8月5日(月)の日経平均株価は、先週末比▲4451円安の31458円で引け、1日の下げ幅としては1987年10月のブラックマンデー翌日の下げ幅を超える史上最大の下げとなりました。7月11日(木)につけた史上最高値42224円から見ても、10000円以上の下落幅となり、下落率でも25%超となっていますから、すでに歴史的な急落が起きてしまったと言えます。
なお金融ニュースでは、下落のトリガーについて、①米国景気後退懸念、②予想より早い日銀の利上げ、③為替相場の反転、などを挙げて報じていますが、本格的な「ガラ」=「急落局面」の経験に乏しい投資家によるパニック的な売りが、この下落局面を加速させたことは間違いないようです。
ちなみに、過去の「ガラ」を振り返ると、本格的・長期的な株価低迷局面を生む「ガラ」は、実体経済で「資金繰り悪化」が急速に進んでいる時であります。直近では、2008年のリーマンショックが典型例です。あの時は、欧米の大手金融機関の殆どが資金繰りピンチになるほど、各種金融商品の中身がボロボロになっていました。日本においては1964年の証券不況。山一證券に日銀特融が為された時ですが、この時も証券会社の財務内容が急速に悪化して、証券市場を司る最大手の証券会社が資金繰り問題で追い込まれるという事態になっていました。
一方で、実体経済に問題はないのに、テクニカルな理由で「パニック売り」が市場を混乱させた事例が、1987年の米国ブラックマンデー。この時は「ポートフォリオ・インシュアランス」という金融商品に組み込まれた「プログラム取引」が、株価の下げ局面に加速度的に売りを浴びせたことによって偶発的に発生した「ガラ」でありました。市場の混乱は、そのあと3か月から半年くらいは続きましたが、結局は「プログラム取引規制」を施すことで市場は正常化していきました。
今回の「ガラ」は、どうも後者の範疇に入る気がいたします。
投資家の皆さんには、いったん冷静になることをお勧めいたします。