明日の葉っぱ(8×8)=69

思いつくまま 気のむくまま書いてます。

松本隆のコトハ歌コトバ その5

2021-05-18 13:01:00 | 松本隆のコトハ歌コトバ
前回の続きで
繋がりのある
似ている物語の作品を
二つ


太田裕美さんの
「木綿のハンカチーフ」
かまやつひろしさんの
「水無し川」
という作品。


♪恋人よ 僕は旅立つ
東へと向かう列車で
華やいだ街で 君への贈り物
探す、探すつもりだ

【木綿のハンカチーフ】

♪北から吹いた風に追われて
旅立つ僕を許してくれよ
寒い都会にゆこうと思う
そこで仕事を探すつもりだ

【水無し川】



木綿のハンカチーフに
登場する男は西日本あたりから
東京を目指し
水無し川に
登場する男は北日本あたりから
東京を目指してる
設定は違うが
どちらも
彼女と別れて
都会へと出てゆこうと
している男の歌だ。

木綿のハンカチーフでは
手紙のやりとりのような
男女のコトバのやりとりが
あって、
掛け合いがあって歌は進行するが

水無し川の方は
男からの一方的な
いわゆる彼女へ向けた手紙のような
北国の男らしい
朴訥とした感じが残る
感情の綴られた歌となってる

♪恋人よ 君を忘れて
変わってく僕を許して
毎日愉快に過ごす街角
僕は 僕は帰れない

【木綿のハンカチーフ】

♪なけなしの夢はたいて
賭けた
いちかばちかは男の賭けさ
君の汽車賃送る代わりに
最後の酒に酔うかもしれぬ
最後の酒に酔うかもしれぬ

流氷が消えて春になっても
君の気持ちが変わらないなら
その黒髪を切らないでくれ
僕は一目で愛を知るだろう


【水無し川】

木綿のハンカチーフでの都会に
慣れてしまって
変わっていく自分を彼女に対して
許してと言いながらも
彼女のもとへ帰ることを拒む男と

一方、いちかばちかの都会で勝負して彼女を呼ぼうと考えてた
男は
故郷に残してきた女性が
長い黒髪を待っている
年月分そのまま伸ばして
いてくれたなら
…と
都会で成功して呼ぶ約束をしたが
出来てない不甲斐ない男からしたら
待っていてくれている
女性を知れば
「愛」を感じずには
いられないだろう。
そんな
純愛物語となっている。

木綿のハンカチーフも
水無し川も
どちらも
都会へ行った男性を待ってる
女性が描かれている
その存在感が
松本隆さんの内面に確立している
女性像なのでしょうか?

この歌が世に出た当時でギリギリ
世の中の女性がここまで古風な
考えであったのは…
田舎であっても
その在り方は変わっていった時代

いわゆる
「流行らない」女性像
なのに
あえて昔の大和撫子のような
憧れを歌の中に託している点に
この歌を聴いて
グッとくる
心が引き寄せられるところを
持っている作品なんだと思う。


松本隆のコトハ歌コトバ  その4

2021-05-17 16:04:32 | 松本隆のコトハ歌コトバ
松本隆さんの作品のなかには
似たような
シュチュエーション
情景の作品がちらほらと
ある
今回は
吉田拓郎さんの
【サマータイムブルースが聴こえる】と
大瀧詠一さんの
【Tシャツに口紅】
という作品。




♪かなりやばいせんになったきた
防波堤の上に朝日がさすよ

♪愛なんて言葉使えずに
サラリと手を振って別れたはずさ
帰りバスの中で気づいたよ
Tシャツの背中に
口紅の文字


【サマータイムブルースが聴こえる】吉田拓郎


という情景が映し出され男女の恋の行方が歌われていく

そして

♪夜明けだね
青から赤へ色移ろう空
お前を抱きしめて

♪カモメが驚いたように埠頭から
飛び立つ

【Tシャツに口紅】

どちらも夜明けごろの
海の近くいる
男女。

手当たり次第に声かけ
ナンパして
初めて同士で
関係もって
引っかかった女性
も[寂しかった]
お互い寂しがりや同士。

Tシャツに口紅での男女は
長い付き合いの男女
答えを出そうとする男に
別れることに懐疑的女

二つの歌には
プロローグ的意味を持つ
「サマータイムブルースが聴こえる」と
エピローグ的意味を持つ
「Tシャツに口紅」が
表されて
いるようにも感じる

1981年9月に発売の
サマータイムブルースが聴こえる
1983年9月に発売の
Tシャツに口紅


手当たり次第に声かけて
みんな振られたけど
君だけは付き合ってくれた

♪愛なんて言葉使えずに
サラリと手を振って別れたはずさ
帰りのバスの中で
気づいたよ
Tシャツの背中に口紅の文字


これがのち2年後の
ラッツ&スターの
「Tシャツに口紅」に続いていく物語。


別れたはずのその
君とは
付き合っていたわけだ

同じ夜明けの海辺、防波堤、埠頭のシーンからの始まりの
Tシャツに口紅


松本隆さんが
狙って書いたのか

同じような物語の続きを
切り取りながら
作品に仕上げているのか

プロローグとエピローグ
ひとつの物語は
同じアーティストによって
完結されるのではなく
散りばめられた
個性の延長線上において完結するように
別々に配置され
向こうとこちらで
繋がりを持ち合わせないように
しながらも
その作品の運命を握るものは
密かに物語の完結を
作り上げていたのだろうか?

というより完結は
その歌を聴いた人たちに
委ねていたのだろうか?


如何様にも
その歌を聴くもの達に
その歌の物語を紡いで
いけるように…









松本隆のコトハ歌コトバ その3

2021-05-12 20:34:00 | 松本隆のコトハ歌コトバ
今一瞬 あなたが好きよ
明日になればわからないわ

みんな重い見えない荷物
肩の上に抱えてたわ


【蒼いフォトグラフ】松田聖子

若い時
付き合う意識がなく
距離が近すぎて
恋愛の意識や
意思表示がない
そんな男女の関係。
いわゆる
男と女の友情が
成立する関係

そんな仲間、そんな付き合い
をしていた経験は
大なり小なり
あるのでは…

こいつとは
恋愛に発展しない
あいつとは
絶対ない

などと
呪文のように
結局自分に言い聞かせてる
ような
節があったりして

距離が近すぎて
あまりにも
見えすぎて
でも
灯台下暗し
だったりもして
魅力を見落としていたり…

いい関係だったバランスは
男を意識した時から
女を意識した一瞬から
崩れていくもの

♪今一瞬 あなたが好きよ

ふっと、恋愛の神様が
悪さをする

好きだと認識してなかった
のが誤作動を起こすような
恋愛コンピュータ

でも…♪明日になれば
わからないわ
と不確定な
イレギュラーな感情。

「好き」と思う感情と想いは
一瞬で到達する
理屈抜き

理性で抑えられてた
「好き」と
イレギュラーで
誤作動を起こした
恋愛感情は
一瞬を永遠に変える


若い時の不安定な
感情の揺らぎは
すぐ側にいてくれる
人に
思いを委ねていたりする

ほんとの気持ちに
気がつかないこともある

それが
重い見えない荷物
だったりする
肩にのしかかってるのは
恋の悩みもあり、
人生の悩みもあり、
重い荷物になってる

そこから解き放されるのは
青春と呼べる
季節が終わった時
なのかもしれない。

松本隆のコトハ歌コトバ その2

2021-05-07 07:15:08 | 松本隆のコトハ歌コトバ
女はいつも二通りさ
男を縛る強い女と
男にすがる弱虫と
君は両方だったよね

[外は白い雪の夜]吉田拓郎


松本隆にして
らしからぬ
吉田拓郎的言葉の歌詞。

アルバム
ローリング30
での作品作りで生まれた
名曲。
「外は白い雪の夜」


ローリング30というアルバムは
名曲が、ぎっしり!
しかも
原石のまま転がってる
そんなアルバム

後に
ブラッシュアップされ
ほどよいアレンジが
加わり
輝を増した曲も多数。

その全部を松本隆さんが担当。
吉田拓郎、松本隆の金字塔アルバムだ。


男を縛るところ
男にすがるところ
両方持ち合わせる
女。

いるよね
あるよね

特別でもなく
みんな
そうなんじゃないかな

女性も男性を好きになっていくと
独占したくなる衝動から
男を縛りたくなる

そして
好きになる手前の
付き合いの時
お互いの「好意」の
バランスを
取りながら
駆け引きをするように
時に
男にすがる
弱虫な面をみせたりもする

そして
その両方もちあわせてる
女は
別れの時
どちらの顔を出してくるのか?
すがるのか
縛るのか

弱味を見せるのか?
強気を見せるのか


聴く側は
選択し、場面を想像させられる
松本隆マジックに陥る


別れの場面には
いくつかの
エピソードがあり
いくつかの情景描写が
転がってる。

強い女と弱虫
両方が、
嫌だったのか
そのバランスが崩れたことが
別れの原因だったのか

bye-bye Love
と歌っている

雪の夜に別れ話をする
大人の男女の物語。




松本隆のコトハ歌コトバ その1

2021-05-03 08:07:00 | 松本隆のコトハ歌コトバ
不幸の意味を
知っているのなんて
ふと
顔を上げて
なじるように
言ったね…
[Tシャツに口紅]



松本隆さんのコトバは
歌になると
映像化される
それは
歌い手のもつ
声だったり
歌い手のキャラクターだったり
そこから
醸し出される
作られる世界が
聞く側に
想像を掻き立てさせ
映像化させる


この「Tシャツに口紅」
という作品の
このフレーズが
この歌のもつ
別れの風景を引き立てる

不幸の意味って
男が思う不幸と
女性が感じる不幸とは
ひょっとしたら
真逆なのかもしれない
男からしたら
考えもつかない事だったり
するのかも…


男は頭で考え
女は心で感じる

不幸の意味は…

ポツンと呟く事で
なじるように
男を見ることで
精一杯の抵抗をみせた


「別れたくない」と素直を言えない
悔しさと
いじっぱりなところ

このワードでそこまで
深く探りをいられるくらい

このフレーズは
唸ってしまうのです。