映画を観た。
★言えない秘密
原題:不能説的・秘密
監督:ジェイ・チョウ
キャスト:ジェイ・チョウ、グイ・ルンメイ、アンソニー・ウォン
2007/台湾
原作題名は「不能説的・秘密」。これを、「言えない秘密」と邦名にした。しばらく考え「秘密って、言えないから秘密であって、、、、、、」と考え込んだ。原作題名の方が意味が解りやすく、漢字文化の世界に住む僕らにはちょうどいいイメージだと思うのだが。物語はほんとに説明できないくらい不思議で都合のいい物語なのである。でも、しんみり心に響き、自分の中のピュアーなものを見つめ直す。
台湾の人気アーチスト、ジェイ・チョウさんが一人で監督、主演、脚本、音楽とスーパー天才ぶりを見せてくれる。ピアノ音楽が透き通るような響きで切ないメロディ。過剰にならない適度な甘さが心地よい。そのピアノをジェイ、チョウさんが自分で弾いているところが、さすが本物!
前半のハイライトは楽譜をめぐるピアノ演奏バトル。手技と音楽の切れと映像のスピードの見せ場である。この感覚世界は音楽アーチストならではもの。息を飲む瞬間であり、映画にグイと引き込まれる瞬間。あとは天才ピアニストのイメージが物語を進行してくれる。
グイ・ルンメイさんの笑顔がこれまた可愛いとしかいいようがない。うっとりと青春ラブストーリーに酔いしれていると、後半からは突然、ホラーっぽくなり、机に文字が浮かぶところなど、「えっ」と思わせ、謎かけしながらラストに向けて無理やり時間を押し曲げた感じ。
時を駆け抜けることの面白さと切なさを感じてしまった。ボクらは時間を取り戻せない、もどれない。映画の物語のようにはいかない。どうしようもない無情。