2007年6月14日(木曜日)
日本原電の資材倉庫から、ステンレス製の配管
1.4トン(1200万円相当)が盗まれた。
9・11テロのあと、原子力施設には、
警官が常駐し厳重な警備体制をしいているというのにである。
2号機の運転にも支障が出るのではないかという
ニュースも流れた。
不祥事続きの原発でまたも!のニュースが、
全国版のテレビに映し出される。
原子力の三法交付金が、敦賀市では職員の給与に
使われているという特集記事も目を引く。
【福井発・原発収支決算:第9部 交付金/1 高まる人件費への流用 /福井」
◇敦賀、ハコもの飽和で一般財源化--7人に1人の給与原資に
敦賀市職員のうち7人に1人の給与が、原発立地で受ける国の電源3法交付金が“原資”という事実は意外と知られていないようだ。
市の人件費(05年度一般会計)は53億4784万円だが、7分の1に当たる7億8313万円が3法に基づく電源立地地域対策交付金。交付金分は図書館や保育園、公民館など、住民サービスに直接携わる現業職員を中心にあてがわれ、「福祉向上に役立つ」と国も認めている措置だ。
さらに、特別会計枠の市立敦賀病院の人件費3億3600万円も交付金で、05年度に人件費に消えた総額は11億1913万円。同年度に交付された総額約25億6000万円の、4割以上になる。
3法交付金と聞いて多くの人が思い浮かべるのは公共施設だろう。かつては使途が学校や公民館、道路といったいわゆる“ハコもの”に限られたため、原発立地自治体には金に飽かせたような豪華施設が次々と建設された。人件費は行政組織にとって最も基本的な支出で、従来のイメージとは懸け離れている。
◇ ◇ ◇
なぜ人件費なのか。「公共施設は飽和状態だ。新しく作るようなものはない」と敦賀市幹部。
豪華な公民館、野外学習施設、プラネタリウム、温水プール、陸上競技場、文化ホール、武道館、温泉施設……。敦賀市は原発が立地して40年近く。交付金や豊かな固定資産税収入を元手に、充実した社会資本整備を進めてきた半面、人口規模に比べて過大な施設が増え、人件費を含む維持管理費が財政の重荷になっている。
国は03年10月、全国の立地自治体の働きかけもあり、3法交付金制度を改正。使途規制が緩和され、人件費や福祉補助といったソフト事業にも幅広く使えるようになった。
交付金の使い道はその後、自治体がフリーハンドで使える一般財源化の流れに拍車がかかった。敦賀市の場合、交付金で支払った人件費は01年度に約3億9000万円だったのが、▽02年度=約4億5900万円▽03年度=5億9673万円▽04年度=10億852万円--と増加傾向で、収まる気配はない。
原発マネーで整備した豪華な公共施設にはさまざまな功罪があるが、住民にとっては原発による豊かさを実感できる最も単純な指標だった。ところが近年進む交付金の「ソフト化」は、一般市民が簡単には分からないケースがほとんど。行政にとっての使い勝手が良くなればなるほど、市民の知らない間に依存度が高まり、ブレーキがかからなくなる恐れがある。
「活性化のカンフル剤」から「生活維持費」へ--。性格が大きく変化しつつある3法交付金の“今”を追った。【平野光芳】
==============
◆電源3法交付金
電力会社が販売電力量に応じて負担した税金を元手に、国が発電所周辺の自治体に交付金を支給する制度で、74年度に発足。電力会社から税金を徴収する「電源開発促進税法」、特別会計を設ける「電源開発促進対策特別会計法」、地方自治体に交付するための「発電用施設周辺地域整備法」という三つの法律で枠組みが作られている。福井県と立地・周辺市町村が05年度までに受け取った総額は、2422億6363万円だった。
==============
◆敦賀市が3法交付金で賄った人件費
(05年度一般会計、括弧内は対象職員数)
看護専門学校 (12人) 8600万円
図書館 (4人) 3000万円
保育園 (114人)4億4663万円
児童館 (3人) 2000万円
総合運動公園 (5人) 1800万円
公民館 (17人) 1億0850万円
健康管理センター(14人) 7400万円
------------------
計 7億8313万円
毎日新聞 2007年6月13日
自治体財源の根幹とも言うべきところに、これほど多額の
原発交付金が使われることに、危機感を抱くのは
わたしだけではないと思う。
原発依存の財政が、ますます強まっている。
日本原電の資材倉庫から、ステンレス製の配管
1.4トン(1200万円相当)が盗まれた。
9・11テロのあと、原子力施設には、
警官が常駐し厳重な警備体制をしいているというのにである。
2号機の運転にも支障が出るのではないかという
ニュースも流れた。
不祥事続きの原発でまたも!のニュースが、
全国版のテレビに映し出される。
原子力の三法交付金が、敦賀市では職員の給与に
使われているという特集記事も目を引く。
【福井発・原発収支決算:第9部 交付金/1 高まる人件費への流用 /福井」
◇敦賀、ハコもの飽和で一般財源化--7人に1人の給与原資に
敦賀市職員のうち7人に1人の給与が、原発立地で受ける国の電源3法交付金が“原資”という事実は意外と知られていないようだ。
市の人件費(05年度一般会計)は53億4784万円だが、7分の1に当たる7億8313万円が3法に基づく電源立地地域対策交付金。交付金分は図書館や保育園、公民館など、住民サービスに直接携わる現業職員を中心にあてがわれ、「福祉向上に役立つ」と国も認めている措置だ。
さらに、特別会計枠の市立敦賀病院の人件費3億3600万円も交付金で、05年度に人件費に消えた総額は11億1913万円。同年度に交付された総額約25億6000万円の、4割以上になる。
3法交付金と聞いて多くの人が思い浮かべるのは公共施設だろう。かつては使途が学校や公民館、道路といったいわゆる“ハコもの”に限られたため、原発立地自治体には金に飽かせたような豪華施設が次々と建設された。人件費は行政組織にとって最も基本的な支出で、従来のイメージとは懸け離れている。
◇ ◇ ◇
なぜ人件費なのか。「公共施設は飽和状態だ。新しく作るようなものはない」と敦賀市幹部。
豪華な公民館、野外学習施設、プラネタリウム、温水プール、陸上競技場、文化ホール、武道館、温泉施設……。敦賀市は原発が立地して40年近く。交付金や豊かな固定資産税収入を元手に、充実した社会資本整備を進めてきた半面、人口規模に比べて過大な施設が増え、人件費を含む維持管理費が財政の重荷になっている。
国は03年10月、全国の立地自治体の働きかけもあり、3法交付金制度を改正。使途規制が緩和され、人件費や福祉補助といったソフト事業にも幅広く使えるようになった。
交付金の使い道はその後、自治体がフリーハンドで使える一般財源化の流れに拍車がかかった。敦賀市の場合、交付金で支払った人件費は01年度に約3億9000万円だったのが、▽02年度=約4億5900万円▽03年度=5億9673万円▽04年度=10億852万円--と増加傾向で、収まる気配はない。
原発マネーで整備した豪華な公共施設にはさまざまな功罪があるが、住民にとっては原発による豊かさを実感できる最も単純な指標だった。ところが近年進む交付金の「ソフト化」は、一般市民が簡単には分からないケースがほとんど。行政にとっての使い勝手が良くなればなるほど、市民の知らない間に依存度が高まり、ブレーキがかからなくなる恐れがある。
「活性化のカンフル剤」から「生活維持費」へ--。性格が大きく変化しつつある3法交付金の“今”を追った。【平野光芳】
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◆電源3法交付金
電力会社が販売電力量に応じて負担した税金を元手に、国が発電所周辺の自治体に交付金を支給する制度で、74年度に発足。電力会社から税金を徴収する「電源開発促進税法」、特別会計を設ける「電源開発促進対策特別会計法」、地方自治体に交付するための「発電用施設周辺地域整備法」という三つの法律で枠組みが作られている。福井県と立地・周辺市町村が05年度までに受け取った総額は、2422億6363万円だった。
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◆敦賀市が3法交付金で賄った人件費
(05年度一般会計、括弧内は対象職員数)
看護専門学校 (12人) 8600万円
図書館 (4人) 3000万円
保育園 (114人)4億4663万円
児童館 (3人) 2000万円
総合運動公園 (5人) 1800万円
公民館 (17人) 1億0850万円
健康管理センター(14人) 7400万円
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計 7億8313万円
毎日新聞 2007年6月13日
自治体財源の根幹とも言うべきところに、これほど多額の
原発交付金が使われることに、危機感を抱くのは
わたしだけではないと思う。
原発依存の財政が、ますます強まっている。