ジャレド・ダイアモンドは『銃・病原菌・鉄』(草思社文庫:倉骨彰訳)の第11章「家畜がくれた死の贈り物」において、人類が感染症の災厄を被るようになった背景をわかり易く解説してくれている。まとめると四つある。
1) 狩猟採集時代は分散・移動して暮らしていた人類が農耕時代になって、密集して集落や都市にすみはじめたためである。集団中に一人でも感染者がでると、たちまち病気はひろまる構造になった。
2 )家畜やペットなど多様な動物を生活圏に密着して飼育し始めたので、それらが保有する様々な病原微生物が感染症を引き起こした。
3 )交通交易が飛躍的に発達し、短時間で感染が地域にも世界にも広がるようになった。
4) 自然の乱開発によって、いままで未接触の生物や微生物に出会うようになり、それらが新興感染症を引き起こすようになった。
ここでは、ダイアモンドは述べていないが、「ガイアの復讐」という考え方もある。生物界ではある種の個体群が、環境の容量以上に増えると捕食者も増えて人口増加にフィードバックがかかり、減少に転ずる。ところが、ヒトには幸か不幸か捕食者は存在しない。地球の生態系のバランスを維持するためには、ガイアはこれの役割を眼にみえない様々な微生物に託した。地に満ち過ぎし物共を懲らしめよ!
新型コロナ禍を含めた人類感染症は、地球環境レベルでフィードバックが働いている状態と言えるのではないか?言わば「ガイアの復讐」ではないか?これについては後日、詳しく述べる。
追記1)
SR・ケラート、EO・ウィルソン編 『バイオフィリアをめぐって』 (荒木正純ら訳)、法政大学出版会
2009)の第11章ドリアン・サガン、リン・マーギュリス著「神、ガイア、バイオフィーリア」は読む価値がある。彼らが言うにはガイア理論では人類の出現は、何億年も前に地球上に出現した藍藻のごときものであるという。そうするとカタストロフィーが起こり行き着くところに行く。一方で生物多様性が飽和して地球では人類のようなならず物は存在が許されずに、フィードバックがかかりその増殖は劇的に抑えられるという考えもある。
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