N の 祝祭日

映画、読書などのメモ

モネ・ゲーム

2020-06-30 | chinema(欧米系映画)

 

★モネ・ゲーム
原題:Gambit
監督:マイケル・ホフマン
出演:コリン・ファース、キャメロン・ディアス、アラン・リックマン、トム・コートネイ、スタンリー・トゥッチ、他
2012/アメリカ=イギリス

一発大逆転、ドロボーエンタメ。
《そうか、全てはシナリオ通りだったのか》と溜飲を下げる。
軽妙な会話と、小気味のいいテンポ。


モネの贋作の代わりにシスレーの小品とは。
モネとシスレーは大の仲良しだった。
二人は連れ立ってあちこちスケッチに行っている。
初期の頃はほんとによく似た作品を制作。

 

この映画では、モネの《積み藁シリーズ》が使われている。
何点か観たことがある。
実に色彩が鮮やか。
動かない、安上がりの自然な物をモチーフに、
光の移り変わり(時間の変化)
を追いかけるのにちょうど良かったのかもしれない。
モネと積み藁の関係は
セザンヌと林檎の関係みたいなもの。

しかし、
こんなにシリーズ作品の数が多いと
贋作をひねり出すにもってこいかと。

 

 

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ミケランジェロの暗号

2020-06-19 | chinema(欧米系映画)

 


★ミケランジェロの暗号
原題:Mein bester Feind
監督:ウォルフガング・ムルンバーガー
キャスト:モーリッツ・ブライブトロイ、ゲオルク・フリードリヒ、ウルズラ・シュトラウス、他
2010/オーストリア

 

《ミケランジェロの暗号》ときけば心騒ぐ。
《ダヴィンチコード》みたいな、仕掛けがあるのか。
《これは面白そうだ》と思い観た一作。

400年前、バチカンから盗まれたとされる《ミケランジェロのデッサン》は出てくるが、
いっこうに《タイトルの暗号》にかかわる話としては進行しない。
それどころか、たんなる小道具扱い、
《ミケランジェロの名は客引きパンダの役割》と途中で気がつき、
《邦題のインチキ》にまたもしてやられたと思った。


が、映画そのものはなかなかの快作。
第2次大戦時のナチとユダヤ人の話としては、
かなりコミカル。
ラストの爽快感のような感覚は、この手の映画としては珍しい。
ヴィクトル・カウフマン役にモーリッツ・ブライブトロイ。
何処か観たよと思っていたら
「ソウル・キッチン(SOUL KITCHEN)/2009」に出ていました。
コメディタッチが似合うはず。


ウイーンを舞台にお話は展開する。
オーストリアはナチの勢いに飲み込まれてゆくが、
何分、ベルリンからはかなり遠い。
その距離感がこのお話の緊迫度を緩め、
ちょっと間抜けなお話。
状況の変化によって、二人の男の立場は攻守ころころ変わる。
その可笑しさを描いているが、
達観した歴史観みたいなものまでも感じさせてくれた。


この映画でも、
スイスは逃亡先というか、亡命先というか、
いわゆる《駆け込み寺》の役割を果たしている。
スイスは早くから、神聖ローマ帝国から独立を果たし、
1815年のウイーン会議に、《永世中立》の立場を認めさせている。
そして現在もEUに加盟せず。不思議な国である。
しかもヨーロッパの中央に位置し、多くの国と国境を接する。
防衛体制もしっかり敷いいている。
こちら日本からみると不思議だ。
羨望の想い。

 

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ウェディング・バンケット

2020-06-17 | chinema(アジア系映画)

 

★ウェディング・バンケット
原題:結婚披露宴嘉宴/The Wedding Banquet
監督 :アン・リー
キャスト: ウィンストン・チャオ、ミッチェル・リヒテンシュタイン、 メイ・チン、ラン・シャン、グァ・アーレイ、他
1993/台湾=アメリカ映画


偽装結婚の顛末は?
最後は互いに良い結果だったようです?

結婚式は派手に賑やかに華やかに。
映画はその賑やかな結婚式の様子を淡々と描く。


監督の作品は、過剰に説明的にならずドキュメントのようだ。
ありのままにさらりとそしてひらりと描く。
優しい気品さへ感じる描き方は、
中国文化への自信と尊敬があるからかもしれない。

 


(goo映画より)
台湾からアメリカに帰化した青年とアメリカ人青年のゲイカップルが、グリーンカードが欲しい上海出身の女の子と偽装結婚する騒動記。同性愛、アジア系アメリカ人の台頭、家族、グリーンカードなど、現代のニューヨークに山積する諸問題を見つめた作品。監督・製作・脚本はニューヨーク大学映画学科出身で、「推手」のアン・リー。共同製作は共同脚本も担当した「ポイズン(1991)」のジェームズ・シェイマスと「シンプルメン」のテッド・ホープ。撮影はジョン・リン。音楽はメーダーがそれぞれ担当。主演はフライトアテンダント、モデルを経て初の映画主演となるウィンストン・チャオ、台湾の人気歌手メイ・チン、ポップアーティストのロイ・リヒテンシュタインの次男で「ストリーマーズ 若き兵士たちの物語」のミッチェル・リキテンシュタイン。ラン・シャン、グア・アーレイら台湾の実力派俳優が脇を固めている。ベルリン国際映画祭金熊賞(グランプリ)受賞作。

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ロミオとジュリエット ≪完全版≫

2020-06-16 | chinema(欧米系映画)

 

★ロミオとジュリエット ≪完全版≫DVD
監督:リッカルド・ドナ
出演者:アレッサンドラ・マストロナルディ 、 マルティーノ・リバス、他
製作国:イタリア/ドイツ/スペイン(2013)

 

2016年はシェイクスピア(1564-1616)没後400年にあたる。
記念として、2013年に制作された《ロミオとジュリエット》のDVDが発売。
究極のラブストーリーを、原作に忠実に実写ドラマ化。

 

14世紀の時代が丁寧に描かれている。
物語は究極のラブストーリーであり、
それはそれは完璧であるが、
なんといってもイタリアの風景が美しい。
イタリアオールロケ!!!!!
うっとり眺める美しい映像だった。

 


僕らの世代では、
オリヴィア・ハッセーの《ロミオとジュリエット》(1968)が忘れられない。
当時15歳のハッセーのヌードシーンが話題を独占した。
そして、ニノ・ロータの哀愁たっぷり主題曲を思い出す。
街には映画館があちこちあった時代。
《映画館のはしご》が趣味だった。

 


この作品は、あの作品に負けない気品がある。
俳優さんたちの演技も美しく激しい。


あのバルコニーでのロミオとジュリエット。
原作の二人よりはちょっと年齢が上のようにみえるんだけど、、、。
そこはオリビアのジュリエットの方が初々しい。
今回のこの作品の二人は、とにかく激しく情熱的。
感情表現が大人である。

 

Disc2枚組
【Disc1】
舞台は14世紀のイタリアの都市ヴェローナ。モンタギュー家とキャピュレット家は、貴族界の派閥争いから、血で血を洗う抗争を繰り返していた。そんなある日、モンタギュー家の一人息子ロミオは、敵方であるキャピュレット家のパーティに友人マキューシュオと忍び込んだ。そこでロミオはキャピュレット家の一人娘ジュリエットに出会い、たちまち彼女の美しさに夢中になる。一方、ジュリエットもロミオに心惹かれ、二人は秘かに逢瀬を重ねるようになっていった。姉の婚約者だったパリス伯に気に入られ、結婚を迫られたジュリエットは、ロミオと教会で結婚式をあげることを決断する。二人は結婚が、両家の争いに終止符を打つきっかけになる事を期待するが・・・。しかしその直後、ロミオは友人と共に街頭での争いに巻き込まれ、親友・マキューシオを殺されたことに逆上したロミオは、キャピュレット夫人の甥ティボルトを殺してしまう。

【Disc2】
ヴェローナの大公は、ロミオを追放の罪に処する。一方、キャピュレットは悲しみにくれるジュリエットに、大公の親戚のパリスと結婚する事を厳命する。追いつめられたジュリエットは教会に向かう。ジュリエットに助けを求められた聖職者ロレンスは、彼女をロミオに添わせるべく、仮死の毒を使った計略を立てる。しかし、この計画は追放されていたロミオにうまく伝わらなかった。そのため、ジュリエットが死んだと思ったロミオは、彼女の墓で毒薬を飲んでしまう・・・・。

 

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ウォリスとエドワード 英国王冠をかけた恋

2020-06-13 | chinema(欧米系映画)

 

 

★ウォリスとエドワード 英国王冠をかけた恋
原題 :W.E.
監督・脚本・製作: マドンナ
音楽: アベル・コジェニオウスキ
出演: アビー・コーニッシュ、アンドレア・ライズブロー、ジェームズ・ダーシー、オスカー・アイザック、他
2011/イギリス


1930年代と現代という時間を交差させながら、
2組の男女の物語を女性側の視点から見つめ、
その《苦悩と希望》を繊細に描いています。
1930年代の物語は、
「王冠を賭けた恋」として世間を騒がせた
英国王エドワード8世とウォリス・シンプソンのロマンス。
そして現代の物語は、
ニューヨークを舞台に、
子どもを欲しない夫との夫婦関係に悩んでいたウォリーと、
宝飾店に務めるエフゲニとの出会いと再生の物語。
共通しているのはどちらも間違いなく社会から非難を浴びる不倫の物語です。
作品は、2つの物語のヒロインの心情に焦点を当て、
《何故にその生き方を選んだのか》を問いかけ、
マドンナならでのはフェミ二ン溢れる感性で、
《二人のヒロインが共鳴し重なり合う物語》として描かれています。


物語の始めは、
二人のヒロインの時間軸の交差について行けず、
観ているこちらの感覚はおろおろしましたが、
しだいに移ろいゆく時間の流れに身を任せるような心地よさに変わって行きます。
30年代の上流社会風俗衣装はさりげなく上質です。
現代の物語も上流社会が舞台ですので、出し物は超一流。
何もかもが美化され、
《女の心》も美化され、
ドロドロした湧き出る葛藤らしきものは見当たりません。
繊細でフェミニンな語り口。

 

シンプソン役を演じたアンドレア・ライズブローが
控えめながらも美しい所作で際立っていました。
マドンナはその表情を
《美しい至極の女らしさ》としてとらえています。
老い死にゆくエドワードの前で踊ったダンスは妖艶であり、
《ああ、これはマドンナ》と思った瞬間です。

エンドロールで流れた歌(Madonna - Masterpiece)は、
この作品の全てを歌っています。
美しい歌声に美しい歌詞。

 

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ホルテンさんのはじめての冒険

2020-06-12 | chinema(欧米系映画)

 

 

★ホルテンさんのはじめての冒険
監督:ベント・ハーメル
キャスト:ボード・オーベ、ギタ・ナービュ、ビョルン・フローバルグ、他
2007/ノルウエー

「人生は手遅ればかりだが、逆に考えれば何でも間に合う」
ホルテンさんの冒険話。

奇妙な世界だけど、
「あー、そうか」と納得してしまうから不思議である。

北欧らしいほのかな光の効果も手伝って、
独特の温かい世界を作っている。
でも、ちょっぴりシニカル。
オスロでしょう?
やっぱり「ムンクの絵」のような雰囲気でした。

 


派手なアクションや、
刺激的な会話で世界を語る映画が多い中で、
状況設定に執念を燃やすスタイルは、
極めて異質である。
静かな映像と集中力高める音響がすばらしい。
善意溢れるユーモアたっぷりの世界観は、
チャップリンの映画にもつながる雰囲気を感じた。


雪の中を走る電車の映像が詩的。
鉄道マニアは泣きますね。
暗いトンネルを越えると、また白い世界。
その繰り返しの映像が、集中力を強め、
イメージを凝縮させる。


ついでながら、
会話中「ニッサン」が出てきたのには、ほっこり。
老人と二人で飲んでいたウイスキーは、サントリー「響」だった。
一瞬チラリ。
でもわざと見せてたような気もする。

 


奇妙な老人だったがあの孤独感はわかる。
目隠しドライブ後の、
あの絶命感は最高だろうと想像した。

 

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人生に乾杯!

2020-06-10 | chinema(欧米系映画)

 

★人生に乾杯!
原題:Konyec
監督:ガーボル・ロホニ
出演者:エミル・ケレシュ、テリ・フェルディ、他
2007/ハンガリー


「俺たちに明日はない」的な、老人版映画。
スカッとする切れ味。

 

何処の国も相当貧富の差が広がりつつあるそうだ。
格差社会、年金生活者も大変である。

いくつになっても、幸せの道は続いているはず。
人生の大切な宝物を取り戻すために、
ふたりは、明日へと走り出した。


といかにも未来への夢のあるような話だけど、
実はそう単純な夢輝く物語ではない。
年金生活である二人が何故銀行強盗をしなければならない?
映画では、激動のハンガリー現代史を生きた老人夫婦の絆とプライドを、
二人の心情に共感を寄せながらユーモアたっぷりに描いてくれる。

 


登場する人物たちの、
話題が切実な割にはどこか飄々とした演技には、ほっこりさせられる。
老夫婦を演じる二人はもちろん、
すれ違い気味の若い警官がいい。
この若い物語があって、
この年金生活者強盗が生きてくる。

 


グッズもかなりノスタルジー気分に浸れる。
1950年代ソ連製の名車チャイカ、
共産党高級幹部が乗る車のソ連版リムジン。
それがエネルギッシュに走る走る。
「美しき過去の象徴」である。

日本車名が出てくるが、
世界で活躍することはうれしいこととして、
比較されるとオモチャみたいである。
アウディだって、オモチャのようだ。


後半部分は「これ、俺たちに明日はないスタイルだな」と思わせ、
じんわりラストに向けて展開して行くところもぴったり。
そして夢に向かって突入!
これはありだ!
誰でも時々は考える不遜な夢と勇気?であるだけに、
多くの人の共感も得る。
痛快である。
でも、タイトルははっきりいってよくわからん。

 

「チャイカ」は「かもめ」という意味があるらしい。
とても悠雅な姿、走りだった。
最期に「海を見に行こう!」
と旅立った二人の姿はかもめのように自由だった。
いい!  
でもちょっとやばい。
真似てしまいそうだ。

 

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バケモノの子

2020-06-02 | chinema(日本アニメ映画)

 

★バケモノの子
監督:細田 守
キャスト(声の出演):役所広司、宮崎あおい、染谷将太、広瀬すず、山路和弘、他
2015/日本アニメ

 

細田守監督4作目の作品です。
過去の作品と同じく、絵がとてもフレッシュです。
特に青空と白い雲が美しい。
いまや、ホソダスカイです。

舞台は渋谷のスクランブル交差点。
ここは、時空が交差する所。

ちょっと不満を言わせてもらうと、
ファミリー向けに徹し過ぎでは?
これでは文科省推薦アニメです。


テーマ《人の闇》について語りながら、
うまく軽く収めすぎのように感じました。
できれば、その闇に迫ってほしいと思いました。

 

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おおかみこどもの雨と雪

2020-06-01 | chinema(日本アニメ映画)

 

 

★おおかみこどもの雨と雪
監督:細田 守
声の出演:宮崎あおい、大沢たかお、黒木華、林原めぐみ、染谷将太、谷村美月、菅原文太、その他。
2012/日本アニメ


子育て奮闘、
こどもの自立
を描いた物語といえば聞こえはいいが、
妙に《何故?》がつきまとう作品でした。
そもそも物語に《何故?》はないのは解っているのに。


母親の花が余りにも無防備で無知で、
そして何より《感情の希薄さ》にびっくりです。
おおかみおとことの恋愛、結婚、
そしておおかみこどもの雪と雨の出産、子育て。
余りにも幼稚で、
《大丈夫ですか?》
と声をかけたくなったくらいです。
細田監督は意識的にそんな女性を表現してくれたんですが、
どういう意味を込めているのか最後まで不可解でした。
《目の前の運命を全て肯定する》
そういう存在でした。


子育てにあたってはリアルな現実の問題に直面するが、
母親の花さん、どうしよう、どうしようと思っているうちに、
子ども達はそれぞれに勝手に自立をして行く。
問題先送りみたいな感じで、さらに《何故?》でした。

 

リアルに現実を描写したアニメ絵はそれはそれは美し。
花が通う大学の廊下の階段がアカデミックでした。
一橋大学?をしっかり描写しています。
雨と雪を連れて行く田舎は、富山上市の立山山麓。
三人の家となる古民家、辺りの風景の描写は瑞々しく鮮やかです。
劔岳、荒々しい常願寺川の源流、立山、称名滝、みくりが池などなど、
鮮やかな色彩で強烈な印象を残します。

 

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