内館牧子さんが描く 福太郎は 引退後も 気持ちは現役
その老害を迷惑だと声にして 父親を傷つけたことに心が傷む娘 明代
傷付く一方で しっかり 老害を続行する福太郎
他人事ではない明代の実態であり やがて他人事ではなくなる私自身
🌻
老害の人には少し早い夫が ウォーキング帰りに甘酒を買って来た
[甘酒が良いってよ 飲んでね]
[何に良いの?]
どこかのお医者さんが言うには 免疫力と 骨粗しょう症には甘酒が効果的なんだそう
ノルマの牛乳 Rワン コラーゲンドリンクに コーヒー 中国茶 ハーブティーも楽しみたい
だから
Rワンとコラーゲンドリンクは 隔日にしようかと思っていたところに 甘酒~っ!
だぁれも 悪気は ないのよね
福太郎さんも 明代さんも 夫も
みんな 自分の思いを 一番前に出して生きているだけ
町内の エイ子さんとビイ子さんは ほぼ同年代で お付き合いは10年近い
少しだけ若いエイ子さんが 何かにつけては優っていて エイ子さんに尊敬の念を抱きながら信頼し 私生活に自信のないビイ子さんは 何かの時のため エイ子さんに家の鍵を預けていた
ビイ子さんが 雲行きが怪しい日に出かけて雨になり 庭に干した洗濯物を エイ子さんに取り込んで貰うことも日常茶飯事
そんな信頼関係が成り立っている 二人の間柄
やはり その日 外出先で雨が降り出したことに気付いたビイ子さんだったが エイ子さんが取り込んでくれるものと思っているから 安心して用事を済ませ帰宅した
案の定 庭に干したはずの洗濯物は視界になく エイ子さんの親切を感じながら部屋に入ったところ いつも取り込んだ洗濯物を入れる籠が空っぽなのに驚いた ビイ子さん
洗濯物が強風に飛ばされたか あるいは泥棒に盗られたかが想定され ざわつく心を抑えながら ともかくエイ子さんに連絡を入れた
電話口のエイ子さんは ビイ子さんの動揺を知るはずもなく [きれいに乾いていたから 畳んで 引き出しにしまっておきました] との返事
そこなのね
一人一人が 自分の思いを 一番前に出して生きている
エイ子さんは 外出でお疲れのビイ子さんを気遣い 善意で洗濯物を畳むまでの労を施した
ビイ子さんは エイ子さんを信頼しているからこそ 鍵を預け 留守中の室内に入ることを許している
洗濯物を取り込むため部屋に入ることはあっても 部屋の中の引き出しを開けるようなエイ子さんではない という信頼があるからこそ 鍵を預けることができるのだ
そこで 今後も円満な信頼関係を保ちたいビイ子さんから [引き出しを開けるときは 事前に私と連絡を取ってからにしてくれませんか] とエイ子さんに申し出る
そこで
[私の何が悪かったの? タオルは きれいに畳んでタオルの引き出しに入れておいたのに 何が困るの?] という疑問がエイ子さんに渦まく
まったく悪気のない善意に なんでクレームがつくのか理解できないエイ子さんは ビイ子さんから信用されてないとして気分を害したようだ
ビイ子さんは タオルを畳む場合に キッチン用は三つ折りに 洗面用は四つ折りにし 洗い立ては引き出しの奥の方に仕舞って 手前から順に使うという ビイ子さんなりに洗濯物のルールがあることを伝えた
するとエイ子さんは [そんなこと聞いてなかった 私は頭が悪いからハッキリと分かりやすく説明してくれないと 貴女の言うことが私には通じない] として
[もう 私は 貴女に必要とされていないから 鍵はお返しします] という結論を迎えることになる
これを 第三者から見たら どっちが良いとか悪いとかの判断はできないと思う
問題は 自分の生き方を一番前に出すことで 他人に害を及ぼすことがある ということ
老害には まだ間がある夫が勧める 甘酒を 飲むべきか 悩める妻
自分の思いを 一番前に出して生きるのが その人にとっては もっとも人間らしく幸せな人生なのかもしれない
でも その生き方が 他人に害を及ぼす場合があることを 知らなければ
内館牧子著 [老害の人] を紹介してくれたのは 私の古いブログから読んでくださっている読者さん
私のブログライフに害が及んでいることを気付こうとせず ご自分の思いを前面に出して生きることを最優先している家族の在り方を 私が許せないでいる時のことだった