価され、家庭では妻(コニー・ニールセン)に距離を置かれて息子から尊敬されることもない。世間から見ればどこにでもいる、ごく普通の男だった。そんなハッチの家にある日、強盗が押し入る。暴力を恐れたハッチは反撃することもできず、そのことで家族からさらに失望されてしまう。あまりの理不尽さに怒りが沸々とわいていくハッチは、路線バスで出会ったチンピラたちの挑発が引き金となり、ついに堪忍袋の緒が切れる。(映画.comより)


 一見ごく普通の中年男が、世の中の理不尽に怒りを爆発させ、武装集団やマフィア相手に激しいバトルを繰り広げます。

ハッチは、妻と子供2人と郊外に暮らすごくごく平凡な男。火曜日のゴミ出しにいつも遅れ、妻から呆れられ、息子にも邪険にされています。ある日、自宅に2人組の強盗が押し入ります。息子は強盗に立ち向かいますが、ハッチは手向かわず、強盗たちは、小銭を奪って逃げていきます。そんな父を息子は見下し、妻にも距離を置かれます。

翌日、お気に入りのブレスレットがないと騒ぐ娘に、ハッチは強盗が奪っていったと考え家を飛び出します。老人ホームに入居する父親(クリストファー・ロイド )を訪ねた彼は父のFBIのバッジを持ってタトゥー・ショップに向かい、強盗の身元を割り出します。強盗の家に乗り込んだハッチは抵抗する男を殴りつけますが、赤ん坊が要ることに気付くとやれやれという顔でその場を離れました。

ブレスレットは見つからず、もやもやした気分でバスに揺られていると、チンピラが乗り込んできて絡まれます。ここから一転、平凡な筈の男ハッチがチンピラ相手に大立ち回りを始めるのね。華麗に相手を倒すのではなく、自分もやられながらというのがミソのようです。

ハッチにやられたチンピラの一人はロシアンマフィアのユリアンの弟でした。
復讐を誓ったユリアンは、ハッチの身元を突き止め、父親が老人ホームにいることも調べ出します。
ハッチを連れに家にやってきたユリアンの部下。それに気付いたハッチは、家族を地下室に隠してから、侵入してきた男たちを次々と始末していくのですが、途中でスタンガンをあてられ拉致されてしまいます。車のトランクで意識を取り戻したハッチは、中にあった消火器を使って脱出すると、家族を安全な場所に逃がします。

ハッチの正体は「会計士」で、最強の殺戮者でした。かつて命乞いをして悔い改めた男が真人間になり幸せな家庭を築いている姿を見て自分も欲しくなったのだと独白します。

部下がやられたと知り怒りに震えるユリアンは、ハッチの父親を襲わせます。
ところが父はショットガンであっさり侵入者を射殺。音に気付いてドアを開けたホームの職員は、大音量で西部劇を観ている父を見て、音を小さくするように声をかけてドアを閉めるのでした。日がなTVを見ているだけの呆け老人かと思いきや、やるじゃん!な爺様です。まさにこの親にしてこの息子だわ!!

ハッチは隠していた金の延べ棒で義父から工場を買い取るとそこをアジトにユリアンとの決戦に備えます。
ユリアンが任されていたロシアンマフィアの基金「オブシャク」と、名画のコレクションを襲ったハッチはそれらを焼き払います。それからユリアンのバーに乗り込んでその事実を告げ車で立ち去ります。追ってきたユリアンたちと激しいカーチェイスの末、アジトで迎え撃つハッチ。そこに現れたのは(スピーカで話していた相手の)異母兄弟のハリーとショットガンを持った元FBIの父です。

暫く平穏な暮らしを楽しんでいた父と子は遂にその本来の闘争心を解放したのね。壮絶な撃ち合いが続き弾切れになった3人。止めを指そうと近づいてきたユリアンを防弾ガラスに張り付けた手製爆弾で爆死させるハッチ。いや、ありえないっしょ!

ここで冒頭の取調室のシーンに戻ります。「一体、何者なんだ?」と問われ「何者でもない(Nobody)」と答えたハッチでした。これは自身の正体を明かさないことと掛けた言葉でもあるのね。

3ヶ月後。妻と新居の物件を見て回っていたハッチに電話がかかってきます。それを受けたあとハッチは案内人に聞きます。「ここにはあるのかな・・・」その後を妻が引き取りこう言うの「地下室が」ってね。
それは彼女が彼の「仕事」を受け入れ、とりもなおさず彼の「愛」を受け入れている証でもあるのね😉 

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする