同じ波を目指し
パドルする
一緒にのるはずの
ビックウェイブ
君は一つ前をゆく
まるで距離をとるように
男と女の関係は
ライヴァルでもなく
恋人でもはく
親友でもなく
同士でもない
分かち合う
喜びは もう…
言いかけて
波にのる
時計のネジをまいた
午後3時
次の波がくるまで
ボードに横たわり
君はそそくさと
違う波にのり
岸を目指した
「違うのに…」
派手な仕草を嫌うから
大人しく 知らんふりして
佇めば
同じ波をのぞめない
待つことに慣れた僕と
先を急ぐ君の前を
いつかのビックウェイブが
横切る
いくつかの多い言葉の僕と
言葉慣れしてる君の
溝のような心の切れ目
重たい言葉の君と
軽い言葉の僕
ウェットスーツを弾く
雫の玉にまるめて
波を切る
ひと夏のフィルム
おなじ場面を繰り返し
みてる
夏の幻影