明日の葉っぱ(8×8)=69

思いつくまま 気のむくまま書いてます。

暑い夜 井上陽水 作詞家白石ありすシリーズ

2022-01-31 19:49:00 | 僕の音楽日記
1978年 アルバム「White」に収録
「暑い夜」

作詞:白石ありす

作曲:井上陽水

暑さで曲がった時計針
誰の時間にあわせたらいい?
暑い夜
けだるい手でTVをつけると
ボクシングの生中継
暑い夜
太った方が左のフックを
油断だらけのこめかみに受けて
そして汗をなぐられ
暑い夜に立ち上がれない
試合の時間は狂ってしまい
お客は文句を捨ててゆく
暑い夜
アナウンサーはあわてだし
ばかげた文句をくり返す
暑い夜
倒れた方は手あてをうけて
リングサイドの罵声をうけて
そしてあおむけのまま
暑い夜に立ち上がれない
あの娘にもらった夏カゼが
時間を「TV」と「終り」に区切る
暑い夜
永い夏
暑い夜


寒い時期に

夏の暑い時の作品をば…

アルバム作品ということもあり

遊び心が跳ねていて

いかにも陽水さん好みの作品に

仕上がっている

それに陽水さんが曲をつける時

結構イメージをぶっ壊す感じで

曲が仕上がっていく

そんな風に曲をつけたのか?

と思うほど

ある意味予定調和を嫌う変わった

展開にもっていくのも

陽水節ならでは…


白石ありすさんの作品じたい

現代詩と歌謡詩がまじりあってて

字脚がそろっていないゆえ

作りにくいと言う声は

各、作曲者からあったという。


それでも

吉田拓郎さんや

井上陽水さんにとっては

この手のある意味てごわい歌詞のほう

が好物なのではないだろうか

歌詞と対峙する強者は

不思議な国のアリスさながら

白石ありす氏に困惑することなく

歌のストーリーを打ち負かせて

いる


ライブ映像での

「暑い夜」

ノッてる

陽水さん…何言ってんのか

わからない (笑)崩しすぎて

せっかくの作品が…と思うわけで

詩の内容も

わちゃわちゃしてるから

これでいいのかもしれないけれど

「お客は文句を捨てていく」とか

「太った方が左のフックを

油断だらけのこめかみに受けて」

とか

なかなか光るフレーズを差し込みながら

暑く 気だるく 不快な夜を

醸し出している






午後のプレリュード 太田裕美 作詞家白石ありすシリーズ

2022-01-30 18:53:00 | 僕の音楽日記

1979年6月1日発売アルバム
フィーリングサマーに収録
これも
白石ありす氏の活動終期の作品
比較的
珍しく華やかな
今にも
ニューミュージック系に
馴染んだ詩の世界を醸し出してる


午後のプレリュード

作詞 白石ありす
作曲 岸ヨシキ

花籠(かご)屋根に積んだ

車が鳴らすクラクションに
ふと振り向けば 街中楽しそうに
午後の挨拶かわす人達
今 カフェテラスから

幸せ風景画見てるみたいよ
愛がゆきかう傍で
風とたわむれながら
知らずに急いでた 心の時計を
少し止めるの
そう 一人きりのバカンス

古着屋さんで買った
リボン刺繍の小さなバッグ
手にやさしくて
にぎやかなマダムの身振り話に
笑った事が もうなつかしくなる

あなたに絵葉書送りましょうか
軽く頬杖つけば
旅のいたずらかしら
“好きよと”横文字で書きそうな気分
ちょっとまぶしい夏
一人きりのバカンス


異国の地でのバカンス。そこには

あなたの存在を遠くで思う風景が

見え隠れする

好きと言う気持ちを表す言葉に選んだのが

旅のいたずらかしら?と嘘ぶき

"好きよ"と横文字で書きそうな気分と

表現する

「I like」なのか?「loves」なのか?

「好きよ」という表現はとても

女性の柔らかさを感じる言葉で

僕も好きなのだ。

「あなたが好き」より

「好きよ」の3文字の方が

ドキッとする

しぼりだした言葉のようでもあり

心から漏れ出した言葉のようでもあり

そんな

柔らかさは

やはり白石ありす氏の書く詩には

チラホラと見受けられる


太田裕美さんの

舌ったらずの歌い方がまた

旅の雰囲気を緩やかに魅せているようで

彼女らしい世界観に仕上げている




神様が降りてくる夜 斉藤哲夫 作詞家白石ありすシリーズ

2022-01-28 16:14:00 | 僕の音楽日記
作詞家白石ありす氏の
活動終期1979年ポニーより
発売された
斉藤哲夫さんのアルバム
「一人のピエロ」に、収録

「神様が降りてきた夜」
作詞白石ありす
作曲斉藤哲夫


どちらかと言うと
白石ありす氏の作品には
スローな雰囲気が
歌ことばに備わっていて
リズムのある歌詞ではなく
ゆっくり目な音に合わせた
メロディーが
歌詞には備わっているような
気がする。

詩が先にあり
曲が後につけられる
いわゆる詩先
というやつならばこそ
作品を受け取った時点で
もう斉藤哲夫さんには
届いた時点で
この歌には
斉藤哲夫さんの歌うメロディーが
乗っかっていたように思う
そのくらい
ハマる歌詞を書く人なんだと思う

ある意味超能力者のようであり
マジシャンであり


嫁ぎ先でちゃんと
馴染んでチカラを
発揮する作品を作り上げるのが
得意な作詞家だったように
思う白石ありす氏だ。

夜を題材にした歌詞も多く
氏のもつ
夜の切なさ
それでいて
柔らかい優しく流れる
時間を夜に描いている

夜に持つ暗い印象を
暗闇を恐れず
その暗闇の先にある
希望の光を待つような
そんなイメージを含ませたコトバ
がきっと曲を作らせる
それぞれのソングライターに伝わっているのだろうと思う。






男の手紙 水谷豊 作詞家白石ありすシリーズ

2022-01-26 19:35:00 | 僕の音楽日記
男の手紙
歌 水谷豊

作詞:白石ありす

作曲:井上陽水

手暗がりのペン先が
乾いたままで 動かない
傷つけた日の
素顔のように 動かない

書き残した言葉が
こころの中で 沈みだす
馬鹿げた意地が
夜に溺れて 迷いだす

男の手紙には
遊びもなければ
季節もない

読み返すたびごとに
インクの跡が汚点(シミ)になる
ひねりつぶした
煙草の苦さ 汚点(シミ)になる

男の手紙には
年輪が増えるだけ
ひと文字ごと

男の手紙には
遊びもなければ
季節もない


1977年フォーライフレコードより

1stアルバムに収録

77年あたりの

白石ありすさんは

東京ギッドブラザーズの歌劇への

作詞もあり

なかなか粋な作品を提供してる

この時期

大御所

吉田拓郎さんに、そしてこの作品は

井上陽水さんが…

曲は陽水節が唸る

白石ありす氏の詩には

素朴な飾らない感情がストレートに

伝わってくる

この詩には不器用な男を可愛らしく見

つめて、それでいてその不器用さを憂

いて、伝える側ももらう側も

手紙という手段に期待するものと、

書く側の男の精一杯の不器用な

優しさが見え隠れする。


だから

最後の一行が浮き上がる。

「男の手紙には遊びもなければ

季節もない」

女からすれば待っている言葉だったり

行間の優しさを期待するもの、

しかしながら

多分 業務連絡のような

朴訥としたそっけない手紙を

想像するのだ。

ひと昔はこの歌が世に出ていた頃は

まだ

SNSなんてものは存在してないから

昨今のメール、LINEなどのメッセージ

でのやりとりを思うと

人によってはそっけない、可愛げのな

いものもある

文字にも

血の通ってない冷たいものもある

そもそも

男の手紙 って

手紙ってものが一方通行なので

独りよがりの無表情なものだから

それ以上を期待する女なればこそ

女のいじらしいところを

男の手紙に文句を言いつつ

「どうなのよ?」って言いたいわけなんだろうね









Stop motion 庄野真代 作詞家白石ありすシリーズ

2022-01-25 20:14:00 | 僕の音楽日記
1978年の5枚目のアルバム
【マスカレード】に収録されてる
作詞 白石ありす
作曲 庄野真代

【Stop motion】
白石ありすさんは翌年1979年以後は
第一線から消えてしまった。
その前の年
すでに6年の月日で
提供された作品も多々あるなかに
晩年という言い方は少し
おかしいが
初期の頃と比べて
男と女の駆け引きを
粋なカタチで表現している

やはり女性ならではの
詩の行間から女性らしさを
感じる。

ある意味
安井かずみさんに
近い艶っぽい言葉のニュアンスと
重なる



♪ふざけているんでしょう?
ふざけていたって
あなたは上手な真面目顔

とか

♪男の人ってロマンって言葉で
時々驚かせるのね
内緒の地図を隠した胸で
私を抱くと透けて見えるわ
涙で滲ませ困らせようか

という男の人に対する
女の武器を全面にだして
心理的マウントを取る
駆け引きを歌詞に
してくることは
白石ありすさんの
進歩的世界観の変化。

♪ホントの気持ちよ
寂しくなる時
私は決まって
悪ふざけ

ここが
これが
白石流の
大人の女の本音の部分なのだと思う
可愛らしさは
照れの中に
反対の仕草行動に映し出され
それが男からすれば
見逃すことなく
汲み取れたなら
大人の恋は
ゲームのように楽しめたりも
するとでも言うべき
そんな
歌コトバ。

また庄野真代さんも
いい女。
という形容がピッタリの
美人シンガー。

ニューミュージックという括りの
中で
AOR的な作品で結構そのルックスと
歌唱力に歌謡曲の歌番組にも
通用する
新しいタイプのシンガーとして
期待がもたれた。

その中にアルバム収録曲だけど
大人の女性の詩を提供していた
白石ありすさん