人と会うことが
少なくなって
人は
思い出にしがみ付いて
生きていく
嬉しかったこと
辛かったこと
笑ったこと
怒ったこと
せつなかったこと
悲しかったこと
どうでもいい事
ちっぽけな事
消えかけたものでも
忘れていたものでも
花の名前
鳥の歌
風の匂い
陽の柔らかさ
月の影
火の踊り
水の輝き
木の歌声
金色の夕焼け
土のまどろみ
春のきびしさ
夏のやさしさ
秋のせつなさ
冬のうれしさ
季節の歌は誰にでもある
思い出を身にまとい
見開きのページにしるしをつけて
紡いでいく続きを待って
思い出に染みがつかないように