映画を観た。
★ル・アーブルの靴みがき
原題:LE HAVRE
監督:アキ・カウリスマキ
撮影:ティモ・サルミネン
出演:アンドレ・ウィルム カティ・オウティネン、ジャン=ピエール・ダルッサン ブロンダン・ミゲル、他
2011/フィンランド=フランス=ドイツ
《港町ル・アーブル》と聞けば、モネの《印象・日の出》である。つまり、僕は《タイトルが醸し出すイメージに惹かれて》観たようなわけで、多くを期待した訳ではないが、予想以上に《豊かで幸福なイメージ》を感じさせてもらった。カウリスマキ監督の仕掛けた《メタファーな世界》に完璧に引き込まれた。
物語は、《不法移民の少年をかくまい、イギリスへの脱出に向けて力を尽くす、この世のものとはおもえないような善意ある人たちのお話》である。一組の夫婦とその仲間たち、少年と追いかける警視、まるで《大人の童話》のような作りである。監督は饒舌に物語を説明するでなく、監督は俳優に喜怒哀楽を噴出させるでなく、むしろ極力感情を押さえ、極力簡素な表現の中に、より《深い慈しみ》を表現しようとする。これは癖になる。
ラストの展開は意外ではあったが、《天使のような少年を救う》という《メルヘン》からすれば、あの《奇跡》は落ち着きどころだったのかもしれない。
ちなみに、警視の名前は《モネ》。
えっと苦笑い。
《世界はメタファー》である。