クリスチャンのお宅では どのような夜を過ごすのかな
娘宅用に作った (夫が) クリスマスチキン
夫は食べないのに ケーキが二つ
おそらく 一個だけ買うわけにはいかなかったのでしょう
それらしきものを手掛けて 早寝早起きの夫は 既にオヤスミ
クリボッチの私
イブを前に 今年も届いた 二つの宅配便
差出人は 娘
毎年 毎年 この日になると 二つの段ボール箱を取りに来た娘の車を見送りながら 鼻の奥がツーンとしてしまう私
毎年 毎年 こうして同じことを書いているのに あの日 セーラー服姿で大粒の涙をこぼしていた娘の姿は まったく色褪せず私の脳裏に蘇る
すでに サンタさんの正体は分かっている中学生
幼稚園児だった息子が サンタさんにお願いした野球ゲームを イブの夜まで娘の部屋の物入れに隠し 学校から帰った娘に物入れの扉を開いて [👦ちゃんには見つからないように気を付けてね] と伝えた
娘と 大人同士の秘密を共有するくらいの気持ちだったところが [私のメロディーちゃんのぬいぐるみも リカちゃんスーパーも こうして隠してあったのね] と 物入れの野球ゲームを目にして涙をこぼしている娘の姿に驚き そして愚かな私の罪に気付いたのだった
その夜 帰宅した夫に伝えた
今は分かっていても 幼いころソリに乗ってやってきた来たサンタさんは ずっと今日まで 娘の心の中に生きていたと言うこと
そのサンタさんを 娘の心から消してしまった愚かな母であること
黙って私の話を聞いていた夫は 長いこと無言だった
そして その年のイブの夜 息子には野球ゲーム 娘の部屋にはテレビが届いた
その年 クリスマスプレゼントとして 自分専用のテレビを望んでいた娘に対し [受験を控えているのにテレビなど とんでもない 何か別のものを考えておくように] と娘に言い聞かせていた夫である
それから 娘が嫁ぐ日まで イブの夜には 娘にも息子にも願いに沿ったプレゼントが そして私にもサプライズの贈り物が届くようになった
あの夜 私の話を聞いて長いこと沈黙していた夫は 娘の心から消えたサンタクロースを 見事に生き返らせたのだった
嫁ぐ日の宴で 両親へ贈る手紙は [今まで ずっと来てくれたサンタさん ありがとう]と結ばれ そして あの日 セーラー服姿で涙を流した娘の心のサンタクロースは 今年も二つのダンボールに詰められて 娘の子供たちに受け継がれる