作詞:白石ありす
作曲:井上陽水
暑さで曲がった時計針
誰の時間にあわせたらいい?
暑い夜
けだるい手でTVをつけると
ボクシングの生中継
暑い夜
太った方が左のフックを
油断だらけのこめかみに受けて
そして汗をなぐられ
暑い夜に立ち上がれない
試合の時間は狂ってしまい
お客は文句を捨ててゆく
暑い夜
アナウンサーはあわてだし
ばかげた文句をくり返す
暑い夜
倒れた方は手あてをうけて
リングサイドの罵声をうけて
そしてあおむけのまま
暑い夜に立ち上がれない
あの娘にもらった夏カゼが
時間を「TV」と「終り」に区切る
暑い夜
永い夏
暑い夜
寒い時期に
夏の暑い時の作品をば…
アルバム作品ということもあり
遊び心が跳ねていて
いかにも陽水さん好みの作品に
仕上がっている
それに陽水さんが曲をつける時
結構イメージをぶっ壊す感じで
曲が仕上がっていく
そんな風に曲をつけたのか?
と思うほど
ある意味予定調和を嫌う変わった
展開にもっていくのも
陽水節ならでは…
白石ありすさんの作品じたい
現代詩と歌謡詩がまじりあってて
字脚がそろっていないゆえ
作りにくいと言う声は
各、作曲者からあったという。
それでも
吉田拓郎さんや
井上陽水さんにとっては
この手のある意味てごわい歌詞のほう
が好物なのではないだろうか
歌詞と対峙する強者は
不思議な国のアリスさながら
白石ありす氏に困惑することなく
歌のストーリーを打ち負かせて
いる
ライブ映像での
「暑い夜」
ノッてる
陽水さん…何言ってんのか
わからない (笑)崩しすぎて
せっかくの作品が…と思うわけで
詩の内容も
わちゃわちゃしてるから
これでいいのかもしれないけれど
「お客は文句を捨てていく」とか
「太った方が左のフックを
油断だらけのこめかみに受けて」
とか
なかなか光るフレーズを差し込みながら
暑く 気だるく 不快な夜を
醸し出している